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蔡俊行フイナム発行人ファッション関係のマーケティング全般に関する仕事が主業務。WEBマガジン「フイナム」の発行主。

代官山通信

蔡俊行
フイナム発行人

ファッション関係のマーケティング全般に関する仕事が主業務。WEBマガジン「フイナム」の発行主。

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エール

2009.11.02

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 今日の日経MJにシップスが昨年より価格を2~3割下げたコートなどを11月から販売するという記事があった。価格を安くしても品質は昨年同様というコメントもあるので、身を切っての値下げということになる。ついにセレクトショップにも衣料品のデフレが浸食してきたようだ。仮にこの策が好調なら、フォローするセレクトも出てくるだろう。するとどうなるか。値下げ競争である。

 適正な利幅を乗せたビジネスであるので、純粋な値下げは粗利を圧縮する。粗利の圧縮は望むところでないので、納入業者からの仕入れ値の交渉になる。業者に選択肢はあまりない。結局は業者も小売り側も肉を切っての出血を覚悟しなくてはならない。

 さらに昨年同様の粗利を得るには、昨年以上の数量を販売が必要だ。2〜3割の割安ということは単純に3割以上の数量をさばかないと昨年同様にならない。マーケットは縮小気味で、ファストファッションが幅を利かせている現在で果たしてこの施策は?

 セレクトショップのオリジナル商品は、ファストファッションの価格に収斂する方向に進んでいるように見える。どこかで下げ止まり、V字回復とまではいかないまでも戻す可能性はあるのだろうか。たぶん限界値まで下げ、そこから当分の間、回復しないだろう。

 いつの間にかトレンドのファッション製品はコモディティ化してしまった。トレンドを追いかけている限り、このデフレの圧力に屈するしかない。

 こういう時代だからこそ、確立したブランド価値、他にないオリジナリティ、適正なモノの価値というのが唯一のよりどころになる。セレクトショップには、人材がいる。そして暖簾の底力がある。90時間暗闇と死の恐怖に耐えて生還したあの船乗りの方たちのように、ここは辛抱ですよ。

 歌謡曲が死んでいた時代もあったけど、J-popという形で復活した。日本映画はずっと斜陽産業とさえ言われて来た。しかしシネコンなどのハコの整備などでこちらも復活した。女子ゴルフは存続の危機と言われていた時代もあるけど、若いスター達のお陰で人気コンテンツとなった。

 時代は巡る。きっといいことはあります。嵐が過ぎるのをじっとこらえましょう。

Comments: 5

某セレクトB社で顧客関連の部署に所属する者です。
せっかくいただいたエール(勝手に思ってます)でしたのでコメント残させていただきます。

個人的な意見ですが、
総中流社会でなくなった日本において、
ファストファッションはひとつのカテゴリーとして
定着するものと考えております。

今後の『セレクト系』の生き残る(進むべき?)道としても
「アイドルF.A.の育成」「発見・安心・驚きのある店舗(商品)作り」
が必須と捉えております。

まだまだプロジェクト始動もしていない状況ですが、
指をくわえて見ているだけでは何も進まないので、
U字回復目指して頑張って参ります。

これからも楽しくブログ拝見させていただきます。
宜しくお願い致します。

辛抱して時代が退行するのを待つだけですか?

変化に対応する者のみが生き残ることができるのでは。

みかんさんのおっしゃる通りかも..

ファッションに興味を示す人間もどんどん新しい世代へと移り変わっております。確実に今まで通りでは難しいでしょう。

うまく共存していく何かを考えねば..ですよ。

とりあえず、
店舗を絞って、
わざわざでも出向きたい店舗作りをすることだろうなあ。

蔡さん、こんにちは。
お世話になっています。
中澤です。
蔡さんのブログいつも楽しみにしています。
ウチの事を取り上げて頂いたので遅ればせながら
コメントさせて頂きます。
ファストファションとセレクト、もしくはブランドと
最近のファストファションは、常に様々な対抗馬と比較され
沢山の人達の意見や考えを目、耳にします。
それは、凄くいい事で時として的はずれな事も1年、2年後に
適正な事、またその逆もありますね。
僕らがセレクトショップと言われ始める前は、百貨店に対し
タカキュー、YUKIYA、三峰などの専門小売店が上げられ、
その後に百貨店の対抗馬にセレクトが上げられたと記憶しています。
その後の事は、周知でセレクトショップの時代は続き現在に
至っています。
正直、ファスト系とウチの場合対抗意識は、ありませんね。
まったく違います。
蔡さんもコメントされていますが「コレがコンな値段で…。」
って言う部分は、正直に刺激されました。
(当然相当な努力をされているファストさんもありますね。)
メーカー、工場も同様でしょう。
大半の小売業が苦戦している今、我々セレクトも様々な事を
しなくてはいけない、と思います。
そんななか「コレが…」という部分で作り手、売り手にも
良い刺激になったと思います。
会社によって考え方やり方も違うだろし、
同じ社内でも違うでしょう。
言い訳と取られてもしょうがありませんが今回の件は、
売り上げ予算を想定するなか、毎シーズン確実
に売れるベストセラーアイテムが「もし、売れなかったら」
と仮想したときに「安価ならどうか?」というテストケースと
捕らえて下さい。
当然、発注数は通年の1,5~2,5倍で素材メーカー、工場にも
協力してもらいました。
ご存知のとおり、国内メーカー、工場の経営状態は本当に
厳しく工賃も昨年より安価で請け負ってもらえます。
それ以外にも様々な要因があって出来た価格設定です。
昨対減ですが当然、利益も取っています。
取材された日経の記者の方がどう捕らえたのは解りませんが
我々は今の時代、市場にマッチもしくは半歩先を見据えた
トライアルとして提案させて頂いた一部のセレクトアイテム
ですね。
今後もこのようなトライはしていくと思いますがけして
"値下げ競争"には、エントリーしません、断言します!!。

僕らはいつも「負けない」という誇りを持って今まで
通りのレースを続けます。
僕らは、洋服屋ですらね!!。

長々と失礼しました。

中澤さん

ご無沙汰しています。
コメントありがとうございます。
洋服屋の矜持があればファストファッションは、
恐るるに足らずだとぼくも思います。

やってること、向かっている方向が
まったく違いますからね。

ビジネスのツールとして衣類を扱っているか、
あるいは職業として両手で衣類を
大切に扱っているかの違いというんでしょうかね、
そんな違いがあると思います。
むつかしい表現ですいません。
ビジネスなら歯ブラシ売っても、
スリッパ売っても、儲かればいいんですから。
しかし洋服屋さんは、儲けるだけが目的では
ないですもんね。
フイナムは、いつでも全面的に
セレクトショップを応援してますよ。


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