プロ野球のペナントレースはセ・パともにマジックが点灯し、いよいよ佳境。今シーズンも早々にゲーム差がついてしまって、落胆している人も多いでしょう。阪神とオリックス、強すぎた!
さて、野球界にもファッションの流行があるわけですが、日本のそれを牽引するのは何を隠そう、巨人軍。彼らが身につけるものはプロ野球全体の流行になり、それが高校野球をはじめとしたアマチュア球界に広がっていきます。
もっと視野を広げると、野球ファッションの先端はMLBにあり。帽子のツバをまっすぐにしたり、オーバーサイズのユニファームにしてみたり、パフォーマンスなんかもそう。いつだって最先端はMLB。
そのMLBの全球団が採用しているソックスメーカーが〈スタンス(STANCE)〉です。西海岸のカルチャーをルーツに作られるソックスは、履き心地や機能性、そして見た目のよさからストリートでも大人気。
で、今年の1月。日本のファッショニスタ球団である巨人が、ついに〈スタンス〉と手を組み、今シーズンからチームのオフィシャルソックスとして〈スタンス〉を採用しています。
それを記念し、今回、〈スタンス〉のアンバサダーであり、スケーター兼アーティストのラス・ポープが緊急来日。巨人戦を観戦し、スケートショップを巡って、東京を大満喫。その一部始終は、以下のYouTubeをチェックしてみて。
フイナム編集部も〈スタンス〉の魅力だったり、野球愛、スケートボード愛なんかを聞きたくて、突撃インタビュー。ラスさん、いろいろ教えてください!
エンゼルスとレッドソックス好きのラス・ポープ。
PROFILE
1970年生まれ。カリフォルニア州出身で、現在はボストンに在住。これまでアーティストとして数々のブランドとコラボレーションを重ね、プロスケートボーダーとしてそのシーンに数々の影響を与えてきた。〈スタンス〉が創設されたときからアンバサダーを務める。
Instagram:@russpope
ー ラスさん、東京はいかがですか?
ラス:いつ来ても楽しいよね!
ー 今回の来日は何度目ですか?
ラス:6回目かな。これまでは「GREENROOM FESTIVAL」だったり「Pilgrim Surf+Supply」なんかのアートショーに来ていたけど、今回の主な目的は巨人の試合を観戦することだから、ちょっといつもとは違う過ごし方をしているよ。
ー いま、ラスさんのお住まいはどちらで?
ラス:マサチューセッツ州のボストンだね。8年前にカリフォルニアから引っ越したんだ。
ー ボストンといえば、レッドソックスですよね。
ラス:Yeah、その通り。
ー マサタカ・ヨシダですね。
ラス:彼はグレートだよ! そういえば、この間、ヨシダとオオタニのマッチアップをボストンで見たんだ。ぼくはカリフォルニアに住んでたからエンゼルスも好きなんだよね。その試合は最高だったし、めちゃくちゃ盛り上がったよ!
ー 昨日観戦した巨人戦はどうでしたか?
ラス:日本でスポーツを観たのは初めてだったから、エキサイティングだったね。巨人が勝って大盛り上がり! しかも、レジェンドのコーチだったり選手にもフィールドレベルで会うことができて楽しかったよ。
ー 観戦しながら絵も描かれていたんですよね。
ラス:MLBの試合のときも、観戦しながらよく絵を描くんだ。そして、昨日描いたのがこの作品だね。いい感じに描けたと思うよ。
スタンスと野球の関係。
ー いま、巨人の選手たちも〈スタンス〉のソックスを履かれていて、その取組の一環でラスさんも観戦なさったわけですが、そもそも、なぜラスさんは〈スタンス〉のアンバサダーに?
