シュールで奇妙、だけど身近な存在。アーティスト西祐佳里とmagmaによる展覧会「Index ♯7」が開催されます。

Yukari Nishi. Untitled Scene: U. 2023. Oil on canvas. 227.3 x 181.8 cm. Photo by Arito Nishiki. Courtesy of Gallery COMMON.

原宿のストリートカルチャーを背景に、国内外のさまざまなアートを発信する「ギャラリーコモン（Gallery COMMON）」。

今回そこで行われるのは、アーティスト・西祐佳里さんによる19点の新作ペインティングと、廃棄された物や身の回りのありとあらゆる物、日々蒐集された物を素材として作品を制作する、アーティストユニット・magmaによる立体作品の展示です。

Yukari Nishi. Similar: C. 2023. Oil on canvas. 130.3 x 130.3 cm. Photo by Arito Nishiki. Courtesy of Gallery COMMON.

Yukari Nishi. Untitled Scene: W. 2023. Oil on canvas. 65.2 x 53 cm. Photo by Arito Nishiki. Courtesy of Gallery COMMON.

Yukari Nishi. Woman: G. 2023. Oil on canvas. 116.7 x 91 cm. Photo by Arito Nishiki. Courtesy of Gallery COMMON.

テディベアやハンバーガーの頭を持つ奇妙な人型のキャラクター、虹色のゼリーとフラミンゴのアイスクリーム、色あせた花柄の壁紙と大きなソファ、そして時折浮かぶ入れ歯。

西さんのペインティングに描かれているのは、独特の存在感を帯びるアメリカのレトロなテレビ番組のような光景です。

意味不明な物語を生きる風変わりなキャラクターが主役になっている作品ですが、実は「家族」や「愛」といったテーマが垣間見えるのです。ほとんどのキャラクターが家の中かその近くで、スイーツを分け合ったり、物を贈り合ったり、何かを抱えたり抱き合ったり…、そこから連想するのは家庭生活。最初は怪異で恐ろしくさえ見えるこれらのキャラクターたちですが、異なる存在同士が不条理な生活にもかかわらず、絆を深めようとしていることが感じられる作品になっています。

Yukari Nishi x magma. Courtesy of the artist and Gallery COMMON.

Yukari Nishi x magma. Courtesy of the artist and Gallery COMMON.

Yukari Nishi x magma. Courtesy of the artist and Gallery COMMON.

西さんのペインティングに繰り返し登場するキャラクターからインスピレーションを得て、それらを独創的にリミックス。気まぐれな生き物の立体に再解釈したのがmagmaによる作品です。

つくられた時代も国も異なる作品の素材が、西さんのペインティングと同じように、取捨選択されたイメージの集合体として組み合わされています。

息苦しさと幸福感が交錯する、シュールで奇妙な世界。異様でありながら身近に感じられるのは、我々の日常生活の中にある不条理を映し出しているからかもしれません。西さんとmagmaのコラボレーションによって生まれた独特な世界に、ぜひ足を踏み入れてみてください。