1998年はファッション業界にとって大きな転換点でした。〈ジル サンダー(JIL SANDER)〉が〈プーマ(PUMA)〉とコラボレーションしたのです。いまや当たり前となったメゾン × スポーツブランドの最初の一歩でした。
シモーネ・ベロッティがクリエイティブ・ディレクターに就任して、いち早く目をつけたのがこのヘリテージでした。フットボールシューズの「キング(KING)」、ランニングシューズの「H-ストリート(H-STREET)」に続いて選んだのは「スピードキャット(Speedcat)」。モータースポーツの世界で燦然と輝くマスターピースです。
艶やかで肌理の細かなカーフレザーをはじめ、ラバーソール、シューレースまでブラックで染めたボディからは〈ジル サンダー〉のロゴがくっきりと浮かび上がります。パンチングで象ったフォームストリップがいぶし銀の役者のような存在感を放っています。
静謐きわまりない佇まい。〈ジル サンダー〉というメゾンに相応しい一足です。
あわせてラインナップされたトラックジャケットとトラックパンツは1968年に誕生した初のアパレルライン「T7」がベース。テーパードさせた最大幅7cmのストライプがそのアイコンです。
素材も色も〈ジル サンダー〉のためにつくられました。素材は2方向に伸縮するその名も「バイストレッチ」。滑らかで適度な構築感も備えるテクニカルウールで、フォーマルなスタイリングにも溶け込むポテンシャルがあります。色はクラブ ネイビー。
ボックス型のトップスをテーパードシルエットのボトムスでまとめるバランスも太字で記したいセットアップです。
ジャケットの上には両者のロゴが。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa

