Contents
01 texnhとは 02 現代の代表作 03 つくる現場 04 小さな革製品 05 texnhの場所 06 texnhが考える服 07 松村力弥をつくったもの 08 他者とつくる 09 つくらずにいられない理由 10 texnhの外側の仕事01 about | texnhとはコンセプトは「ある」。
PROFILE
1981年、東京都江東区出身。「文化服装学院」を卒業後に渡英。2006年に「吉田」に入社し、バッグデザイナーに。18年に独立し、この翌年、自身の会社「カナル」を設立。21年シーズンに〈テクネ〉をスタート。
ファンが口を揃えて言うのは、佇まいが美しい、ということ。そこには効率度外視のアプローチがありました。自らの気づきが生んだという画期的な機能も〈テクネ〉を語るときには欠かせません。そんなものづくりを担うのは、下町の職人です。
―過去のインタビューで、ロゴさえ排すミニマルなデザインが信条と語られていました。実際にコレクションを拝見すると、ロゴは不釣り合いなほどに小さいし、場所も分かりにくい。なんなら内側のネームタグだけで済ませているモデルもある。これは面白そうなデザイナーが現れたな、というのが率直な感想でした。
松村:前職でもネームタグを付けないデザインを多く提案していたため、よくネームタグを付けてほしいと言われていました(笑)。極端な話、一目でそれと分かる存在感があればロゴなんてなくたっていいんです。ロゴに頼るのは違う、というか。そんな批評性も込めてコンセプトは「ある」としました。デイパックは多少なりともかたちにすることができたんじゃないかと思っています。
前ポケットの最下部に箔押しされたブランドロゴ。“texnh” はギリシャ語で知性、技術、芸術の完璧な融合の意。
―〈テクネ〉の顔となるモデルですね。
松村:ヴィンテージのデイパックをよく観察すると、佇まいが違いました。背負ったときに自重でたわむんですね。これがたまらなく格好いい。なにが違うんだろうとバラしてみたら、実に単純な構造でした。本体は二つのパーツを縫い合わせているだけなんです。
いまは生地の取り都合や効率を考えて細かく裁断されてしまう。原点に立ち返って、フロントからマチ、底、背面までをまるっと一枚の生地でつくりましたが、そのパターンでサイズアップすると負荷のかかる箇所が多いため、現行では背面を独立させた構造が最もバランスよく落ち着きました。
本体生地の裏貼りにはトリコットを採用しました。厚みを出すならPVCなどが主流ですが、硬くなりすぎてしまうんですね。全体をもっとしなやかに仕上げるにはどうするか、さまざまな素材を試してトリコットに決めました。
―生地の風合いも味わい深い。
松村:ファーストコレクションではリサイクルポリエステルを使った素材を開発しました。化繊なのにコットン見えする仕上がりに満足しましたが、リサイクル素材さえ使っていればそれでよしとする風潮はどうなんだろうと疑問を抱きました。サステナブルの本質は長く使ってもらえること。ちょっとのことではへこたれない生地のほうが環境に貢献できるのでは。そうしてたどり着いたのが66ナイロンを使った生地でした。自動車や機械の部品でおなじみの高強度ナイロンです。
バッグづくりの設計図となる仕様書。
―〈テクネ〉の魅力は単なるノスタルジーにとどまらない、構造まで考慮した機能性にあると思います。
松村:我ながら面白い構造ができたと思っているのは背面下部のテープ。ショルダーハーネスから一続きになっています。ここを連動させることで(本体が)荷重で後ろに引っ張られると同時に腰回りに吸い付くんです。
ハーネスの付け根を補強するパーツが不要となることで、もうひとつの機能を付加させることもできました。それが、サイドに設けたポケットです。従来のサイドポケットと異なり、背面の縦のラインに沿わせたファスナーで開閉する構造になっています。防犯性が高まるのみならず、ものの出し入れがスムーズになる利点もありました。
―ぼくらの知る、外付けのサイドポケットを採り入れたモデルも新たにラインナップされました。これまではつくらなかったとうかがっていますが…。
