履き心地やクオリティを自然に感じてもらえたらうれしい。
ー山田さんのお話を聞いて、〈ムーンスター〉への印象に変化はありましたか。
江部: 自由が丘のお店に来て、すごく腑に落ちた感覚がありました。ここ10年くらい、ファッションって“ハイプなもの”に価値が集まり続けてきたじゃないですか。二次流通での価格や資産価値みたいなことも語られるようになった。それ自体を否定するわけではないけれど、自分の中ではどこか冷めた目で見ていた部分もあって。でも、〈ムーンスター〉の靴にはそういう価値観とは違う、“ファッションのエッセンシャルな部分”を感じるんです。
梶: ぼくも近い感覚ですね。いまは言葉や記号性ばかりが先行しがちで、どこまで本当なのかわからなくなることも多い。でも、こうして実際に話を聞いてプロダクトと向き合うと、ちゃんと真面目につくられていることが伝わってくる。それってすごく大事なことなんですよね。
江部: でも、最終的には“モテる”ってことも重要だと思うんですよ(笑)。ファッションって、男に刺さる服と、女性に好かれる服の間で揺れるところがあるじゃないですか。そのバランスはずっと考えていて。
梶: ぼくらも年齢を重ねたぶん、その真ん中を取れるようになった気がするよね。この靴も、そのバランスを上手に取れるアイテムだと思うんです。
江部: そうそう。これはいけそうですよね。
山田: 見た目はすごく普通なんです。でも、その“普通”を狙ってつくっています。気負わずに普段の生活の中で履いてもらって、履き心地やクオリティを自然に感じてもらえたらうれしいですね。