ブルーバレンタイン - 代官山通信（蔡 俊行）

　今日はホワイトデー。今年は平和にこのイベントというか風習が静かに日本中で繰り広げられるだろうが、去年はまったく様子が違った。それどころではなかったと思う。震災後の月曜日。会社に来る者も来れなかった者もいた。結局水曜から会社は休業に入った。放射能の不安。あれから一年だけど、事態は好転しているだろうか？

　それはともかくホワイトデーといえばバレンタインである。昨夜古い友人たちと食事をしながらふと映画の話になり、ぼくは「ブルーバレンタイン」を推したのだが、友人のひとりが興味深い様子で何か話したそうにしているので、何かと思ったら、監督を知っているという。デレク・シアンフランセというその監督は、まだ成功者とはいえず、この映画でサンダンス映画祭に招待された時、そこへ着ていく服を持っていなかったそうである。買うお金にも不自由していたらしい。そこでこの友人が作っている服を一式彼にプレゼントしたという。そして彼はその服を着て映画祭で挨拶し（たぶん）、作品を賞賛された（たぶん）のだろうと思う。へえ、すごいね、という話。

　人はどこでどう他の人と繋がっているかまったくもって不思議ですね。