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蔡俊行フイナム発行人ファッション関係のマーケティング全般に関する仕事が主業務。WEBマガジン「フイナム」の発行主。

代官山通信

蔡俊行
フイナム発行人

ファッション関係のマーケティング全般に関する仕事が主業務。WEBマガジン「フイナム」の発行主。

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ユッケ

2011.05.10

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 以前焼肉屋(的?)なお店を開店プロデュースしたことがある。過去形で書くと変だね。いまももちろん営業はしていて相変わらず美味しい。一応名は伏す。しかし、これだけでどこの店か特定されるだろう。愛想は悪いが、モノは一流。どうにもタチの悪い店である。

 この店の最大の売りは肉の鮮度だ。店に肉用の冷凍庫はない。つまり冷凍肉はない。なので年末年始、お盆の時期は、それなりに店を閉めざるを得ない。河岸ならぬ、食肉工場が休みなので営業できないのだ。ある意味、肉の寿司屋である。

 しかし肉は腐りかけがいちばん美味しい。これは実験し、経験したこともある真実である。黒毛和牛のタンなんて3週間くらい恒温冷蔵庫に保存し、まわりをばっさりトリミングして中身を削いで塩焼きで食べると人生に新たなステージが現れる。実際そうして出す高級牛タン店も横浜日の出町と六本木にある。肉は熟成させたほうがより美味しいのだ。

 しかしホルモンはそうは行かない。熟成させるのはあくまで精肉であって、内蔵はNGだ。ホルモンは足が早い。放っておくとすぐに匂いを放つ。つまり鮮度が大事。自プロデュースの店はホルモン類が中心なので、鮮度管理には敏感。ハラミなどの赤身も少し残念だけど、熟成させずに新鮮なまま供している。

 もちろんメニューにはユッケもある。なので最近のニュースを当事者のことのように聞いている。犠牲になった方たちを気の毒に思うし、このような事件が回避できなかったのがとても残念に思う。焼肉関係者は身を引き締めて衛生管理に勤めないとならないと思う。

 ちなみに肉屋さんと直接話したことはないが、「ユッケ用の肉」を仕入れたいというと、肉屋さんは牛モモ肉を通常持ってくることを知っている。その時、この肉は国の機関の検査を通って出荷された物であるとかないとか、そんな説明は無い。たぶんみんな「ユッケ用の肉」を注文し、ただ届いた肉をそのまま供しているだけだと思う。残念ながらこれまではそういうことだった。改めましょう。

 ところで魚の刺身には検査がない。あるのかも知れないがこれも聞いたことがない。野菜はどうだ。生で食べる葉野菜とか大丈夫? このままだと食べ物すべて国の機関の検査が必要になってくるのか。

 震災の後、自粛ムードで日本経済が沈まないように外食産業を応援しようなんて気持ちになった方たちも今回の事件でまた戦意喪失だろう。どうも日本はいい方向へ行ってない気がするなあ。

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