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田中恭平ELIMINATOR PRESS 代官山のセレクトショップ”ELIMINATOR”のPRESS。世界に一店舗だからこそ出来る事、世界に一店舗だからこそ言わなくてはいけないコアな情報や新たな価値観の提案を発信していけたらと思っています。www.eliminator.co.jp

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田中恭平
ELIMINATOR PRESS
代官山のセレクトショップ”ELIMINATOR”のPRESS。世界に一店舗だからこそ出来る事、世界に一店舗だからこそ言わなくてはいけないコアな情報や新たな価値観の提案を発信していけたらと思っています。

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Mr.RAF SIMONSインタビュー④/FANTASTIC MAN issue14

2012.01.16

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本日1/16(月)にRAF SIMONS 2012 SPRING SUMMER 1stデリバリー分が
入荷致しました。詳細はSHOPまでお問い合わせ下さい。
TEL:03-3464-8144(営業時間 12:00〜20:00)

RAFのプライベートライフにもちょっと触れてみたい。
「僕の仕事のスケジュールは強烈だよ。でも、こなしているけどね」。彼は語る。そう彼は独り者である。
「多分僕は共に過ごすのに適切な人格の人に会っていないのかもね。でも一人でいるのは好きなんだよ。リレーションシップだけで人生が良くなるとも思わないけど明日にも起こるかもね。誰か解る人いない?神のみぞ知るかな。もし時間があれば解るかも...。でも僕は山羊座の人間だ、そして皆は山羊座の人生は後追い型であると...。僕らはシリアスな星の下に生まれた、そして簡単に年をとる。解るかい?50才になった時でも、無敵なティーンエージャーみたいに人生を突き進まなくてはならない」。
「僕は準備出来てるけどね」。RAFは笑う。「正直、自分は25才のままの精神状態だよ。肉体的にはないけどね。しかしマインドは25才のまんまなんだよ」。
 
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ここで私は彼に、二つのレーベル(JIL SANDERブランドとRAF SIMONSブランド)について、世界一規律正しい人間になることをお勧めしたいと思った。年に4回のメンズコレクションとクルーズ、リゾート、そしてJIL SANDERのレディースウエアプレコレクション。
 
「そうだね。僕は規律正しい人間かな」。彼は言う。「最初の5年間はこのスケジュールがこなせるかどうかを疑っていた。皆はコレクションの為に十分に時間を費やしたいと考えるだろう。しかしそれは許されないという状況。しかし僕は経験によりそれらをこなすことを学んだんだよ。実はそれはトレンドを作るという意味でもあり僕を魅了する事でもあるんだ。もし何らかのコレクションを製作したらすぐに距離をおく、これは簡単に出来るようになった。でもこれは僕の助手達を悩ませるものでもある。彼らにとっては"うるさい!"といったところだろうね。サマーシーズンのショーは、もうすぐだけど、もう既にウィンターシーズンの内容は考えてある。I WANT NEW , NEW , NEW , NEW , NEWという感じだよ」。
 
今日のRAFの服装はペンキがちりばめられたALEXANDER McQUEENのデニムショーツ、どこかのスケートブランドのチェックシャツ、そしてRAF SIMONSのサンダル。彼は自身のブランドのものを着用するより他のブランドのものを着るのが好きなのだそうだ。「もちろん僕がデザインを始めた理由は自分が考える良い服がなかったからなんだけど、時間と共にRAF SIMONSは"ブランド"となり自分自身とブランドは別のものとなってきた。この二つは同じにはなれないよ。僕はデザイナーがデザイナー自身の服を着なければいけないというルールはないと思う。僕は思うけどRICK OWENSやSTEFANO PILATIもそうだよね。でももし僕が全てを自分で着たいと思ったらどうだろう。RAF SIMONSはもっと簡単なブランドになってしまう気がする。僕はRAF SIMONSというブランドの服は心理学的で知覚的なものであって欲しい、と思っているんだ。そして男達が自分自身を服と共にどのように見るか、ということが気になる。僕は"THE MIRROR"(鏡)というコンセプトが好きなんだ。これは僕自身の事とは全く異なる。つまりブランド自体はエクストリームな存在だけれども、自分自身はエクストリームではないという事」。
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彼は2011SSのコレクションにおいて数年前に発表した過剰なバギーシルエットのフレアートラウザー、ジップアップのトップス、そしてホワイトとパステルカラーを多用した。「このコレクションでは僕が着るような服は無くて、若い子がいかにフェミニンで両性具有的になれるかというテーマを追求したもの。そしてMARTIN MARGIELAのファーストコレクションからの引用もある。これを僕が着ると思うかい?」。しかしRAFはJIL SANDERを着ることはいとわないようだ。「僕は15本も同じトラウザーをオーダーしたよ」。彼は語る。「そしてPRADAも好きだ。MIUCCIAの仕事は素晴らしいね」。
 
ファッションデザイナーをこなす傍らRAFは異なったキャリアとして、彼の友人であるCHRISTIAN CIGRANGによるベルギーのSHIPPING MAGAZINEにてアートバイヤーもこなしている。私が始めてRAFに出会った2001年にアムステルダムにて彼にインタビューした事があるが、彼は黒いボンバーJKTをネイビーのクルーネックセーターの上に羽織っており、ボトムスにはブラックジーンズと白いレザースニーカーを合わせていた。インタビュー後に町中へ自転車で繰り出したのだが、RAFはCIGRANGのバイヤーの仕事の一環として幾つかのギャラリーを訪ねたがっていた。
 
