ルーシー&ルーク・メイヤーがクリエイティブ ディレクターを務める〈ジル サンダー(JIL SANDER)〉から、いかにもこの二人らしい、機能美を形にしたキャップが登場した。
大きなツバは日除けを踏まえたものだろうが、二人の手にかかればご覧の通り、実にモダン。張り出したツバは柔らかなカーブを描くクラウンのアウトラインと見事に調和している。引く線一本にも妥協しなかった賜物だ。
ピンク、イエロー、オレンジ ―― ビタミンカラーで染め抜かれたコットンリネンはその甘い織りと相まって目にも心にも優しい。まるで森の茂みに群生する花やたわわに実った房を思わせる。それでいて洗練された印象を与えるのは、ガーメントダイによる透き通るような色合いと装飾を排したソリッドな佇まいゆえだろう。
道具としての機能を犠牲にしないデザインワークに、フィールドを想起させるカラーパレット。この縛りがあってなおモダンに仕上げてしまうさじ加減はあっぱれというほかない。
ラグジュアリー・アウトドアというジャンルがあるならば、このキャップはきっといの一番にラインナップされる。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa