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川田十夢公私ともに長男。「AR三兄弟の企画書(日経BP社)」、「ARで何が変わるか?(技術評論社)」、TVBros.連載「魚にチクビはあるのだろうか?」、WIRED連載「未来から来た男」、ワラパッパ連載「シンガーソング・タグクラウド」、エンジニアtype連載「微分積分、いい気分。」など。発明と執筆で、やまだかつてない世界を設計している。https://twitter.com/cmrr_xxxhttp://alternativedesign.jp/

青雲、それは君が見た光。

川田十夢
公私ともに長男。「AR三兄弟の企画書(日経BP社)」、「ARで何が変わるか?(技術評論社)」、TVBros.連載「魚にチクビはあるのだろうか?」、WIRED連載「未来から来た男」、ワラパッパ連載「シンガーソング・タグクラウド」、エンジニアtype連載「微分積分、いい気分。」など。発明と執筆で、やまだかつてない世界を設計している。
https://twitter.com/cmrr_xxx
http://alternativedesign.jp/

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ファッションは、浮ついた存在であって欲しい。

2012.04.06

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不意に更新するフイナムブログ。今回はファッションについて語りたいと思います。

僕は普段、ファッションについてあんまり細かく語らないようにしています。それは、タイトルにあるように、「ファッションには、いつまでも浮ついていて欲しい。」という願いがあるからです。とはいえ、マイクを向けられる機会があれば、話すこともあります。僕がファッションに対して思うことは、「ファッションは語りはじめた」という本の座談会のひとこまで、大雑把に可読化されています。



具体的にファッションの仕事を手掛けるようになったのには契機があって、それはシアタープロダクツの金森香さんとの出会いでした。彼女とは、悪魔のしるしを通して顔見知りでしたが、彼女の本業についてはあまり知りませんでした。それが、ドリフのファッション研究所というPARCOで開催されたトークイベントをきっかけに急接近。シアタープロダクツのブランドの在り方、金森さんの物の見方、武内さんと中西さんの物の作り方、その全てに興味を持ちました。そんな折り、新しいファッションショーを一緒に作れないかと話しが立ち上がりました。ちょうど、震災の直前でした。当初、話していたのは、家を丸々一棟つかった世界初の「お茶の間ファッションショー」でした。ファッションは街でも機能しますが、家の中でも呼吸をするように必要なものです。家のなかを舞台にして、部屋折々のファッションショーが行われる。素晴らしいコンセプトだと思いました。僕は、「脱ぎ捨てられた服からはじまるファッションショー」を考えました。家の中の色んな場所に脱ぎ捨てられた服を誰かが拾うと、それがセンシングされて自動的に脱ぎ捨てられるまでの映像がその場所に投影される。生活に紐づく、逆引きの新しいファッションショーになるはずでした。で、あの震災です。事態は急変しました。安全確保さえままならない状態。ファッションは、ファッションショーは、悲しみの中では機能しないのか。僕たちは、かつてない岐路に立たされていました。そして決断しました。ARファッションショーをやろうと。




ファッションには色々な機能と役割があります。ファッションは思想だという意見もあるでしょう。でも、僕はファッションは軽いものであって欲しいと思っています。気分も存在も全部、軽いものにしてくれる。重苦しいものは、ファッションに限らず僕は嫌いです。


上の動画は、「感じる服考える服」という展示を使った検品ライブの模様です。ファッションが軽いものであって欲しい理由のひとつに、「メディア性」があります。感じる服考える服という展示では、その軽さの中に音楽を配合できないかと実験しました。これもシアタープロダクツさんとの仕事です。音楽がメディアを失って久しいのは、みなさんもご存知のことと思います。レコードやCDやといったメディアの介在なく、音楽は簡単にダウンロードされ、当たり前にプレイヤーに落として聞くものとなっています。これじゃ、味気ない。何に音楽を宿して、聞いて欲しい人に届けるか。僕はそれが服であってもいいと思いました。ファッションと音楽には、気分を変えてくれる機能がある。相性がいいと思ったのです。

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MEN'S Precious2012 Spring
*iPhoneアプリはこちらから無料でダウンロードできます。

4月6日発売のMEN'S Preciousから年間を通じて、巻頭で連載をすることになりました。格調高い数々のブランドを、誌面連動で拡張してゆくという企画です。第一弾は、ルイ・ヴィトン。ちょうど扱うシーズンのテーマが「旅」だったこともあり、ヴィトンのバッグをつかった拡張がいいと思いました。バッグを新しくしたときの気持ち、日常が旅にかわる感覚。あれをアプリという形式に落とし込みたい。考えた結果、誌面では動かないバッグのチャックを開けるようにして、それを開いた場所と時間と気候によって取り出すものに変化を与える。そういう仕組みに落ち着きました。取り出した商品は、時間と気候にあったコーディネートとともに「買う」ことができます。各商品には電話をかけられるリンクが貼ってあり、そこから今回のためにルイ・ヴィトン ジャパンに開設してもらったカスタマーセンターにつながります。雑誌というメディアの機能、ルイ・ヴィトンが抱いた旅というテーマ、すべての拡張につながっているという自負があります。

何度でも言います。ファッションは、浮ついた存在であって欲しい。僕は浮ついた気持ちで、それをカタチにします。

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