松村:ペットボトルを入れてだらしなく膨らんだ姿が気になったからです。あの膨らみを抑えるための答えがこのポケットの仕様でした。この構造ならソリッドな外観を保ちつつ、外側に膨らみにくい。
商品化に踏み切ったのは顧客の希望というのが正直なところですが、いままでつくらなかったことを反省したんです。昨年、子どもを万博に連れて行ったときに、左にペットボトル、右に日傘を入れて、炎天下から子どもを守るのに大活躍でした(笑)。
―佇まいを重んじ、常識を疑う。一筋縄ではいかない〈テクネ〉を支えるのは下町の職人たちですね。
松村:はい。つくり手さんたちに敬意を表して、タグには “Taito” や “Katsushika” のように依頼している工場の地域名を入れています。
―バッグのブランドロゴが小さいだけに、そのこだわりは際立ちます。
学生時代から使っている四分の一定規など。
ベルトなど一部の製品のシリアルナンバーは松村さん自ら銀ペンで書き入れる。
02 bag | 現代の代表作圧巻の、佇まい。
〈テクネ〉を知るならまずはこの3つから。自他ともに認めるマスターピース「クラシック デイパック」の新機軸はじめ、珠玉のモデルをピックアップしました。その佇まいもさることながら、考え抜かれた収納構造やこれしかないという部材の選定にもこだわりを感じます。
LAYER DAYPCK
W350 × H450 × D180 mm
¥49,500
「クラシック
デイパック」の派生モデル。採用したアクリルキャンバスはオーニング(日よけ、雨よけ)にも使われる素材。耐久性が高く、耐候性にも優れる。インタビューで触れたサイドポケットに加え、PC専用ポケットも新たに設けた。要所に配した防水革がシルエットにメリハリを生む。「仕事で使うには申し分のないデイパックだと思います」と松村さん。
BLOCK
ZIP
TOTE
W630(Top) × H320 × D180 mm
¥88,000
ものの出し入れにストレスを感じさせない大きく取った開口部、視認性を高めるグレーのライニングなど、道具としてのあり方を突き詰めたトートバッグ。ブランドのアイコンである真鍮製のスタッズやアンティークライトブラス仕様のジッパー「YKK
EXCELLA」といったスペックも◎。外装はもっちりした手触りを残しつつ、強度も備えたキップレザー。
LOOP TOTE / BELLSPRIT
W430 × H385 × D150 mm
¥25,300
肩にかければ寄り添うようにフィットする。計算し尽くされたワンハンドルは手持ちでも収まりがいい。ボディにまとったのは超高収縮織物「ベルスプリット」。軽量性、耐久性に優れ、透湿防水性にも富む。鈍い光沢と落ち感も魅力。内装は抗菌・防臭性能を備えた「ヴィロブロック
リップストップ」。パッカブル仕様で旅先でも頼りになる。
03 factory | つくる現場仕様書を超える職人仕事。
松村さんは東京の江東区で生まれ育ちました。オフィスに選んだ街は森下で「住まいもオフィスから自転車で10分かかりません」。〈テクネ〉が生産をお願いしている工場は4〜5社あって、その大半が東東京の下町にあります。どこも松村さんの熱意に応えるポテンシャルを持っているからです。
ひとつは地の利。顔を合わせてものがつくれるのはなにものにも代えがたい価値といえます。バッグづくりは仕様書を送って事足りる仕事ではありません。仕様書をもとにいかに掘り下げて立体化していくか。そこが問われる仕事です。
手作業で縫い付けられるネームタグ。
「海外の生産拠点でも規模や設備の整っているところが多く、素晴らしい工場はたくさんありますが、近くの工場や職人さんだとすぐに部分サンプルをつくって細かい確認ができるのが〈テクネ〉のものづくりにおいて一番の利点だと思っています」
そしてもうひとつが、単純に “仕上がりがいい” ということ。
「最先端の設備を揃えた工場が素晴らしいのは確かですが、やっぱり工場のラインでつくられたものなんです。仕様書どおりに仕上げることはできても、プラスアルファは感じられない」
