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渡辺俊美TOKYO No.1 SOUL SET / THE ZOOT16福島県出身。TOKYO No.1 SOUL SET のギター、ヴォーカル、サウンド・プロダクション担当。並行してソロユニットTHE ZOOT16でも活動中。

水月デスロック

渡辺俊美
TOKYO No.1 SOUL SET / THE ZOOT16
福島県出身。TOKYO No.1 SOUL SET のギター、ヴォーカル、サウンド・プロダクション担当。並行してソロユニットTHE ZOOT16でも活動中。

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Vol.4 ポニーテール

2011.10.03

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僕がラフォーレ原宿にお店を経営を始めたのは今から25年前の20歳の夏だった。

その年の春頃、当時の社長が突然
「俺は、引退するからお前がヤレ!」
と言ってきた。直ぐに両親に相談した。
しかし、前の年に国士舘大学を1年で自主退学した僕は、両親には全く信用がなかったのでクイックで反対された。

しばらくして、母から電話があり「300万を貸すからヤッてみろ。それが全部無くなったら田舎に帰ってこい......」という約束でやる事にした。
店名は変えず「セルロイド」のままにした。品揃えは少し変えたが浅草橋の問屋街から仕入れた帽子やサングラスを中心としたファッション小物・雑貨屋から始めた、店が終わってクラブに毎晩のように遊びに行ったり、DJも少しづつ始めたので徐々商品構成も変わり、海外の方の仕入れに変わっていった。

スパイク・リーの映画が話題になった頃、僕も始めてのニューヨークに行った。
レコードを探しにブルックリンやハーレムを歩き回った。
店で売るヒップホップ関連の商品やスニーカーを探しに問屋街に行くと、欲しい物が殆ど韓国で作られているのがわかったので帰ってから直ぐに、韓国に行った。

現地の工場や仕入れ場所の梨泰院(イテウォン)の人とも仲良くなり、スムーズに仕事が進んでいた。
その当時、殆どの日本人の男性は
「社長~!」
と呼ばれ、近寄ってきて耳元で
「リーボックあるよ!」
と、声をかけられたが、
僕は若かったせいか
「アニキ~!」
と呼ばれた。
「リーボックあるよ!」
も、必ず言われた。その呼び込みに対して
「要らない、ナイキがイイ!」
と言っていたので最終的には
「ナイキ~!」
と呼ばれていた。

SOUL SETもその頃に活動を始めたばかりだったので、当時クラブで人気だったイギリスのSOUL II SOULのスタイルを真似て、オリジナルのCAPや洋服を作り始めた。
そして、月に一度は必ず韓国の方へ行っていた。
ある日、同じ原宿で働いていた友人が
「俺も韓国に行きたいから連れてって」
とお店に来た。
その友人Y氏は毎日バリバリのリーゼントで決めているロックンローラーで、作る商品も全然違ったので一緒に行く約束をした。
そのY氏と韓国に行くという話は同じ原宿で働いている先輩達にも広がり結局6人で行く事になった。

昼間は別々に行動していたが、夜は必ず一緒にご飯を食べていた。
日本に帰る前の日の夜、いつものように皆が集まりご飯を食べている時、先輩T氏が連日女遊びをした話を始めた。
僕は身を乗り出し聞いたが、他の人も「それで?それで?」という声が2オクターブぐらい高くなっていた。
そして、皆で女の子を呼ぶことになった。ホテルに戻りT氏の部屋に集合した。T氏はホテルのボーイと話をしていた。

30分後、続々と女の子が部屋に入ってきた。
僕は一番年下なので最後と思っていたがT氏が「先に好きなの選んでいいよ」と言ってくれた。
僕は、遠慮なく自分の中で一番綺麗だと思う子を選んだ。
ロックンローラーのY氏が次だった。悩んだ末に選んだのはどう見ても一番ブサイクな子だった。

僕は笑いを必死にこらえたが、案の定先輩は大爆笑していた。
その女の子には失礼だが、Y氏が何故選んだのか全然理解できなかった。

先輩達が選ぶのを見たかったが「お前ら、早く行け!」と、言われ慌てて僕とY氏等は部屋から出た。
Y氏が緊張してるのが手に取るように解ったし、自分も初めてでビビっていたので4人で外の屋台で飲む事にした。
Y氏はそんなに酒は強くなかったがよっぽど緊張してるのか焼酎をがぶ飲みしていた。Y氏のリーゼントと、履いていたラバーソールに彼女が異常に反応して大爆笑していた。
会話も弾み緊張が解けて酔っぱらったY氏が僕に彼女を選んだ理由を話してくれた。

「トシちゃ〜ん!俺さ〜、やっぱりポニーテールが好きなんだよね〜」

やっと理解が出来た。
韓国に行ってもY氏は真のロックンローラーだった。

ソウルオリンピックの翌年、元気な街・梨泰院(イテウォン)の夜の出来事でした。


渡辺俊美

★先月、福島県いわき市でライブをした時にお世話になったStudio Imagoの木田君から頂いたラバーソールです。
震災に負けないで一生懸命に生きています。一つ一つ心を込めて丁寧に作る木田君の靴を応援してください!
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★常に靴下を履く季節になりました。ideologyの作品です。
お気に入りです!!
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