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着ぶくれ手帖フィルソンから立ち上がる、シアトル発の新たなトラッド。
Keiji Kaneko × FILSON

notebook that records every day of clothing worn by customers
フィルソンから立ち上がる、シアトル発の新たなトラッド。

ヘビーデューティの象徴として語られながらも、日本人にとってどこか遠い存在でもあった〈フィルソン(FILSON)〉。金子恵治さんがディレクションを手がけた日本限定コレクションは、その見えない溝と向き合う作業からはじまりました。道具としての精神を守りながら、日本の暮らしや装いにどう接続できるのか。創設の地であるシアトルでの体験も踏まえ、その試みについて、胸の内に秘めた想いを語ってもらいましょう。

彼らの精神を注入してもらえたのは本当によかった。

ーアメリカの〈フィルソン〉からは、どんな反応を得られましたか?

Kaneko: 今回のコレクションは去年に完成して、承認も取れていたんですが、今年の1月にシアトルへ行って、そのときに改めて現物を見てもらったんです。アレックスという〈フィルソン〉のクリエイティブ・ディレクターがいて、彼がとにかく頑固だからという話を前情報として聞いていたんですが、結果としてはすごくよろこんでもらえましたね。

ーアレックスさんはどんなひとなんですか?

Kaneko: 〈フィルソン〉が大事にしてるものを体現しているひとでした。創業から受け継ぐ哲学みたいなものを頑なに守っていて、そういうひとがいるのがぼくとしてはものすごくうれしかった。本家のルックなども彼がディレクションしているんですけど、ファッションではなく、ブランドの世界観をきちんと表現しているんです。

ー本国のインスタグラムで写真を見ましたが、しっかりとつくり込んでいますね。

Kaneko: 1週間くらい時間をかけて撮影をしているみたいなんですが、とにかく本気なんですよね。ただ単にそれっぽいところへ行って、モデルにポーズを取らせるようなつくり方ではなく、リアルなワーカーを起用して、現地の生活に根付いた〈フィルソン〉の姿を捉えているんです。

ーそうした姿に金子さんもシンパシーを感じたと。

Kaneko: 本社も見学させてもらい、アレックスの話も聞いて、シアトルの街で〈フィルソン〉が生まれた背景みたいなものも感じてきたんですけど、そうやって守られたものをぼくたちが独自のアイデアで崩すわけにはいかないなと。

ーとはいえ金子さんのつくった服を見て、アレックスさんも認めてくれたわけですよね。

Kaneko: 生地を触った段階で表情が変わったのがわかりました。「いいじゃん」っていう感じで。唯一「これはなんだ?」って、ジャケットのボタンに関して指摘されたときはドキッとしましたけどね。彼が使っているボタンは大きいから、「どういう理由でこれにしたんだ?」って言われたんですよ。

ーそこまで聞かれるんですね。

Kaneko: ぼくも理由は大事にしたいし、気持ちの強さは負けない男なので、ちゃんとフィルクロのジャケットを見せて、「このボタンのサイズを参考にしたんだ」って話をしたら納得してくれました。むしろちょっと悔しそうな感じでしたね(笑)。

ー〈フィルソン〉が生まれた背景もしっかりと読み取ることができたんですか?

Kaneko: 本社にあるアーカイブの資料を見せてもらったんですが、やっぱりむかしからやっていることは変わらないんですよね。さっきパターンが簡素という話をしましたが、彼らの体型ならそれでも似合う。だからそれでいい、みたいな答え合わせもできたり。でも日本人には着こなせないから、ぼくらがやっていることの意味みたいなことも見出すことができました。彼らが大切に守っているものに敬意を払いつつ、自分たちなりの解釈を加えて、日本に〈フィルソン〉の魅力を知ってもらうことが大事だなと。

ー収穫は大きかったわけですね。

Kaneko: アレックスがぼくらのものづくりに対して興味を持ってくれたのがいちばんの収穫でした。絶対に日本のデニムとか好きだし、それを使って彼らができないような深いものづくりのコレクションもやりたいなと思いました。いろいろと広がりを持たせられるなと。

ーシアトルの街はどんな感じだったんですか?

Kaneko: それが街にひとがあまりいなかったんですよ(笑)。それでもスタイルのあるひとは多かったので、写真を撮るのは楽しかったですね。要所要所でカルチャーっぽいところがあって、シアトルの歴史博物館ではゴールドラッシュの時代の資料として〈フィルソン〉の服も展示されていました。他にも炭鉱の電車の博物館があったりと、歴史に対する想いみたいなものは感じました。

ーそれがあってシアトルが栄えたわけですもんね。

Kaneko: そうですね。シアトルはサンフランシスコに似て、海や森、山が近くにあるので、アクティビティをするには最高の場所だと思います。滝もすごかったですよ。

ー『ツインピークス』の舞台もたしかシアトルでしたよね。

Kaneko: まさにその滝を見てきたんです。街としてもそれを打ち出していました。シアトルってずっと雨が降っていて、だから分厚いウールのジャケットが重宝するっていうのを肌で感じ取ったり。

ー街の中には〈フィルソン〉のお店もあるんですか?

Kaneko: ありますね。やっぱりつくり込みがすごくて、お店に修理工房があるんですよ。本社の中にも自社工場があって、マッキノージャケットの生産ラインも見せてもらいました。ちなみにアレックスのアトリエも見せてもらいましたが、天井が高くて壁一面がムードボードになっていたんです。そういう場所を訪れると、本気で考えてつくっているのがわかる。すごいブランドだなぁと改めて感心しましたね。

ー現地の空気も含めて、つくり手の想いを知っているのと知らないのとでは、今後生まれるものも変わってきますよね。

Kaneko: それによって制限されるものも確実にあると思いますが、彼らの精神を注入してもらえたのは本当によかったですね。やっぱり東京でのやり方やトレンドに引っ張られてしまうことってあるけど、アレックスがやっているのはその真逆のことなんですよ。それを踏まえた上でぼくらなりの発信や表現をどうするか。深く考えるいい機会をもらえました。

INFORMATION

Daytona International

Instagram:@filson.japan

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