ふたりのアーティストによるアートピース。
8ホールブーツを題材にしたアート作品の展示も行われました。フィーチャーされたのはグラフィティライターとして90年代から活動をスタートし、現在はアーティストとして活躍するSNIPE 1さんと、シュールなコラージュワークをはじめイラスト、ペインティング、立体作品も手がけるとんだ林蘭さんです。

「〈ドクターマーチン〉は俺の中でレジスタンスのイメージが強くて、そういう意味で自分と似ているところがある」と語るのは、SNIPE 1さん。表現する上で欠かせないスプレーで描かれたグラフィティ作品は、一見するとカラフルで大胆ですが、間近で見るとスプレーの粒子で細かく表現されていて、緻密かつ繊細な作品であるのが分かります。

「新型コロナが世界中を脅かす中で、いろんな情報が錯綜しています。そうした情報に対して、ただ流されるだけで本当に良いのか? もっと抗いながら自分の意見を持つことも必要なんじゃないかと俺は思うんです。〈ドクターマーチン〉のブーツを履いて、白ウサギを追いかけたほうが、すべてのモノが見えてくるんじゃないのかな、という自分なりのメッセージでもあります」

一方で、白の8ホールブーツを無数にコラージュしたアートワークを披露してくれたのがとんだ林蘭さんです。〈ドクターマーチン〉は「10代の頃から街でよく見かけていました。おしゃれな人たちが履くアイコニックなブランド。私が履いて良いのか分からなかった」と率直な気持ちを語ってくれました。異なる写真が2層に重ねられた作品を最後、会場で仕上げたとんだ林さん。「普段、大型作品をつくることは滅多にないのですが、写真を2枚重ねる手法はみなさんの目に留めてもらいやすいのと、自分でも気に入っているので今回やらせてもらいました」と話します。

「キャットウーマンのようなマスクを表現してみました。〈ドクターマーチン〉ってちょっといたずらっ子っぽい印象があって、笑顔の写真を使いました。もうひとつのほうはお肉です。ふたつ並べて完成する作品です」。