アートを通じてバスケコートのリノベーションを行う「go parkey(ゴーパーキー)」が日本第5号として手掛けた『江戸川・リノベーション・アートコートプロジェクト』。その1周年を記念して、地元のキッズを集めたクリニックやプロによる3×3を行う一日限りのイベントが11月16日(土)に開催されました。アートワークを担当したImaoneさんや協賛の〈スポルディング(SPALDING)〉チームも参加し、終始賑やかな雰囲気に包まれたこのイベント。当日の模様をレポートします。
バスケを通じて、子どもも大人も熱くなる!
スタート時間が近づくと、子どもたちが続々とコートに集まってきました。この日は、地元江戸川のキッズバスケットボールクラブ『江戸川モンキーズ』のメンバーや近隣に住む子供たち約40名が参加。最年少だと5歳のプレイヤーも。アーティストImaoneさんが描いたコートのデザインが施された〈スポルディング〉のボールも用意されており、会場入りと同時にキッズたちは思い思いにシュートやドリブルをはじめています。いますぐにでもプレーしたい! そんなワクワクが伝わってきました。そりゃ、こんなアートコートを前にしたら余計にテンションが上がっちゃいますよね。
開会のスピーチを経て、イベント開始。まず行われたのは、「TEAM SPALDING」の”もりもり”コーチによるクリニック体験。
もりもりコーチは、バスケットボールパフォーマーとしても活躍するだけあって、実戦的な技術に加え、ボール回しやハンドリング+レイアップなど、魅せるムーブもレクチャーしていきます。派手で遊びのあるテクニックで競うのもストリートバスケの醍醐味。自由な発想でプレーを楽しむ喜びを伝えているように感じました。
後半は、3×3のプロ選手もディフェンスとして参加。本気で倒そうと果敢にチャレンジする小学生のシュートを容赦無くブロックする場面もあり、プロの強さを体感できる貴重な時間となったことでしょう。
クリニックが終わると、プロ選手 vs コーチのエキシビションゲームが開催されました。ガンガン決まるスリーポイントやプロ選手のダンクに、キッズはもちろん保護者たちも大興奮。近距離で見るダンクの迫力に思わず声が出てしまいます。
公園バスケの魅力は遊びであり、ガチであること。終盤は、大人たちが本気で遊び、夢中でプレイしてバッチバチな真剣勝負に。そして、プロチームに大差で負け越していたコーチチームが意地を見せ、最後のゲームでは接戦を制して逆転勝利。一本一本のゲームで大人が本気で悔しがったり喜んだりする姿に、観戦しながらもグッと来てしまいました。年齢も人種も関係なく熱くなれる。スポーツってやっぱり最高ですね。
『人と地球の健康のために、ずっとスポーツができること』のスローガンの下、次の150年に向けて“PASS FOR THE FUTURE”活動を行っている〈スポルディング〉。イベント終了後、スポルディングのブランドマネージャー、山岡さんにコメントをもらいました。
「プロのプレーを真近で見ることで、子どもたちが、もっと上手くなりたいとか、よりバスケットボールと向き合うきっかけを作れて良かったと思います。普段からここに来ている子たちが多かったと思うんですけど、いつもとは違う景色が見えたんじゃないかなと。今日の思い出によって、さらにこのコートへの愛着が湧いたら嬉しいですね」
ブランドの活動の柱となっている“誰もがスポーツをできる環境づくり”の一環として、こういった特別なコートが生まれることは、まだまだ公園でバスケットボールをできる場所が少ない日本において、大きな意味のある取り組みだと感じました。
今後もスポルディングは、誰もがバスケットボールを楽しめる環境づくりや機会の提供を通して「go parkey」の活動を継続的にサポートしていくとのことです。
アートの魅力から、コートへのリスペクトが生まれる。
この日一日を通じて、主催者である「go parkey」の海老原奨さんと、コートのグラフィックを手がけたImaoneさんは何を思ったのか。イベントを終えた直後の二人に話を聞きました。
(左から)海老原 奨さん、Imaoneさん
