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清野茂樹アナウンサー/イノキスト1973年神戸市生まれ。フリーアナウンサー。ラジオ日本「真夜中のハーリー&レイス」、WOWOW「ザ・プライムショー」、TBSテレビ「ツボ娘」などで活躍中。

猪木研究修士論文

清野茂樹
アナウンサー/イノキスト
1973年神戸市生まれ。フリーアナウンサー。ラジオ日本「真夜中のハーリー&レイス」、WOWOW「ザ・プライムショー」、TBSテレビ「ツボ娘」などで活躍中。

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猪木の舌出し失神<その2>

2013.07.04

1983年6月2日、アントニオ猪木とハルク・ホーガンの試合は、21分27秒、ホーガンの技を受けた猪木がリング下で失神し、唐突に終わりを迎える。裁定は猪木のKO負けだ。

試合終了のゴングが鳴っても猪木は舌を出したままうつ伏せになったまま動かない。明らかに異常事態である。


「おそらく後頭部を打った瞬間舌がノドへ巻き込まれていたと思う。あの時、若手レスラー達が猪木をうつ伏せにした。あれが良かったんだ。そのまま仰向けにしておくと窒息してしまうところだった」(冨家孝リングドクター)


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試合が終わって10分後には救急車が会場に到着し、猪木は意識不明のまま搬送された。同乗したのはドクター2人、試合を見に来ていた猪木の義母と実弟の啓介氏、そして若手レスラーの高田伸彦(現・延彦)という5人であった。


21時46分に救急車は東京医大に到着、その直前で猪木は意識を回復する。


「着く10分ほど前にやっと意識が回復したんです。ひと言"痛い"といったまま、また目を閉じた」(猪木啓介)


病院で猪木が受けた脳外科での精密検査、レントゲン、CTスキャンはいずれも異常なし。しかし、病室に入った新間寿氏の話によると、猪木は医師から「何月何日ですか?」と聞かれて「5月かな」「6月かな」と答え、「何曜日ですか?」と尋ねられると「わからない」と言ったそうだ。


「CTスキャンの結果、脳とけいついに軽いダメージがある。脳がはれている。意識はあるがぼーっとしている状態。(中略)鉄柱に頭をぶつけたこと、リングから落ちコンクリートに頭を強打してダメージを受けたことが原因だ」(児玉満麿医師)


病院には美津子元夫人をはじめ、会社の役員である坂口征二、山本小鉄も駆けつけた。新宿警察の刑事が2人来て、事件性についての聞き込みもあったらしい。病室には「面会謝絶」の紙が貼られ、部屋のそばにあるエレベーターの前には高田伸彦と後藤達俊が交代で見張りをした。

今のようにインターネットもない時代である。この夜の猪木の状態を知る人はごくごく限られた人間しかいなかったのだ。


<つづく>