時の流れに敏感になって、できることをクイックにやっていきたい。

PROFILE
千葉県出身。大学在籍中からDJ活動をはじめ、同年代のDJと共にパーティ・コレクティブ「CYK TOKYO」をスタート。国内を中心に多数のイベントに出演する一方、海外のDJやアーティストとの交流も深めている。音楽以外にも自身でZINEを製作し販売。コロナ禍におけるパーティシーンの在り方について言及した『Crossbreed』も話題。
ー KOTSUさんがDJをはじめたきっかけを教えてください。
KOTSU:大学で「音楽芸術研究部」というサークルに入っていて、一応 “部” として成立していたので部室が与えられて、そこに機材とかも充実していたんです。大学時代の大半をそこで過ごしていたんですけど、「DJをやるなら四つ打ちがいいよ」って仲間に言われてダンスミュージックを聴きはじめたんです。もともとニュー・オーダーとかが好きだったので、いわゆる四つ打ちの音もすんなり馴染めましたね。
ー 当時はまだCYKとして活動してないですよね?
KOTSU:そうですね。大学時代は自分たちと近いコミュニティ同士でイベントをやったりしていたんです。その中でダンスミュージックをかけているメンバーが、いまのCYKの仲間で。2016年にアムステルダムからナヒトブレイカーっていうアーティストが来日することになって、彼のイベントを若い子たちでやらないかと先輩のDJが持ちかけてくれたのをきっかけにCYKの活動をはじめました。そうやって自分たちでパーティ・コレクティブを組んだことによって、いろんな人からイベントに呼ばれるようになりましたね。

ー そうしてDJとして活動する中で、自分たちのやりたいことや方向性みたいなのが見えてきましたか?
KOTSU:海外のパーティシーンを見ていると、ぼくらと同年代の20代前半の子たちがファッションをキメてクラブで遊んでいるのを知って。ストリートな解釈でダンスミュージックやパーティを楽しんでいるんです。一方で日本では、それがまだ浸透していないという肌感覚があって。マニア向けな音楽というイメージが強いと思うんですよ。そうした海外との差を埋めたいという気持ちは生まれてきましたね。使命感というか。
ー 自分たちで遊びやすい環境を整えるというか、ハードコアバンドがDIYで地ならしをするような、そんな感覚ですか?
KOTSU:そうですね。でもクラブミュージックって、一度クラブに来ただけではその魅力が伝わりづらい。どうやって楽しんだらいいか分からないという人がほとんだと思うんですよ。5回くらい通って、一晩通してがっつり踊ったときにようやく「コレやばい」って気づくような音楽なので。
だから1回だけじゃなくて、何回も来たくなるように、ヴィジュアルデザインだったり、パーティの装飾だったり、雰囲気づくりみたいなところにも力を入れないとダメだなと思って。あとはクラブの外でもダンスミュージックを楽しめるように、CYKのメンバーや仲のいいDJたちのMIXを配信することもやっています。
クラブってすごく社交的な場所だし、音楽だけじゃなくてお酒を楽しんだりとか、もっといろんな人が混ざり合うことで思いもよらない出来事が起こったりとか、そういうのがクラブのおもしろいところだと思うんです。

ー 新型コロナの影響によって、クラブやライブハウスは大きな打撃を受けています。そうした状況に対して思うことはありますか?
KOTSU:クラブという場を共有しながら友人たちと一体感を得ることや、現場でしか起こり得ない偶発的なハプニングを一時的にせよ体験できなくなってしまったのはすごく寂しいです。その一方で配信サービスが盛り上がっているのは感じていて、状況が落ち着いてきたら、クラブと配信の両方が共存していく形で進行していくんじゃないかと思います。この前も「SUPER DOMMUNE」で、平日の昼間にテレワークをしている人たちに向けた配信をしたんですけど、そうしたコンセプチュアルな企画は配信ならではだと思うので、そうやってお互いの魅力を引き出し合うことで共存していけばいいですよね。
ー 先程、海外では若い子たちが「ファッションをキメて」クラブへ行くという話をされていました。KOTSUさん自身はファッションに対してどんなこだわりを持っていますか?
KOTSU:昔はいろいろ着ていたんですが、最近は自分の好きなものがより明確になってきました。音楽と関わりのあるブランドの服を着ていたり、自分が着る意味のあるものを選ぶようになりましたね。Tシャツとかも、音楽レーベルのものを着たりとか。

ー ポロシャツを着ることもありますか?
KOTSU:3着くらい持ってますよ。ポロシャツってリラックス感があるけど、襟がついているからきちんとして見えるじゃないですか。だから、襟付きで背筋を伸ばしたいっていうときに着ることが多いです。
ー 〈ラコステ〉に対してはどんな印象をお持ちですか?
KOTSU:自分の父親が着ていたイメージ(笑)。だからといってオジサンの印象があるわけでもなく、最近コレクションを見てたんですけど、すごいイケてるっていうのを発見して。確か最近デザイナーが変わったんですよね? すごく大胆な感じになって、いいなぁと思いました。友達ともカッコいいよね? なんて話したりしてましたね。
ー 今日は水色のポロシャツをピックアップして着てくれています。
KOTSU:最近淡い色が好きで、聴く音楽もきれいな音とか、気持ちのいいディープハウスを聴くようになっているんです。その影響もあるのか、水色がいいなと思ってセレクトしました。軽くて動きやすいし、涼しいし、この夏の登場回数が増えそうですね。

1933年に誕生した、すべてのポロシャツの原型である「L.12.12」を杢糸で表現した「L1264」。ライトブルーは大人の落ち着きを感じさせる一方で、カラーコーディネートもしやすく、幅広いスタイルに対応する。¥13,000+TAX
ー 最後に、今後の活動について考えていることがあれば教えてください。
KOTSU:コロナの影響で具体的な目標が立てづらい状況になっちゃったんですけど、この状況が少しでもよくなるように自分たちで行動することが大事だと思ってます。ダンスミュージックのシーンだけじゃなくて、いろんなジャンルと関わりあって、どうしていけばいいのか? というのをちゃんと話し合っていこうと思っています。時の流れに敏感になって、その時できることをクイックにやっていきたいです。