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南井正弘Freewriter&Sneakerologist1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドに10年勤務後ライターに転身。主な著書に「スニーカースタイル」「NIKE AIR BOOK」などがある。

履けばわかるさ、着てもわかるさ

南井正弘
Freewriter&Sneakerologist

1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドに10年勤務後ライターに転身。主な著書に「スニーカースタイル」「NIKE AIR BOOK」などがある。

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今日の1足

2013.02.27

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スポーツシューズのミッドソールで代表的なものといえばEVA(エチレンビニルアセテート)とPU(ポリウレタン)。前者は軽量性に優れ、後者は耐久性に優れているというのが、一般的な特徴でしたが、最近ではEVA系の素材でも耐久性の優れているものも多いですし、PU系素材でも昔ほどは重くありません。しかしながらこれらの素材がスポーツシューズ業界で使用されるようになってから数十年、大きな変革はなかったと思います。

2013年2月27日、アディダスが世界同時発売を開始したenergy boostはスポーツシューズのミッドソールを大きく変革するテクノロジーです。このテクノロジーに使用されるBOOSTフォームは、ドイツの化学製品大手のBASF社が開発したPU系のマテリアルを使用しており、このテクノロジーは従来のEVA素材と比較すると約70%高い反発性能を確保し、500km走行後でも「へたり」と呼ばれるミッドソールの気泡が潰れて当初のクッション性能を保持しなくなる状態になりにくいとのこと。また従来のミッドソールマテリアルよりもあらゆる気温に対応し、-20度~40度という幅広い気温条件でも形状変化が見られないといいます。

実際に履いてみると、立った状態や歩いているような場合には、ミッドソールはかなり柔らかく感じ、フワフワとしたクッション感。時速9.3kmからランをスタートすると、TECH FITのアッパーはフィット感がよく、実際の重量よりも軽く感じ、軽快に走ることができます。時速10kmにスピードを上げると、ミッドソールの衝撃吸収から反発のレスポンスが速くなります。時速11kmにスピードを上げると歩いていたときに感じたフワフワ感はなく、かなりクイックな反応が得られます。最後の400mは時速12kmにスピードを上げますが、高い反発性を足裏に感じることができ、このシューズに対して高い満足度を感じました。キャッチコピーの"未知なる走りへ"は偽りなしですね。それでいて従来の革新的なテクノロジーには付きまとっていた、何度か着用して慣れるまでの違和感のようなものもランナーに感じさせません。このスペックならファンランナーだけでなく、シリアスランナーにも充分対応するでしょうね。指でミッドソールを押したときは非常に柔らかく「安定性のほうは大丈夫かな?」と思いましたが、全く問題なかったと思います。少なくとも自分には。

ひとつ気になったのが、自分は甲がそれほど高くないから大丈夫ですが、アッパーのミッドフット部分が少し低いと感じる人がいるかもしれません。なので必ず店頭で試し履きしてから購入したほうがいいと思います。バンプ部分はストレッチ素材のために伸縮性が高いので、通常よりもハーフサイズ上になった場合も前足部が緩いということはないと思いますので。

この日に紹介したPUMAのMOBIUM RUNNER ELITEもそうでしたが、このenergy boostも走っていて楽しい気持ちにしてくれるシューズですね。デザインもカッコイイし。カラーリングは写真のブラック以外にレッドもラインアップされています。

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