CLOSE
FEATURE
『スパイの妻<劇場版>』公開記念長岡亮介と曽我部恵一と考えたい、映画と音楽。

『スパイの妻<劇場版>』公開記念
長岡亮介と曽我部恵一と考えたい、映画と音楽。

登場人物の心境を表現したり、場面の状況を盛りあげたりと、音楽は映画に欠かせない大事な要素のひとつ。観客の感情を煽り、その世界へと引き込む映画音楽は、ふだん聴く音楽と別のものと言っても過言ではありません。第77回ベネチア国際映画祭で、銀獅子賞(監督賞)を受賞した、黒沢清監督の作品『スパイの妻<劇場版>』。世界的な評価を得たその1本は、ペトロールズの長岡亮介さんが音楽を担当しています。本作で初めて劇伴を手がけたという長岡さんに加え、最近では映画『劇場』(行定勲監督)など、数々の映画音楽を手がけてきた曽我部恵一さんをお招きし、映画と音楽について語っていただきました。

  • Photo_Takuya Nagamine
  • Text_Shogo Komatsu
  • Edit_Yuri Sudo

バンドの作曲にはない、
新しい発見も。

ー 特に印象に残っている楽曲を教えてください。

長岡:最初に作った曲があって、使わないことにしたんですけど、とあるシーンに合うんじゃないかと思って試しに映像に合わせて聴いてみたらばっちりはまって。作中では珍しく明るい曲なんです。聡子が決断をして、物語のターニングポイントとなるシーンです。

曽我部:爽やかな曲ですね。

ー その曲は本編を観てからのお楽しみってことにしておきましょうか。

ー これまでの作曲とはちがう部分はありましたか?

長岡:自分で作った曲を、弦楽器や管楽器で演奏してもらうことも初めてだったので、それが新鮮でした。

曽我部:最高ですよね。自分で作ったメロディをその楽器のプロが演奏してくれるって。しかも、何人かで演奏するから、想像以上のものになる。僕たちがバンドでやっている音の重ねかたとは違うから、刺激を受けます。

長岡:イメージが具現化すると、感動しますよね。

ー では、最後に、それぞれが感じた見所を教えてください。

曽我部:この作品から感じることは、ひとそれぞれ違うはず。時代は違えど、現代とリンクする部分があって、変わらない“人”の心もある。共感したり反感を持ったりできるから、観おわったら、だれかと細かく意見交換できると思います。

長岡:今、僕たちが世の中に対して感じているやるせ無いことが色々とあるけれど、個人の力ではどうにもできない部分もあります。それは今も昔も変わらないんですよね。そういう中で意思を持って行動したこの夫婦に対して、何かしら感じるものがあるんじゃないかなと思います。是非観てみてください。

INFORMATION

『スパイの妻<劇場版> 』

公開日:10月16日(金)より全国ロードショー
監督:黒沢清
脚本:濱口竜介、野原位、黒沢清
音楽:長岡亮介
出演者:蒼井優 高橋一生 東出昌大 坂東龍汰 恒松祐里 笹野高史
配給:ビターズ・エンド
配給協力:『スパイの妻』プロモーションパートナーズ
©2020 NHK, NEP, Incline, C&I

公式サイト
公式Twitter

映画『劇場』

原作: 又吉直樹 「劇場」(新潮社刊)
監督: 行定勲
脚本: 蓬莱竜太
音楽: 曽我部恵一
出演: 山﨑賢人、松岡茉優、寛一郎、伊藤沙莉
配給:吉本興業
©2020「劇場」製作委員会
東京・ユーロスペースほか全国にて公開中、Amazonプライムビデオにて全世界同時配信中

公式サイト
公式Twitter

このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事#長岡亮介

もっと見る