PROFILE
1978年生まれ、兵庫県出身。幼少の頃より怪異な話・物を集める。怪談師として生計をたてその過程で手に入れた呪物に非常に興味を持つ。現在は、東京深川にある築70年のアパートで呪物と共に暮らす。日々送られる呪物と世界の呪物を現地に赴いて蒐集する。また世界中の儀式や呪術師との交流も深い。主な著者に『呪物蒐集録』(竹書房)、『あべこべ』(二見書房)がある。
Instagram: @zatoichi_
Youtube: @toshigaiku
連絡は3日前。突然、旅が動き出す。
昨年の終わり頃。「旅に同行したい」とアポイントを入れると、田中さんはすぐに快諾してくれました。ただ、スケジュールがなかなか決まらない。そこから数週間が過ぎたある日、「3日後に行けますか?」と通知が。旅の詳細をほとんど知らされないまま、取材陣は一路、石垣島へと飛びました。
待ち合わせ場所に指定された「あむりたの庭、そして音楽」に着くと、会うなり開口一番、「連絡が遅くなっちゃって、本当にすんません。祭りの日程が、ギリギリまでわからなくて」と田中さん。ここで初めて今回の旅の詳細を告げられます。
「今回、ある祭りに参加させてもらう予定なのですが、地元のひとのお祭りで、観光客は来なくていいというスタンス。だから情報が、ギリギリにならないと外に伝わらないんです。連絡が遅れたのもそんな事情がありまして」
田中さんのランチはこのお店の名物「燃ユル緑ノカレーそば」。ミルキーなグリーンカレーと豚骨・鰹節だしの八重山そばを組み合わせ、県産の野菜をたっぷりトッピング。
怪談師および呪物蒐集家として活動する田中さんにとって、不思議な話も、おぞましい品々も、現地へ足を運んで手に入れるのが基本です。だからこそ、祭りにもよく参加するとのこと。
「怪談や呪物は、歴史やその土地の風土を含んでいます。実際にその場所を訪れると、百聞は一見にしかずで理解度が全然ちがう。世界中の儀式や祭りにも興味があります。その場所、土地に根付いたものですから、そこに信仰やひとびとの暮らし、願いがこめられてるんです」
エピソードを聞いていると、記事にできないような話が出てくる出てくる。
「最近は、親交が深い呪術師の方と一緒にインドネシアへよく行くんです。もちろん、呪物と呪術の旅ではあります。中でもジャワ島の最東端のバニュワンギは黒魔術師が多い土地でも知られていて。そういった方達に呪物や呪術の話を聞かせてもらっています。何回目かに訪れたとき、土着のクジャウェン信仰の儀式を見せてもらったんです。それは夜中に森の神殿で行われる儀式でもある祭りで、信仰者が霊に取り憑かれトランス状態になる。暗闇で彼らが倒れながら泣き叫ぶ景色は、異様でありながら神秘的でした」
頷きながら聞いているうちに、フィクションなのか、現実のことなのか、よくわからなくなってくる。ただ、たしかにそんな世界が実在していると言うのだから、つくづく、この世は不思議なものです。さすがは、異界のフィールドワーカー。