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南井正弘Freewriter&Sneakerologist1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドに10年勤務後ライターに転身。主な著書に「スニーカースタイル」「NIKE AIR BOOK」などがある。

履けばわかるさ、着てもわかるさ

南井正弘
Freewriter&Sneakerologist

1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドに10年勤務後ライターに転身。主な著書に「スニーカースタイル」「NIKE AIR BOOK」などがある。

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今日のレース@コロラド ベイル

2012.06.06

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vail_start.jpg

標高9000フィート(約2700メートル)にある全米屈指の高級スキーリゾートとして知られるコロラド州のベイル。この街で年2回行われるのが、TEVA MOUNTAIN GAMES。多くのアウトドアアスリートに注目されるこのイベントに今回取材に来たわけですが、「走るライター」としては見てるだけではつまらない。ということで当初は21kmのVail Pass Half Marathonに出場するつもりでしたが、日本でTEVAをハンドリングするギャビンさんに「高所で空気が薄いから自分と一緒に10kmに出よう!」と言われ10kmの2012 VOLVO 10K SPRING RUN OFF PRESENTED BY GARMINにエントリー変更。

日本にいる時は忙しくて、ちゃんとコースとかチェックしてなかったけど、現地に入ってからよくよくチェックしてみると、10kmのほうはGNC ULTIMATE MOUNTAIN CHALLENGE PRESENTED by Kru82というトレイルランニングツアーの一部らしく、トップ選手も参加するアップダウンの激しい過酷なコースということが発覚。さらに10kmで1800フィート(約550メートル)の高度をゲインする難コースで、「全米で最も過酷な10kmトレイルランレース」のキャッチコピーを見てビビリます。一方のハーフマラソンのほうはなだらかな坂をひたすら走るだけ。上のリンクでコースを比較すれば、明らかにハーフマラソンのほうがイージーそうですが、時すでに遅し。レース当日を迎えました。

今回はあくまで取材が目的であり、それほど気合も入ってなかったからか、GARMIN405を持ってくるのを忘れたので、フイナムの小牟田さんにCASIOのG-SHOCKを借ります。「1時間30分で帰ってこれたらいいかな?」という気持ちで朝8時にレースはスタート。ベイルの街をスタートするとなだらかな坂を上り、ゲレンデエリアを目指します。途中から人一人がやっと通れる急勾配となると走ることはできません。ここで息の切れ方が半端ない。ようやく上りきりゲレンデエリアを横切ることになりますが、ここの傾斜が凄く右足が下になるかたちで強い負荷がかかり、走ろうにも走れない。ふと下を見るとベイルの街がキレイ。勝手ににここがこのレースの最高点だと解釈して記念に写真撮影します。しかしながらゲレンデを抜け自動車も通れそうな道に出たあともしばらく上りが続くので、体力を温存するためにも、ここは走るのではなく速目のペースで歩きます。しばらくすると下りになり、丁度箱根駅伝の下りコースのよう。多分ここではkm/5分前後のスピードが出ていたと思います。しばらく軽快なペースで走ると最初のエイドステーションが。ここでゲータレードを飲み、「さあ、飛ばすぞ!」と思うと、コースはこれまで走ってきた道路ではなく、横の獣道でひたすら上り。実はさっきのゲレンデエリアは最高点でもなんでもなく、ここからが最高到達点への険しい道だったのです。

なんとか最高点に到達すると再び下りになりますが、ヘアピンカーブというかスイッチバックというか、鋭角な曲がりが続くのでスピードが出せない。足首への負担も相当なもので、日本のトレイルを飛ばすような走り方ができない。下りなのに体力的にはかなり消耗しました。下りきった位置にある2度目のエイドステーションではゲータレードを2杯飲み、再び地獄のような上りへ。途中手を使わないと上れないような箇所もあったりして。ここもなんとかかんとか最高点まで上りきるとあとは下り。途中に5マイルの表示が見え、このときで1時間7分だったから、あと1.5マイルを23分ほどで走れば目標はクリアすることになります。しばらく走ると左手にベイルの街が見えたのにも勇気付けられました。

雰囲気的に「あとはベイルの街まで下るだけ!」そう思ってましたが大間違い。このコース最大の上りが待ち構えていたのです。ここでは途中休憩するランナーや、あまりの辛さに嘔吐するランナーも。「こんな辛いことをするためにオーストラリアから来たんじゃない」という恨み節を吐くランナーもいたりして。この急傾斜の途中には大型犬を連れた白人女性が「エイドステーションはもうすぐよ!」というから上を見上げると、頂上はまだまだ。応援は嬉しいけど、逆にテンション落ちるっつうの(笑)。

最後のエイドステーションでもゲータレードを二杯飲み、後は下り。走れど走れどゴールに到着しません。途中でさっきの5マイル表示は間違いか、4.5マイルの見間違いであることを推測しました。街までは軽快に飛ばしたので何人かのランナーを抜きましたが、途中で心臓に感じたことのない痛みが。思わず先日急死した水泳のダーレ・オーエン選手のことを思い出し、安全第一でペースを落とすことにしました。

心臓の痛みは1分ほどで消えたので、再びぺースアップしてゴール。記録は1時間41分18秒。ゴールの脇にあったオレンジを食べると、これが美味いのなんの。4,5切れをあっという間に平らげました。このオレンジの美味さは一生忘れないでしょう。トレイルランニングは何度か経験していましたが、トレイルでのレースは初めて。一度も休憩しなかったし、下りでは一度も歩かなかったことはちょっぴり自信になりました。去年1月の湘南国際マラソンでサブ4を記録したとき以来の達成感もあったし。あとトレイルのレースは路面が柔らかい箇所が多いからか、筋肉への負担が少ないような気がしたのもイイですね。実際脚部の疲労も思ったより早く回復したので。

トレイルランの楽しさを再認識したので、これからは日本でもトレイルのレースに参加したいと思います。今度はエントリー前にちゃんとコースをチェックして、楽しそうなレースにしますけどね(笑)。


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レース途中で撮影したベイルの街。下から見ている人たちからすると「あんな高いところを走るんだ!?」という場所を自分たちランナーは走っていたらしい。


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レース前はFACEBOOKでおなじみの「いいね!」ポーズで余裕だったんですけどね。標高2700メートルは想像以上に酸素が薄かったです。ちょっと走っただけで息が切れるほど。


今回の滞在においてMTVでヘビーローテーションで流れてた曲。ロックやヒップホップだけじゃなく、アメリカ人はテイラー・スイフトといい、こんな感じの曲も大好きですな。PVの最後のオチは現代アメリカを象徴してます(笑)。

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