ラス:〈スタンス〉の立ち上げメンバーのなかにライアン・キングマンがいたんだ。彼はアメリカのスケートカルチャーの重鎮で、いろんなブランドでアドバイザーをやりながらライダーたちともたくさん繋がりがある人で。で、〈スタンス〉の1番最初のアートコラボレーションのときに「やってみない?」って誘われて、それからぼくも、アンバサダーになることになって。
ー ありがとうございます。ラスさんが思う〈スタンス〉の魅力も教えてください。
ラス:〈スタンス〉はアンバサダーたちを「パンクス(常識に捉われない人) アンド ポエッツ(詩人)」って呼んでいるんだけど、アンバサダーのなかには歌手のリアーナだったり、NBA選手のジェームス・ハーデンなんかがいる。スケーターやサーファー以外にも、そうしたブラックカルチャーや、スポーツ、音楽なんかもだけど、ジャンルに囚われずパンクな詩人がたくさんいて、そのミクスチャー感が最高なんだよね。
もうひとつの魅力は、シンプルに、すごく調子のいい靴下をつくってるっていうこと。ほんとにクオリティが高いんだ。ぼくの仲間はこだわりが半端じゃない人も多いけど、どんな人も〈スタンス〉のソックスを気に入ってくれるからね。
ー カルチャー色の濃い〈スタンス〉ですが、履き心地も抜群だと。
ラス:カルチャーブランドはその側面だけになってしまうけど、〈スタンス〉は西海岸のカルチャーの背景がしっかりありながら、超テクニカルで、生地や縫製にも徹底的にこだわってる。カルチャーもクオリティも、どっちもあるのが一番の特徴だよね。そんなブランド、なかなかないと思わないかい?
ー ラスさんはスケートボードをやるときも、〈スタンス〉を履いてますか?
ラス:もちろん。というより、これ以外履かないからね(笑)。いま履いているやつもだけど、スケートボードをするときはいつも定番シリーズ。でも、コレクションによって生地の厚さやグリップなんかも変わっていたりして、スノーボード用があったり自転車用もある。巨人が履いているものは野球用だね。
すべてをマッシュアップしていくスタンス。
ー イメージとして、スケートボードは先鋭的なもので野球は保守的なもの。ふたつは対極にある気がするんですけど、ラスさんはどちらも好きで、それって珍しいなと思うんです。
ラス:ちょうどその話を朝食のときに話していたんだけど、古い世代で、スケートやサーフィンをやってきた人たちは「スポーツなんてf**kだ!」っていう感覚の人がいる。音楽もそうで、スケーターはジャズなんて聞かないしね。正直、自分もそうだったし、そのジェネレーションはみんなそうなんだけど、大人になっていくなかで「野球おもしろいじゃん」ってなってきたんだ。音楽も一緒で昔はパンクしか聞いてなかったけど、いまはジャズも聞くし、ブラジリアンとかラテンなんかも聞くようになっていってる。
ただね、それってぼくらだけ。いまの若い子たちは、はじめからミックスされたカルチャーのなかで生きてるんだ。若いバリバリのスケーターがゴルフもする、みたいなものが普通にあるから。
ー いまの子たちは、偏っていないと。
ラス:そう、マッシュアップだよね。ヘビメタもジャズもスケートも、なんでも好き。ぼくが若いときに「ジャズが好き」とか「ゴルフが好き」とか言っていたら、スケーター仲間から「お前、帰れよ」って言われてたと思うよ(笑)。
ー ラスさんは、マッシュアップしてる若い世代のことをポジティブに捉えてるんですか?
ラス:もちろんだよ。みんながそうなればいいと思ってる。それは音楽やスポーツだけじゃなくて、性別もだよね。例えばゲイの子が女装をしてスケボーしてても全然クールだしさ。それぞれがやりたいようにやって、それを受け入れられるっていうのが、1番イケてるんじゃないかな。
ー 〈スタンス〉がまさにそうですよね。野球選手がいて、歌手がいて、アーティストがいてスケーターがいる。すべてをマッシュアップして、いろんな人に届けようと。
ラス:そうだね。時代もそうなりはじめているけど、ずいぶん前から〈スタンス〉は先駆け的にやっているから。それも、靴下を通してね。スゴイことだと思うよ。
ー 今後の〈スタンス〉との取り組みの予定も教えていただけますか?
ラス:年に2、3回はコラボレーションの仕事をしているんだけど、いまはTシャツを一緒に作っているところ。日本のファンのみんなも、楽しみに待っていてもらえると嬉しいね。
ー (ここで、急にローソンのからあげクンが差し入れされて)え、ラスさんがからあげクンですか?
ラス:からあげクンってうまいじゃん(笑)。
ー なんでまた!?
ラス:アメリカで超有名な料理人がいるんだけど、彼は日本のラーメン屋で修行をして、アメリカに戻って店を出して大成功してる人なんだ。世界中のうまいものを食い尽くしたそんな人が、テレビのショーで「日本で1番うまいものは何?」っていう質問に「ローソンの食べ物」って答えていてさ。それを見て、はじめてローソンに行ったらからあげクンがあって、食べてみたら最高で。だから日本に来る度に、からあげくんを食べてるんだ(笑)。
Photo(interview)_Yuma Yoshitsugu
Photo(official)_Yoshifumi Shimizu
Text_Keisuke Kimura