こと〈テクネ〉に関しては、下町の工場に軍配が上がる。適正な量を適正な価格でつくるということを考えてもプライオリティがあるといいます。
「下町のものづくり文化を残したい、という思いもあります。応援の気持ちを込めて、工賃を値切ることはほとんどありません」
〈テクネ〉のアイコンとなるフラットなスタッズ。
全幅の信頼を置いているのが葛飾区にある工場です。
「同じレザーを使っても佇まいが違います。立ち上がり方が違う、とでもいえばいいんでしょうか。モック(試作品)の段階からオーラがあるんです」
そんな佇まいに大きく貢献しているのが、縫い代の漉き加減。
「縫い代は薄く漉いた方が縫いやすいんですが、ここではあえて肉を残すように漉く。肉を残すことで独特のポテッとしたフォルムが生まれるんです。こういう経験に裏打ちされた熟練の技術がいろいろある。バッグって縫って終わりって思われているかもしれませんが、こうした仕事こそ職人の腕が問われるんです」
縫い代の漉きの工程。
1センチ3目の縫いのピッチも見逃せません。細かすぎると生地を切ってしまう。強度と美観を担保する最適解です。
10人あまりいる職人さんはそのほとんどがキャリア20年の40代。バッグづくりの要所はみなまでいわずとも分かっています。
工場にはキャリア20年のベテランが揃う。
04 small leather goods | 小さな革製品古きよき佇まいと設計の妙。
松村さんが昔、ロンドンのマーケットで見つけた工員用のベルト、シガーケースをヒントにしたカードケース、そしてコインをベースに「AirPods Pro」の収納も想定して設計されたマルチケース。ユニークなアイデアをかたちにすることができたのも職人とがっぷり四つで取り組んだ賜物です。
ENGINEER’S BELT / BOLD
¥16,500
検品の際にバックルで商品にキズをつけないように、という工夫から生まれたベルトがモチーフ。ベルト本体が2層構造になっていて、バックルが隠れる仕組みだ。裏材を特殊な加工で貼り合わせ、ステッチレスに仕上げている点も見どころ。ベルトループと2つのスタッズのみで構成されるソリッドな面構えは〈テクネ〉の真骨頂だ。
BRASS
CARD
CASE
W70 × H120 mm
¥29,700
シガーケースをヒントにした真鍮製のカードケース。継ぎ目のない仕上がりは真鍮専門の金具工房の手によるもの。このレザーは松村さんが「もっとも手触りがよかった」と言うフレンチラム。そのレザーの接合の美しさも見どころ。寸分の狂いもない設計の妙だ。
CRATTA MULTI
CASE
W85 × H60 mm
¥24,200
鈍い光沢を放つのはイタリアで鞣されたクラッタレザー。コードバン層を含む馬の臀部から採れるという。ベージュで染めたホースレザーの内装がほどよいアクセントに。二方開き&マチ構造によりコインケースとしての収納力は十二分。折りたたんだ紙幣はもちろん、「AirPods
Pro」もすっぽり入る。
05 place | texnhの場所東東京でつくって、売る。
〈テクネ〉を立ち上げて5年目。松村さんは節目の年にオフィスを移転しました。3階建てのビルを一棟丸ごと使い、今年12月には1階にショップをオープンさせる計画です。
「むき出しの梁や窓はほぼいまあるものを生かそうと思っています。きれいにして色をつけるくらいですね。柱脚をコンクリで固めた構造も面白いのでやっぱりそのまま残し、板を渡して什器にするつもりです」
3階建てのビルの一階、かつて倉庫として使われていた場所がショップに。根巻きコンクリートと呼ばれる鉄骨柱の土台には棚を設ける予定。
外壁もいじらないというから驚きました。
「このエリアは思った以上に住宅街。あまりにスタイリッシュだと浮いてしまうし、もともとあった姿で街になじむこと。これを第一に考えた結果です。あまりお店が多いエリアではないので、ここを目指して来てくれるお客さまが多いのではないでしょうか」
inventory
