トレイルランニングを嗜む人にとって憧れの称号の1つに「100マイラー」という言葉があります。100マイル、すなわち160kmのレースを完走した猛者に与えられる特別な称号。そんな100マイルのレースを生涯で100本完走することを目標に掲げているのが、プロトレイルランナーの井原知一さん、通称TOMOさんです。
すでに70本近く完走を果たし、圧倒的な経験値と走力を誇るTOMOさんでさえ、3度も挑戦して未だに完走できていないのが、悪魔のレースと称される「バークレーマラソンズ」です。
応募条件やエントリーの詳細は非公表で、参加者は毎年40名弱いるものの、過去36年間で完走者はわずか15名という謎多きこのレース。会場はアメリカ・テネシー州のフローズン・ヘッド・ステート・パークで、コースは約32kmを5周するループタイプで、ナビゲーションは一切無し。コース上に隠された本を見つけ出し、自身のビブナンバーのページを切り取ってくるという奇妙なルールまであり、選手の完走を妨げてきます。
そんなバークレーマラソンズの完走を目指し、4度目の戦いに挑むTOMOさんの姿を追うドキュメンタリーフィルム『メインクエスト ~バークレーマラソンズに導かれし者たち~』がvimeoにて公開されています。
悪魔のレースへの準備、心構え、レース直前の心境、世界屈指のトレイルランナーたちが参加する理由など、貴重な現地映像を交えながら、バークレーマラソンズの一端を1人の男の挑戦を通して目の当たりにすることができます。
なぜ人は走るという原始的な行為に、ここまで魅了されるのか。酔狂な猛者たちの極限のチャレンジから、その理由を感じ取ってみてください。