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池田尚輝スタイリストハッスルにて坂井達志に師事。'05年渡米。帰国後現在はファッションを中心として様々なフィールドで活動。www.naokiikeda.com

A STYLIST JOURNAL

池田尚輝
スタイリスト

ハッスルにて坂井達志に師事。'05年渡米。帰国後現在はファッションを中心として様々なフィールドで活動。
www.naokiikeda.com

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繊維と糸

2013.04.08

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元々レーヨンとはどんな素材か、とか、ポリエステルって何から出来てるのか、とか調べるのは好きな方だったけど、一通り知った気になって、最近はそんなに掘り起こすようなことは無かった。

被服に関わる仕事を生業としているのだから当然な事なのですが、最近は殊更に糸や繊維(フィラメント)に反応している気がする。

せんだって、John Smedley、Johnstons擁するリーミルズエージェンシーさんの展示会にて、フイナムブログにも参加中の長渕社長にJohnstonsの糸、パリのビッグメゾンH社のOEMの素材指示(カシミア×ウールでもH社の指示は混紡率が独自!とか、糸1本あたりの撚ってる繊維の本数が多い!とか)、Corgiのマーセライズドコットンの新旧について(マーセライズドコットンソックスのデッドストックを個人的に保持しているらしい)などなど、込み入った素材の話を伺い、素材や繊維に対する好奇心が再び盛り上がる。

素材の魔術師なる異名を持つ阿部さんの手掛けるKolorの製品も、毎度ユニークな混紡で、素材表示をみるだけでも唸ってしまう。ちなみに今季購入したシャリっとした質感が涼しげなパンツはポリエステル52%コットン36%麻(ラミー)12%。とても繊細な混紡率のブレンド生地だ。
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で写真は先日訪れた沖縄にて、北部のヤンバル地方に属す大宜味村の芭蕉布会館に赴いた折、前の糸芭蕉の畑と出来上がった製品の花瓶敷き。
この葉は沖縄では至る所で生えていたが、それまで無知で、芭蕉とは知らず、何となく見過ごしていた。同じような葉の付くバナナ!である実芭蕉も場所によって見受けられた。この糸芭蕉の茎の部分から繊維を取り出し、1.5Mしかない繊維を丁寧に繋ぎ合わせ、紡いでやがて糸にし、天然染料による染色を施し、湿度管理の元、高機(たかばた)で織り上げ、各々の製品に仕上げるという滅入ってしまいそうな行程を経て、我々が手に出来るようになるようである。

八重山地方含め沖縄には1300年頃からこういった織物が存在したらしいが、時代の変遷の中で衰退の危機に見舞われた時期が幾度もあったが、民藝運動の始祖、柳宗悦氏の後押しや、倉敷民藝館初代館長、外村吉之介氏に師事した大宜味村出身の人間国宝、平良敏子さんらの尽力により復興。現在は国の重要無形文化財に指定されている。

素材の調達、生地、パターンメイキング、デザイン、流通と考えると、案外、服って高くはないな、と思える今日この頃である。

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