住所:江東区新大橋2-5-3 1階
電話:03-6661-6190
12月上旬オープン予定
ショップの完成イメージ。
ブランドの世界観を伝える場所はやっぱり欲しかったという松村さん。発信拠点に森下を選んだのはなぜか。
「洒落たエリアは緊張するということもありますが(笑)、つくって売る。これがひとつの場所で完結するのがいい。お客さまの声も直接聞けますしね」
工場の取材を終えてクルマでオフィスに戻る道すがら、松村さんが声をあげました。それは靴の問屋街として知られる浅草の花川戸に差し掛かったときでした。
「あの建物、祖父が創業した履物問屋です。現在は叔父が継いでいます。思えば1階が店でその上が住まいという昔ながらの職住一体への憧れがあったのかもしれません」
Email Interview
設計士・坂本拓也に聞くテクネ。前半
〈テクネ〉のショップを手掛けるのが、デザインスタジオ「アトリエライト」の坂本拓也さん。彼に聞いた店のイメージ、〈テクネ〉の製品、そして松村さん。
Q1. 〈テクネ〉のショップを設計するにあたり、松村さんからどのような希望がありましたか? それを踏まえたデザインコンセプトを教えてください。
A1. 最初に、「inventory」という名のお店の構想を伺いました。素材から仕掛品、完成品までを一堂に収蔵し、供給する場所という考え方です。
バッグを中心に、ウェアや雑貨まで扱うため、商材の大きさや陳列方法にはかなりの幅があります。そこで、それらの受け皿として、大型のワイヤーメッシュを空間の骨子にしました。ワイヤーメッシュには商品を載せて並べることも、ハンガーやフックを掛けることもできます。さらに、高さを変えることで商品の見せ方や、空間全体の印象を柔軟に組み替えられるようにしました。
Q2. ショップの設計に用いる〈テクネ〉らしさとはどういう部分になりますか?
A2. 〈テクネ〉のプロダクトは、使うときの所作まで想定されながら、その機能や構造が装飾的に脚色されることなく、デザインとして整理されているように感じます。
ショップにおいても、ワイヤーメッシュそのものの構造や、天井に現れる昇降のギミックを隠さず、そのまま空間の表情として活かしています。 一方で、そうした整然とした構造との対比として、既存の建物構造にはラフな表情を残しました。
06 wear | texnhが考える服バッグで培われた設計。
「吉田カバン」から独立したのは服づくりをしたいという思いを断ち切れなかったから。自分が着たいものをじっくりつくっていきたいと語る松村さんがここで選んだのは「バッグレスブルゾン」。「その名のとおりバッグを持たなくていいブルゾンです。ある意味、自己否定のようなプロダクトです(笑)」。
BAGLESS BLOUSON / OPTIM
¥132,000
左右の前身頃に計6つのポケットがあり、それぞれが干渉しない位置に設定されているので、すべてにものを入れてもかさばることはない。表地はオーストラリア産メリノウールでつくられた「Optim™️」。最新の紡績技術で優れた防風性と耐水性を誇る。ファスナーは「YKK EXCELLA」で、磨きをかけたそのエレメントは滑らかな動きを生む。ソリッドなファスナートップは〈テクネ〉のオリジナル。この一着は新色のグレーで、10月中旬発売予定。
07 reference | 松村力弥をつくったもの二人の長谷川さんと、カルチャー。
松村さんが師匠と呼ぶのが二人の長谷川さんです。ひとりは「吉田」時代の上司、長谷川進さん。もうひとりはクリエイティブディレクターの長谷川踏太さん。二人のおかげで “いいもの” を捉える目が鍛えられたといいます。
「ぼくはキャンプが趣味なんですが、道具の構造だったり、そのよし悪しを教えてくれたのは進さんです。踏太さんからはインタラクティブアートの面白さやマイノリティなカルチャーをいろいろと教えてもらいました。お二方とも共通して時代を読む感覚が鋭く、いつ会っても新鮮な学びを得られます」
二人が薦めてくれたものをはじめ、松村さんをかたちづくる本と音楽を紹介。
二人の長谷川さんが薦めてくれたもの。