最後の訪問先であるPRINSENGRACHTにあるPAUL ANDRIESSEギャラリーに着いたのは昼頃だった。RAFは特にロンドンを活動の拠点とするオランダ人アーティストMICHAEL RAEDECKERの刺繍ペイントに興味を持っていたが、これは安いものではなかったようだ。RAFはギャラリーのアシスタントにこのアートピースについて聞いてみたのだが、彼女はMr. ANDRIESSE自身に聞いてくれと言ってきた。そこでRAFはバックオフィスにあるANDRIESSEのオフィスへと一直線に向かったのだが、彼はRAFのフーリガンのようなボンバーJKTとブラックジーンズそして白いスニーカーに目が行ったようだ。
 
「私はアポイントなしでは客には会わないぞ」。ANDRIESSEは言った。
そこでRAFは「OK。では今日アポイントを取りたい」。ANDRIESSEの答えは「NO !」。
RAFはこの仕打ちに出鼻をくじかれ、そして当惑した。もちろん彼がこのギャラリーに必要なものを購入するために再度訪れる事はなかった。
 
このギャラリーに訪れた際のことを思い出すとRAFは「そうだね。僕たちはおかげでRAEDEKERの作品を買う事は出来なくなってしまった。彼の仕事を僕が大好きでもね!」。しかし、このシーンを思い起こす事はないそうだ。「それがアートの世界で働くという事だよ。君は君のポジションで生計を立てている。でもそれは僕がRAF SIMONSである事とは関係のない事だよ。そしてアートピースを購入する際も、他のものをバイヤーそしてキュレーターとして探せばよいだけ。でもね、ライセンスが欲しいのは今でも変わらないよ」。

このようなアートに対する世界のあり方は、ファッションのバカげた状況にも通ずるとRAFは考えている。「僕は自分がファッションという世界で年を取っていくとしても、LAGERFELDのようには考えられないし出来ない。彼のような大騒ぎですべてが早く過ぎ去っていくようなやり方は人生において普遍的とは言えない。しかし僕自身が年を重ねたときに変わらず素晴らしいアートピースを探している姿は想像出来る」。MARTIN MARGIELAとHELMUT LANGについてRAFは言う。「なぜMARTINとHELMUTが若くしてファッション界から遠のいたか解る気がするよ」。
 
ここ数年RAFのアートプロフィールは著しく上がってきた。これはCOLLECTION CIGRANG FRERESでのバイヤーとしての評価によるものである。彼はCIGRANGと共にアートコレクションを構築することで自身のコレクションも充実させているようだ。「僕は結果的にアートにファッション以上の興味を持っているようだ。僕の同僚がiPadをくれたんだけど、彼女と一緒にオフィスで夜を徹してart net.comを読んで探し回り、さらにTHE NEW YORK TIMESオンラインのアートレビューまで読みふける始末だよ」。
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VENICEで開かれるART BIENNALE開催一日前にRAFに会った際に彼はイベントに対して、たとえ7月の中旬までしか滞在できないとしても究極にエキサイトしていた。その際に彼は会うなりアドバイスしてきた。「まずやることはGIARDINI(開催地)に着いたらCANADIAN PAVILIONに脇目もふらず向かうこと。彼らは僕が大好きなSTEPHEN SHEARERの作品を持ってるよ」。実はRAFはここ数年SHEARERの作品を購入することを望んでいるのだが、どうにも運が回ってこないようだ。 RAFはSHEARERが描くロングヘアーの人物に魅了されているそうで...。「以前LONDONにあるSTUART SHAVE MODERN ARTを通じてSTEPHENの作品を一点買う機会があったんだけど。そのチャンスを逃した事をとても悔しく思っているんだ。その時はもっと繊細な技法の絵が好きだったんだね。今はSHEARERの作品が自分のベストなのだけどね。でもそれがアートというものだよ」。RAFは言う。そして事実それはファッションも同じで、初めは動揺してしまうようなものでも最終的には最大に好きになる可能性はあるという事。
 
今年のファッションショーのスケジュールの都合でRAFはART BASELイベントに行けなかったようだ。「このイベントを逃したことは腹立たしいね。毎年行っていたのに!でも仕方ない、今はショーが大事だよ」。事実彼は3年前のART BASELイベントにてJIL SANDERと出会っている。
 
Ms. SANDERが名前を冠したレーベルを2004年にリタイアして以来、ブランドを引き継いだRAFは彼女に会う事を夢想していたそうだ。彼を取り巻く人々はそれを良いアイディアだとは思っていなかったとしても...。そしてBASELでのある日に彼は友人達とホットドッグを食べていたのだが、友人の一人であるアーティストのGERMAINE KRUIPと共にMs. SANDERが近くのテーブルにいるのを見つけた。「そのときは自分では確証を得られなかったからGERMAINEに確認したよ。あれJILだよね。するとGERMAINEは"YES確かに彼女だ"と答えた。JILは、なんと一人でサングラスを掛けて座っていたよ。そして程なくして僕を見たんだが、その10分間はとてもぎこちない状況だったよ。僕とJILは互いを近くで見ながら僕は次の行動を考えていた。そして思った"OKAY俺!俺はジェントルマンになるんだ"とね。僕は彼女の方へ歩いて行ったんだけど、たったの20メートルの距離を歩いているのに気分はモーゼが砂漠からの大移動をしているかのような気分だったよ。オーマイゴッド!僕は彼女のテーブルに着いてしまった!彼女はサングラスを外して僕と握手をしてくれた。そして彼女のメゾンを取り扱うPRADA GROUPのやり方について話し始めた。そして裁縫師が職を失った事、さらにはアトリエも閉めてしまった事などを話してくれた。そして僕と僕の友人達も彼女の友人達と共にテーブルに着くことが出来て、僕のことを彼女の友人達に"彼は私のブランドをとても良くしてくれているわ。彼のやることに私はとても満足してるの"という言葉と共に紹介してくれたんだ」。

この続きはまた明日、本ブログにアップ致します。

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