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川田十夢公私ともに長男。「AR三兄弟の企画書(日経BP社)」、「ARで何が変わるか?(技術評論社)」、TVBros.連載「魚にチクビはあるのだろうか?」、WIRED連載「未来から来た男」、ワラパッパ連載「シンガーソング・タグクラウド」、エンジニアtype連載「微分積分、いい気分。」など。発明と執筆で、やまだかつてない世界を設計している。https://twitter.com/cmrr_xxxhttp://alternativedesign.jp/

青雲、それは君が見た光。

川田十夢
公私ともに長男。「AR三兄弟の企画書(日経BP社)」、「ARで何が変わるか?(技術評論社)」、TVBros.連載「魚にチクビはあるのだろうか?」、WIRED連載「未来から来た男」、ワラパッパ連載「シンガーソング・タグクラウド」、エンジニアtype連載「微分積分、いい気分。」など。発明と執筆で、やまだかつてない世界を設計している。
https://twitter.com/cmrr_xxx
http://alternativedesign.jp/

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未来を可視化してくれる人は、やっぱり偉大だ。

2012.08.02

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まずはこの映像を見てほしい。2009年9月、いまから3年前の映像だ。地下鉄の車内、ある男がiPhoneでソフトウェアをデモしているのを僕が撮影したものだ。ある男の名前は井口尊仁。ソフトウェアの名前はセカイカメラ。セカイカメラは2009年の9月24日にリリースされることになるが、これはそれよりも前の映像である。技術者の多くが「セカイカメラは本当に動くのか?」と疑っていた時期。井口さんはそんな批評をもろともせず、セカイカメラを実際に動くものとして全世界でリリースした。
彼との出会いは、これよりも少し前に遡る。AR三兄弟を考案して活動をし始めた時期。セカイカメラの概念が好き過ぎて、セカイカメラのプロトタイプをPCベースで再構築し、そこで体験したセカイを根拠に「セカイカメラは前時代的だ」とtwitterでつぶやいた。以下はその会話のやりとりを記録していたもの。(twitterが全文検索できるようになるらしいが、それが適ったら改めてまとめるつもり。)

ar3bros:セカイカメラ は既に前時代的だと思う。タグのリソースは既にWEBの世界に散在・蓄積されているのだから、それを可視化することの方がむしろ重要。無論、ARの無限の可能性をいち早く示唆した功績は計り知れないのだけれど。

iguchi:ウェブを可視化する方向はウェブ側から観るとすごく合理的な姿だと思います。でも、合理性以外の部分にも、逆に可能性を感じるんですよね。アンチ・オライリー的スタンスですね。


これは、僕が個人的にまとめているwikiから引用したもので、タイムスタンプは定かではないが、おそらく2009年7月のやり取りだと思われる。このあと、僕はさらにアクションを起こし、彼のブログにコメントを残す。これをキッカケに、当時新宿にあった事務所に、お邪魔することになる。そこで僕は、いろいろなことを聞いた。これについては、自著の「AR三兄弟の企画書」に詳しいが、まだ無名同然だった僕に対して真摯に対応してくれたことがうれしかったし、彼との言葉のやり取りで、僕は多くのことを学んだ。
先日、IKEAの記者会見の場で井口さんと再会した。ちゃんと話をするのは、二年ぶりだった。相変わらず、いい意味で言っていることが分からなくて嬉しかった。彼は今日、tab lightという新しいアプリをリリースした。このデモも見せてもらったところ、冒頭の映像を思い出した。未来がどうなるかなんて、本当は誰もまだ知らない。未来を先んじて可視化することは、とても勇気のいることだ。間違っているかも知れないことに、多くの人のお金と期待を背負う。そこには大きな責任がともなう。こうしてしっかり未来を示してくれる人は、やっぱり偉大だと思う。

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