PROFILE
セレクトショップで、デザイナーとして活躍。その後独立し、フリーランスのデザイナーとしていくつかのブランドの立ち上げなどを経験しながら、2011年に〈コモリ〉を立ち上げる。
PROFILE
古着屋、セレクトショップでの販売を経て、二つのショップにてバイヤーを務めたのち、PR職へ。2012年に「ウィズム」の立ち上げに参画。現在は同ショップのコンセプターとして活躍。
お客さんのワードローブのなかにずっと残る服。
ー お二人はいつ頃からのお知り合いなんですか?
堀家:実は「ウィズム」ができたときから〈コモリ〉を取り扱っていて、そのときからブランドのことは知ってはいました。胸にフェルトの花がついていて、それが取り外しできるジャケットと、いまでは定番になっているコモリシャツがあって。
ー ブランドをはじめた当初くらいですか?
小森:前任のバイヤーさんが来てくれたのが、ブランドをスタートしてから2シーズン目か3シーズン目くらいだったと思います。
堀家:最初に見たのがそのジャケットとコモリシャツで、「このシャツ綺麗だなぁ」って思ったんです。でも当時の俺はいまよりももっと体がデカくて、サイズ3でも着れなくて。なんですけど、次のシーズンにリバーシブルのコートが入ってきたときに「おぉ! やっぱこのブランドすげぇ!」ってなったんです。
ー 実感が伴ったわけですね。
堀家:入荷から1週間待てば買えるシステムだったんですけど、結局その前に売れてしまったんです。そのときすごく悔しい思いをして、そこから〈コモリ〉に俄然興味を持ちはじめたんです。そこから展示会へ行って、初めてフルラインナップを拝見させてもらって。そのときに「あ、かっこいい服たくさんあるな」って思ったんです。うちで扱っている服以外にも、もっと欲しい服がたくさんあるな、と。
ー 当時は前任のバイヤーさんが買い付けをしていて、お二人が話をするようになったのは、堀家さんが買い付けに関わるようになってからですか?
小森:たしかそうでしたよね。前のバイヤーさんと堀家さんとぼくの3人で居酒屋に行ったときだったと思います。
堀家:〈コモリ〉と〈ヴァンズ〉がコラボしたときですね。小森さんってすごい人見知りなので、あのときあんまり喋ってくれなかったんですよ。だから、俺みたいなタイプは苦手なんだろうなと勝手に思ってたんです(笑)。
その後、別注の話をしに事務所に伺わせてもらったんです。大きいサイズでオープンカラーのシャツが欲しいというお願いでした。当時はシャツのサイズが3までしかなかったから、自分がそのサイズを着ると、生地と肌の間に生まれる〈コモリ〉らしい空間ができなくて。お客さんがゆるっと着ているのを見てうらやましかったんです。
ー そこからよく喋るようになったんですか?
堀家:いや、いまだに緊張しますよ。変なこと喋りたくないし、言いたくないんです。ただ、当時はそれ以上に緊張してました。ここ1年くらいでようやくちゃんと喋れるようになりましたね。当たり前かもしれないですけど、小森さんは生地とか服に関してすごく詳しいじゃないですか。一方でぼくは「好きか嫌いか」「着たいか着たくないか」で服を見ているので。知らないことに対する後ろめたさは正直そこまでないんですけど、小森さんの展示会ではなぜかそれを感じてしまうんです…(苦笑)。
小森:ぼくはそれでいいと思うんです。堀家さんは好き嫌いがはっきりしているし、ぼくはそういう人のほうが話しやすいし、接しやすい。服なんて感覚的でいいじゃんって思うんです。だけど、ぼくの服を見た人たちからは薀蓄好きなんだろうなって思われてるんですよ。
堀家:どのブランドに対しても、「このブランドはこういうブランドだ」みたいな印象をみんなそれぞれ持っていると思うんです。だから、「俺ならこう着る」というイメージを自分自身も持っていて。それを小森さんと共有するのに時間がかかりましたね。
ー 堀家さんのブログを見ていても、〈コモリ〉に対する情熱を発信されていますよね。一方で、ブランドからショップに対する印象というのはなかなか聞くことができないんですが、小森さんは「ウィズム」をどうご覧になられていますか?
小森:みんなに意外って言われるんですよ、「ウィズム」で取り扱われているのが。一時期は一番品番数が多かったくらいなんですけど。世界中のものを見ながら、カテゴリーで分けるわけでもなく、好きなものをチョイスしている結果がすごく見えるお店だと思います。
これは前から話していることなんですが、ぼくは嫌いなジャンルってないんです。もしかすると、ストリートっぽいものからは遠いところにいると思われているかもしれないですけど、むしろストリート的なものと 〈コモリ〉を合わせてくれる方が好きですね。ただ、嫌いなジャンルはないにしても、表現の仕方で好き嫌いはあるんです。そのバランスが難しいところで。
ー お店での打ち出し方など、そういうことでしょうか?
小森:そうですね。すごく感覚的なことなので、それを共有するのが難しかったりもします。
堀家:そういう意味で言うと、小森さんの服から教わったのは、派手にやることが正解ではないということです。もう少し違うベクトルのような気がするんですよ。「今シーズンのベストブランド!」みたいな打ち出し方では絶対ないんですよね。買ってくれたお客さんのワードローブのなかにずっと残る服というか、そうした伝え方をするほうがいいと思うんです。
〈コモリ〉は加点方式な服なんですよ。手に取ったときが最高なんじゃなくて、何気ない服だと思って着てみたらすごくよくて、家で洗ってみたらさらに良くなる、みたいな。だから意外と〈コモリ〉を着る機会が俺は多くて。困ったときにパッと手に取るんですよ。この前も大事な会議に出席しなきゃいけないときにそうだったんですけど(笑)。
ー 〈コモリ〉に関しては、より本質の部分を伝えるほうが大事だと。
堀家:そうですね。だからすごく大事なブランドですし、大事なデザイナーであり、大事な人ですね。