人間の考えていることはすべて幻想である。
ー バンドか恋か、二者択一を迫られたらどうしますか?
加賀美:究極の質問だね。やっぱりみんなバンドを取る?
Cony:私はそのために生まれてきたって信じているので。そうなるとやっぱり音楽ですかね。でも、地球のため、人類のために子供はつくりたいですけどね。
加賀美:でも、年齢を重ねれば両方取れるかもよ? 上手にバランス取れるようになるというか。
Yurika:そうですね、偏りたくはないですね。とはいえ、私は恋愛に対してはいまは無の境地です。なにも考えてない(笑)。
Cony:結局私たちはなんか色々悶々としたものを抱えながら、生きてる時間の3分の2くらいは精神世界に沈んでいってるような気がします。むしろそれを成長と捉えながら前向きにやってますけど(笑)。
加賀美:最近、岸田秀っていう人の本を読んでるんだけど、人間の考えていることはすべて幻想だって唱えているんだよね。すごくおもしろい。
ー それはどういうことですか?
加賀美:人間以外の動物って、生まれたらすぐ自分の脚で立って歩くようになって、食べ物も自分で獲物を取りにいくでしょ? でも、人間の子供はそういうことができない。すべて親からの影響を受けて育つ。それが岸田さん曰く、人間は幻想の世界で生きているってことみたい。自分の親もおじいちゃんやおばあちゃんに育てられているわけじゃん。要するに、人間が決めた価値観って本当に正しいの? っていうことなんだよね。
Cony:へぇ、おもしろい!
加賀美:YouTubeに和光大学で1時間くらい講義している動画が上がってるんだけど、それはすごい勉強になるよ。あと、伊丹十三と対談している本もおもしろい。とにかく人間は幻想のなかでしか生きられないって語ってるの。学校で習う歴史なんかもさ、すべてそれぞれの国の都合のいいように教わってるって。そう考えると、学校で習うことのなにが正しいのかわからなくなるよね。
Cony:私たちも自分の都合のいいように捉えればいいかもですね。
加賀美:そうだよ。だから、恋人がいた方が幸せっていう考えもすべて幻想(笑)。べつにいなくたっていいわけだから。
Cony:幻想…、使えますね(笑)。その中で自分の信じるものがあることが大事なのかな。
加賀美:思想にはいいことも悪いこともあるけどね。それが強すぎると宗教みたいになっちゃうから。
Cony:でも、自分のためならいいですよね。というか、信じることは救いだと思うんです。私はつねにどこか満ち足りなさや寂しさを抱えながら、常になにかを追い求めていたいですね。
寂しさを美しいものとして捉えながら生きていく。
ー 今回もそろそろまとめに入りたいと思います。
加賀美:いまConyちゃんが言ってたように、そういう寂しさとか悶々とした気持ちっていうのをエネルギーにするのがいいよね。満足しちゃうとなんでもストップしちゃうでしょ。だから3人同時期にフラれたっていうのはすごいポジティブなことだと思うよ。つくり手はみんな孤独だから。
eliy:私もそう思います。みんなひとりで過ごす時間はもともと好きですけど、前よりも価値を見出せている気がします。
Cony:幸せって人にもたらさられるよりも、自分でつくったもの対して感じることが私は多いんです。それを超えるとしたら、もしかしたら子供を授かることなのかもしれないですけど。
eliy:そう考えると楽しみだよね。
Cony:でもいまは寂しさを美しいものとして捉えながら生きていきます!
Yurika:恋人がいるときでも、さびしいときは寂しいしね。
ー そう考えると、幸せも幻想ということですね。
加賀美:そうだ! まとまったね。幸せってなんなんだろうね。
Yurika:生きてるだけで幸せですよ。
Cony:私はすぐに体調悪くなりがちなんですけど、具合悪いところないだけで幸せだなって思います。
加賀美:なんかおじいちゃんおばあちゃんみたいな会話になっちゃったよ(笑)。でもそれが真理だよね。なに贅沢いってんだよ! ってね。元気なんだからそれでいいじゃん。
eliy:むしろ私たちはがんばりたいことがあるだけ幸せなほうですよね。
加賀美:やりたいことがあってそれに打ち込める環境があるのは素晴らしいことだよ。当たり前のように感じるけどそれは当たり前じゃないからね。それに気づかせてくれるTAWINGSはいいバンドだね。でも、それも幻想かもしれないね(笑)。
Cony:全部それで片付けられちゃう…。