02 表と裏、どちらも愛嬌があった。
PROFILE

1993年埼玉県生まれ、東京・台湾在住。出演作に『テラスハウス TOKYO 2019-2020』『東京男子図鑑』『川島小鳥とコロンビア』『真心ブラザーズ – 愛』など。モデル・俳優のみならず、台湾に関するコラムも数多く執筆するマルチプレイヤー。最近は、Netflixオリジナルドキュメンタリー『アグリー・デリシャス:極上の“食”物語』にどハマり中。「ひとつの料理にフォーカスを当て、さまざまな視点で深掘りされるのがおもしろい」とのこと。
ー 今作の感想を教えてください。
単純に最高でしたね、ぼくはどんなに面白い映画でも、すぐ寝ちゃうんですよ(笑)。それで2回観てやっと理解するってことが多くて。だけど、この映画は集中して観れました。オープニングの車内のシーンで掴まれましたね。
ー タイラーと彼女がドライブ中にカメラが360度ぐるぐる回るシーンですか?
そうです。あそこの映像もそうなんですが、音圧というか音楽のエネルギーに圧倒されたんですよね。試写会の会場で観たんですが、それでもすごくて。劇場で観たらもっと迫力ありそうだなって思います。そこからはやっぱりストーリーに引き込まれていきました。
ー ストーリーはどういったところが印象的でしたか?
人って表と裏だけじゃなく、いろんな顔があると思うんです。だけど、SNSとかだとある発言だけ切り取られてしまって、キャラクター付けされてしまう気がしていて。人間だったら昨日はいいと思ってたものが、そう思わなくなることもあるじゃないですか。逆もまた然りで。この映画は、そういった人間のさまざまな側面を描いている作品だと思いました。ぼくは“良くも悪くも”って言葉が好きで、まさにそんな感じ。タイラーは過ちを犯してしまうけれど、一概には責められないというか。登場人物それぞれに理解できる部分があったんですよね。登場人物の背景や心情をしっかりと描かれていて、ものすごいパワーを感じました。

ー A24でほかに好きな作品はありますか?
『アンカット・ダイヤモンド』も最高でしたね。個人的な印象なんですけど、A24の映画ってわかりやすいキャラクター付けをするんじゃなくて、ねっとりと丁寧に人物描写を重ねていく気がするんですよね。だから愛嬌がある。『WAVES/ウェイブス』もまさにそんな映画でした。
ー 確かにそうですね。だからこそ、どの世代の方が観ても共感できる映画だと思います。「ヘビーなストーリーでした」という感想では終わらないというか。
本当にそうですね。ぼく自身は映画を観ていて、一度も「暗い」「重たい」って思わなかったんですよね。シリアスなシーンで、声のトーンを落として話すみたいな演出ってあるじゃないですか。そういう作為的な暗さがなかったからなのかな。救いのあるラストシーンにもグッと迫るものがありましたね。

No.1
What a Difference a Day Makes
ダイナ・ワシントン
デートで行った店で掛かったら、「店長ありがとうございます!」って感じっすね!

No.2
Sound & Color
アラバマ・シェイクス
イントロが本当に綺麗です。いいムードで聴けました。

No.03
Love is a Losing Game
エイミー・ワインハウス
タイトルが言い切っちゃってて良いです。「愛は負け試合」って、堂々と。照れ隠しの余計な比喩とかないし、最高っす。

No.04
IFHY(feat.Pharrell)
タイラー・ザ・クリエイター
この曲、台湾の友達が超好きで、毎日聴かされてました。そんな思い出も一緒に蘇りました。