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蔡俊行フイナム発行人ファッション関係のマーケティング全般に関する仕事が主業務。WEBマガジン「フイナム」の発行主。

代官山通信

蔡俊行
フイナム発行人

ファッション関係のマーケティング全般に関する仕事が主業務。WEBマガジン「フイナム」の発行主。

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ホームレス中学生

2007.11.13

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 最近の子供たちはお互いの家に遊びに行くのにアポイント制である。大体において母親がその連絡をする。そして一緒に食べられるおやつを持っていくのがマナー。
もちろんこんな慣習のない地域も数多くあるかも知れない。しかしこれはいろんなところでよく聞く話。昔のように適当に遊びに行って、ついでにおばちゃんに「○○くん、ゴハン食べて行き」なんて言われてお呼ばれするなんてのはかなりのレアケースになったようだ。
これに関して昔は良かったとかなんとか感傷的に言うつもりはない。時代である。核家族化、あるいは両親共働き、いろいろ理由はある。世の中便利に快適に物質的には豊になった代償として払うものなのだ。これが戦後自由民主党が作った社会。どこの家にもテレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、パソコン、クルマがある。餓えもない。どうだ良い社会だろうと言われるとそうかも知れない。でもそうでもないかも知れない。
話題になっているお笑いコンビ、麒麟の田村裕の「ホームレス中学生」を読んだ。週末姉の家のテレビラックの上に無造作に置かれていたのをパラパラめくり興味を持ったので、昨夜書店で買った。
年を取ると涙腺が弱まるという話を先輩達からよく聞かされているけど、昨夜それを噛みしめた。読みながらどうにも鼻の奥がツーンとするのである。こういう人情話に弱い。
リリー・フランキーの東京タワーが300万部超であるから、これ本もそれに肉薄するだろう。すでに100万部売れているらしい。たぶん映画にもテレビドラマにもなるはずだ。
それにしても友達のお母さん、お父さんのやさしさ、懐の深さはどうなんだろう。さすが関西である。
東京にも下町が存在し、映画寅さんの中では人々は人情に溢れている。もちろんそうした古き良き伝統はいまでも脈々と続いているに違いない。
先頃、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」をテレビで放映していたが、あの映画の素晴らしさもこうした人情がベースにあった社会の背景。人々はそれに郷愁の念らしきものを抱いたのではないか。
毎日のように繰り返される殺人事件などを見て、どうにも大変なものを失いつつあるなあと感じつつ読了したのであった。

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