ただ売り上げが取れればいいという話ではない。
ー 小森さんも堀家さんも言葉にできない感覚的なものを大事にされていて、それで今回の企画が成立しているんだということがよく伝わってきました。
小森:最近商品説明をするのがすごく難しく感じていて。スペックやディテールを言葉で伝えるのはラクなんですが、それよりも“どうしてそのアイテムをつくったのか”というストーリーを伝えたほうがいいと思うんです。生地やディテールにこだわるのは、それが必要だからなんですけど、“どうして必要なのか”という部分はあまりフォーカスされないんです。
堀家:本当にそうですよね。
小森:堀家さんは感覚的にアイテムをピックアップされているのを感じるんです。好き嫌いがはっきりしているのがわかる。商品についても、根掘り葉掘り聞いてこないじゃないですか。

堀家:自分は小森さんが好きだし、小森さんがつくる服も好きで、うちのスタッフもそれをわかってくれているんです。だからスタッフには、わざわざ細かく説明をしなくても通じる部分があって。俺も「これは小森さんと一緒につくったやつだからがんばって売ってくれ」なんて言わないんですよ。言わなくてもお客さんにちゃんと伝えてくれるから。それがやっぱりうれしいですし、みんなに感謝していることでもあります。
ー それもすごく感覚的なものですよね。
堀家:そうですね。俺が小森さんに抱いているポジティブな感情がアイテムに込められて、それを通してスタッフたちも理解して、今度はお客さんに伝わる。だから、ただ売り上げが取れればいいという話でもなくて。数字も大事ですけど、どう売れたかということもめちゃくちゃ大事なんです。お客さんにも楽しく買い物をして欲しいですし、喜んで帰ってもらいたいから。その部分が合致しないと、インスタントになっちゃうと思うんですよ。

小森:堀家さんは真面目ですよね。
堀家:本当ですか? 超不真面目ですよ。好きなものしかピックアップしてないですから(笑)。
小森:最近自分でつくった服が自分の子供のように思えるようになってきて、展示会は自分の子供を嫁がせるような感覚なんです。なので、どんな人にピックアップされるかというのがすごく重要になってきて。好きでいてくれるお店がやっぱり一番で、テイスト云々はその次なんですよ。だからやっぱり、お店は人ですよ。
堀家:人の部分で話ができるから、それができてるっていうのはあるかもしれません。でも、俺はただのミスター・ジャイアントスイングなんですけどね(笑)。