踏太さんのレコメンド:革新的な実験映像により後世に名を残した『NORMAN McLAREN THE MASTER’S EDITION』。
進さんのレコメンド:日常から生まれた創意工夫を取り上げた『LOW COST DESIGN』、フランス・シャモニーを拠点とする山岳ガイドたちの歴史と暮らしを活写した『COMPAGNIE DES GUIDES DE CHAMONIX : UNE BELLE HISTOIRE』。
店でもこのCDを流すつもり。
橋本徹監修・選曲によるコンピ『Café
Après-midi』。「中学生の頃から、いまもDJとして活動する友人とレコ屋巡りをしていました。その後、カフェミュージックシーン全盛の頃に出会ったこのコンピはいまもぼくにとって音楽の教科書のような存在です。20枚すべてを持っているひと、いまではあまりいないんじゃないかな。店で流す音楽の大半はこれになりそうです」
題して「パラパラ書籍三部作」&多様性を教えてくれた写真集。
上の3冊はビジュアル中心のパラパラ書籍。40年にわたる〈ナイキ〉の開発の歴史を辿る『A Brief History of Speed』、イームズ夫妻が手がけた映像作品『POWERS OF
TEN』の解説書、フセイン・チャラヤンの『HUSSEIN CHALAYAN
ATTITUDE』。下はアメリカのグラフィックデザイナー、ティボール・カルマンが妻のマイラ・カルマンと世界を旅して撮りためた民族衣装や身体装飾の写真集『(un)FASHION』。
08 collaboration | 他者とつくる引き出しを増やしてくれる。
コラボレーションは新しいチャネルを拓くだけでなく、デザイナーとしての引き出しを増やしてくれる仕事、と松村さん。トラベルを専門領域とする〈モノクル(MONOCLE)〉や黒にこだわった〈ワイルドサイド ヨウジヤマモト(WILDSIDE YOHJI YAMAMOTO)〉は好例です。それぞれの持ち味を生かすことを心がけているというデザインワークとは?
texnh ×
MONOCLE
TROLLEY TOTE
£300.00(non-subscriber), £270.00(subscriber)
キャリーケースにセットアップできるトートバッグを目指した本作は、軽量ナイロンのボディに防水レザーのトリムをあしらった。「アウトポケットを活かしつつ、キャリーケースに固定するストラップをなじませました」。インナーポケットの上部にはループにしたウェビングを縫い込み、開閉の操作性を高めている。ありそうでなかった〈テクネ〉オリジナルの仕様でノートPCにも干渉しないことが特徴。逆台形のシルエットの美しさも光る。
WILDSIDE YOHJI YAMAMOTO × texnh
DAYPACK, SHOULDER / DENSE BLACK
より黒いワッシャーナイロンがつくれないか、という両者の思いからはじまったコラボレーション。「塩縮という工程上、白茶けるのは避けられない。後染めだとワッシャー特有の乾いた質感が消える」。悩んだ松村さんは生機の選定から検討を重ね、〈ワイルドサイド ヨウジヤマモト〉と意見を交わしながら、理想とする黒を完成させた。「〈テクネ〉の定番の形をベースにしつつ、似て非なるプロダクトにたどり着きました」。デイパックとショルダーバッグをラインナップ。2026年秋冬発売予定。
HEUGN × texnh
“Leo” BAG
¥59,400
「〈ユーゲン〉は個人的に一番好きなメンズブランドで、ぼくからオファーしました」。3回目のコラボレーションとなる今回、つくったのはレザーポーチ。〈ユーゲン〉のデザイナー小山雅人さんから〈ライカ〉を入れるバッグインバッグが欲しいとのリクエストに応えたものです。ファスナーは「YKK」のメタルックス。樹脂製だからカメラやレンズを傷つける心配がありません。コンパートメントには「AirTag」を入れるミニポケットも完備。12月上旬発売予定。
09 archive | つくらずにいられない理由その数、1,000!?