ー まずは、今回のイベントを開催した経緯を教えてください。
海老原:コートをつくって終わりではなくて、やっぱりつくったコートが賑わってくれるのが目的なんですよね。この場所をいつも使ってくれている地元の人たちへ1周年の感謝の気持ちを込めて、改めてバスケットボールの楽しさを実感できるコンテンツを準備しました。
ー スキルコーチを招いたワークショップとプロの試合という、子どもたちの学びになる楽しい内容でしたね。
海老原:公園のコートの可能性を示すことがぼくたちのミッションだと思っています。NBA選手の多くが公園からバスケをはじめていて、実はストーリーはすべて地続きなんです。楽しさとともに、そういう可能性があるということを子どもたちに伝えたいと考えました。
ー リノベーションから1年。松本第二児童遊園のアートコートは、開業後どのように使われているのでしょう。
海老原:普段から自分のつくったコートにボールを持って見に行ったりするんですよ。どう使われているか気になるので。ここはすごく賑わっていて、特に週末はイベントじゃなくても今日と同じぐらいのひとが集まっていることもあります。小学生から中高生におじさんまで幅広く地元で愛されている印象です。
ー 大盛況ですね。すごく綺麗に使われているようですが、それもアートコートの力に思えます。
海老原:暗い高架下が明るくなったと自治体からも評判が良いです。いつもゴミが落ちていないのも、アートコートが上手く機能しているからで、コートをリスペクトする気持ちがあれば、誰かに言われなくても、自然と行動に現れるんですよね。今日もイベントの前にクリーンナップ清掃をしたのですが、大切に使われているんだなということを実感しました。
Imaone:嬉しいですね。自分の作品はもともと壁画がルーツ。ストリートという共通点でバスケットボールカルチャーと交わり、アートの良い作用が生まれて良かったと思っています。
ー 改めて、コートのデザインについて教えてください。
Imaone:暗い高架下だからこそ明るい色を使いました。わかりやすくキャッチーで高揚するようなデザインを意識しています。
ー このキャラクターは子どもたちが遊んでいるようなイメージなのでしょうか?
Imaone:そこは自由に解釈してもらえたらいいなと。大きい一枚絵のキャラクターというよりも、柄、パターンのようなデザインにしたのですが、これが新しくできたボールに役立ちました。平面から球体になってもバッチリとハマりましたね。
ー 実際にご自身のアートの上で子どもたちがプレーしている姿を見ていかがでしたか?
Imaone:たくさんの子どもたちが遊ぶ姿を実際に見られて嬉しかったですね。コートとボールに色があることで、すごく賑やかな雰囲気で楽しさも倍増したというか。これからも、そこに自分のアートが一役買えたら良いなと思っています。
海老原:この鮮やかな色が、記憶にもきっと残るんじゃないかなと。子どもたちって純粋で、これから無限の可能性があると思うんですよ。今日の一日で人生が変わるかもしれない。僕たちは、未来をそこに賭けたいなと思っているので、これからが楽しみですね。
ー 今後のgo parkeyの展望を教えてください。
海老原:ぼくたちの活動は、一過性のイベントではなくて、毎年継続してこそ意味があると考えています。ひたすらアートコートを増やしていくことが目標です。これまで日本に6つのアートコートをつくってきました。いろんなアートコート巡りを楽しめるぐらい、どんどん全国に広げていきたいですね。これからも、公園バスケの在り方を変えていけるような動きをしていきます。
Photo_Takuto Yamasaki
Text_Shu Nissen
江戸川・リノベーション・アートコートプロジェクト
場所::松本第二児童遊園
住所:東京都江戸川区松本1-38
主催:一般社団法人go parkey
協賛:スポルディング・ジャパン株式会社
後援:江戸川区役所
参加アーティスト:Imaone
Instagram:
@go_parkey
@spalding_japan
@imaone