PROFILE
「ÉDIFICE」や「L’ECHOPPE」でのバイヤーを経て、現在は自身が手がける「FOUNDOUR」のディレクションや、外苑前にある「BOUTIQUE」のオーナーとして活躍。加えてファッションディレクターとして多方面で手腕を発揮し、2025年より〈Felisi〉の日本コンセプターも務める。
暑くても凛としていて、気持ちが負けていない。
25年ぶりに訪れた「ピッティ・イマージネ・ウオモ(以下、PITTI)」。世界最大級のメンズファッション見本市への参加を通して、それまで“道具的な服”を敬愛していた金子さんの気分は、“着飾ること”へとダイナミックなシフトチェンジが起こったそう。
ー今年の1月と6月に開催されたPITTIでは、準備段階から「いろんなことを想定していた」と、前回語られていましたよね。
金子:毎日違うスタイリングで、珍しく「お洒落をしよう」という気持ちでいました。もともと道具的な服が好きで、そうしたアイテムがワードローブを占めていたから、もうすこし華やかな格好をしたいと思ったんです。
ーPITTIに向かう上で、なにか買い足したアイテムはあったんですか?
金子:白いウールのサマージャケットであったり、古着の〈シャルべ〉のシャツですね。
ー完全にドレスですね。
金子:ただ、その中でも少しだけカジュアルな要素もあるんです。たとえばシャツに関しては、ポケット付きで、襟に芯のないタイプを選んだり。結局ぼくはネクタイをしないから、インナーに関してはそれくらいでもいいのかなと。
ー普段の金子さんからは想像つかないです。
金子:そうですよね(笑)。だからピンク色を選んで、ちょっと遊びの要素を加えたりしたんですよ。
ーたとえばホテルに着いてから、そうしたアイテムにプレスをかけたりするんですか?
金子:今回持って行ったアイテムに関しては、クリーニングにしか出さないと決めて購入したんです。だから日本でクリーニングに出してプレスをしてもらって、イタリアではホテルに着いてからスチームを当てて、畳みシワなども取って。それから外出するようにしてましたね。
ーかなり徹底してますね。
金子:自分でも驚きますよ、かなり成長したなって(笑)。でも、そうすることによってやっぱり気持ちが引き締まるんです。
ー旅というと、できる限り軽装でいたいじゃないですか。
金子:今回は飛行機にも革靴で乗ったんです。寒かったらスエットを着るんじゃなくて、きちんとニットを持っていって。完全に意識を変えましたね。
ー現地の気温はどうだったんですか? 冬は着込むことで対応できるけど、夏場に長袖は大変じゃないですか?
金子:今年はパリの熱波が話題になっていますが、フィレンツェも40℃手前でしたね。ただ、不思議なことに気持ちが違うと汗をかかないんです。
ーへぇ~! すごい!
金子:周りを見ていると、軽装なひとほど「暑い、暑い」と言っていて。直射日光に当たらないだけでも全然違う。ヨーロッパって湿気がないから気温が高くてもカラッとしていて、日陰にいくと涼しいんです。
ーPITTIにいるひとたちを眺めても、長袖率が高いですよね。
金子:魅せようとしているひとたちは、みんな長袖です。暑くても凛としていて、気持ちが負けていない。
ーみんな涼しい顔してかっこつけていると。
金子:そうだと思います。だらしない格好のひとほど暑そうだったので。