これまでに集めたバッグや小物のアーカイブは、細かいものまで含めれば1,000をくだらないかも知れないと苦笑いを浮かべる松村さん。自宅や事務所を占拠していたこれらバッグは現在、トランクルームサービス「サマリーポケット」で管理しています。「サマリーポケット」によれば、バッグの収納点数では松村さんが日本一とか。
「1点ずつ撮影してくれるので目録としても機能します。アーカイブはネタ帳であり、そこから多くのコレクションが誕生しました」
「サマリーポケット」に保管しているアーカイブの数々。
そのひとつが、ミリタリー由来の収納具をモチーフにしたバッグ群。アーカイブからピックアップしたのはヘルメットバッグ、パラシュートケース、シュラフポーチです。
そのシュラフケースに着想を得たのが、こちらのラミネート素材の巾着バッグ。コンプレッションのテープをイメージしたパーツでボトムを補強すると同時にデザインのアクセントに。そこにハンドルとポケットを付けました。巾着の紐を縛ればバルーンな感じに。このシルエットはミリタリー三部作に共通するものです。
RIGHT : VINTAGE SLEEPING BAG
LEFT : SHURAF
POUCH / AIRLY LAMI-RIP ¥28,600
10 as a designer | texnhの外側の仕事黒子に徹する。
社名の「canall(カナル)」は “can” と “all” から成る「不可能はない」という意味を含んだ造語。あらゆるリクエストに応えられる技術と感性はさまざまなブランドのバッグづくりにも発揮されています。
「外部デザイナーとしての仕事は黒子に徹し、そのブランドのよさをいかに引き出すかにある」と語る松村さん。その仕事は海外にも広がっています。
エントランスに掲げられたネームプレート。素材はもちろん真鍮だ。カナルは運河を意味する “canal” の響きも拾っている。運河といえば江東区。地元愛も忍ばせた。
ひとつは〈マントル(MAN-TLE)〉。「ドーバー ストリート マーケット ギンザ」で同僚だったラーズ・ハリーとアイダ・キム夫妻が2016年に立ち上げたオーストラリアのブランドです。
「〈マントル〉はゴワっとした素材の服が特徴。ヘビーウェイトな服に合わせようと思えばバッグにもそれなりのインパクトが求められます。そこで提案したのは『ロイヤルメール』をモチーフにしたメッセンジャーバッグ。〈マントル〉のシグネチャーであるアルミバックルやテナックスホックなど特徴的なハードウェアをあしらいました。半期ごとにリオーダーが入る、息の長い取り組みになっています」
MAN-TLE
R21G4 “MINI MESSENGER”
MONITOR NYLON
$650.00
「英国郵便局」の配達バッグをモチーフにしたメッセンジャーバッグ。素材はワッシャーナイロン。
もうひとつはカナダのセレクトショップ「ヘイブン(HAVEN)」。
「先方からの希望はクラフツマンシップ、ユーティリティ、ファンクショナルの融合。コーデュラをベースに要所をレザーで切り替えることで手仕事の余韻を残しました。『ヘイブン』のアイコンであるヘクサゴン(六角形)のタブがチャームポイント。数ヵ月前に納品したばかり。反応が楽しみです」
HAVEN
HORIZON BACKPACK
¥155,000
軽量性に富んだ「コーデュラ・バリスティック・ホロフィル・エアー」を採用したバックパック。
Email Interview
設計士・坂本拓也に聞くテクネ。後半
Q3. 〈テクネ〉の製品の魅力はどこにあると思いますか?
A3. 日常使いを重ねるなかで、ときどき製品に仕込まれた機能が活きる場面に出会います。そのたびに愛着が深まっていくところが、〈テクネ〉の製品の魅力のひとつだと思います。
ぼく自身はデイパックを持っています。PCとタブレット、一眼カメラなどを同時に持ち歩くことが多いのですが、これだけ入れても背負ったときに重く感じず、バッグの中身を見直すことすらあります。
Q4. これまでさまざまなファッションデザイナーに接してきたと思いますが、松村さんと他のデザイナーの違いは?
A4. 「inventory」という構想のなかで、〈テクネ〉のプロダクトを道具のひとつとして位置付けているところに、松村さんらしさを感じました。自身のブランドやものづくりを一歩引いて捉えることで、その輪郭を定義しているように思います。