何にでも言えることですが、インディペンデントな姿勢ってつい応援したくなります。誰かの指図を受けるわけでもなく、とにかくピュアにしたいことをする。忙しなく働く大人になるとつい忘れてしまうことですが、本当は誰もがお金は抜きでしたいことがもともとあって、いまの姿があると思うのです。
『.OWT.』は、フイナムでも撮影を担当してもらっている、写真家の呉屋慎吾さんがつくっているインディペンデントマガジン。いままでは撮影もインタビューもひとりで担当していましたが、少し前の号と同じく、呉屋さんが尊敬する編集・ライターの竹村卓さんがインタビューで参加し、いままでとまた異なる味わいが生まれています。
つい先日発売された6号目のテーマは「Coffee and Bread」。文字通り、コーヒーとパンの仕事をしている2名を取り上げています。
今号でフォーカスしているのは、東京・上北沢の「タチアナ焙煎所」の山下輝彦さんと、長野・茅野で「カルパ(KALPA)」を営む殿塚竜夫さん。スケートボードに影響を受けた呉屋さんらしく、どちらもスケーターというのが『.OWT.』ですね。
紙面に目を落とすと、やはり変化があります。それが体験型の取材を行っているということ。
山下さんとともにスペシャリティコーヒーの産地と知られてきたタイを訪れ、バンコクの「SAUCE COFFEE」とともにダイレクトトレードをしているコーヒー農園まで足を運び、実の収穫からプロセスまでの工程を追っています。コーヒーの実やコーヒー豆なんてさまざまな呼び方がありますが、飲めるコーヒーになるまではいろいろと必要なことがあるのです。旅の写真も、追体験として楽しめるのがいいですね。ちなみに期間限定で、訪れたけれど誌面未掲載というタイの農園のコーヒーを店頭で飲めるようにしているそうです。
一方、「カルパ」は殿塚さんのもとを訪れインタビュー。こちらにも少し変化が見られます。パンと暮らしについてを聞きつつも、パンについての解説ページもあるのです。いままでの姿勢にあった(と思われる)“呉屋さん自身が見たこと”を押し出した誌面構成よりも、“学んだことを見るひとにどう伝えるか”考えた構成になっているのかもしれません。これは完璧に推測なんですが。
毎号ソールドアウトになっているので、欲しいひとはお早めに公式通販か取り扱い店まで。そうそう、フイナムの編集もひとり、少し前にタイ取材に行ったんです。そちらも後日掲載予定なのでお楽しみに。
※先日の地震により被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げるとともに、1日も早い復興をお祈りいたします。