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アーティストたちが振り返る今年の出来事。
2020年忘年会。

アーティストたちが振り返る今年の出来事。

新型コロナウィルスが世界的に猛威をふるった2020年。フイナムでもおなじみのあのアーティストたちは、この1年をどう過ごし、なにを感じたのでしょうか? 加賀美健さん、中村穣二さん、平山昌尚さん、題府基之さんにお集まりいただき、コロナビールを片手に今年1年を振り返ってもらいました。

  • Photo_Motoyuki Daifu
  • Text_Yuichiro Tsuji
  • Edit_Hiroshi Yamamoto

いまは現実がアートよりも奇妙でおもしろくなってると思う。(題府)

加賀美: でも、テレビやSNSを見すぎるのも考えものだよね。その情報を鵜呑みにするのは危険だよ。

平山: Go Toキャンペーンもやったりやらなかったりで、状況がコロコロ変わりますよね。

ー なにが真実なのかというのは、結局のところ自分で判断するしかないということですよね。

加賀美: 本当にそうだね。

題府: 世間はすごく変化しているけど、結局自分はなにも変わってない気がします。

平山: マスクつけるようになったくらいですよね。仮にマスクしないで街を歩いて、変に勘ぐられるのもイヤだし、トラブル回避のためにつけてる感覚もあります。

加賀美: 要するに世間体を気にしてってことでしょ?

平山: そうですね。同調圧力がすごいじゃないですか。

加賀美: コロナ禍になって、それは強く感じるよね。

中村: 気にしすぎも良くないと思うけどね。雨降ったら傘さすのとおなじで、いまはコロナの時期だからマスクするって感覚で俺はつけてるけど。

加賀美: ジョージくんはいつもフラットな目線で羨ましいなと思う。コロナのことを気にする人の気持ちも分かるし、それに疑問を感じる俺らのことも理解できるっていう考え方だから。

平山: 斜めに見ちゃいますよね。

加賀美: ヒマくんはその両方を兼ね備えてるよね。斜めに見ることもあれば、ジョージくんのようにフラットに眺める視点も持っているよ。だからこの3人はバランスがいいんだと思うな。

ー それぞれ持ち味があるということですね。

加賀美: そうそう。それぞれ考え方に個性があっておもしろい。みんながみんなおなじだとつまらないじゃん。

中村: 正解なんてないもんね。

加賀美: そうだね。なにが正しいかなんて分からないまま一生を過ごすんだと思うよ。

ー この状況を題材に作品をつくろうという気持ちは起きますか?

加賀美: 3.11のときにそういう人たちがいたよね。それが悪いとは思わないけど、自分ではやろうと思わない。記録として心に留めることは必要だけど、それをアートとして表現しようとまでは思わないというか。

ー なるほど。

加賀美: でもこういう時期だからこそ、それを表現しなきゃいけないっていうアート界のムードは感じる。それが評価に繋がったりもするから。ただ自分の考えとしては、この先どうなるかわからないからこそ、ワケのわからない作品をつくったほうがおもしろいと思うんだよね。

平山: ぼくもおなじ意見です。これまでやってきた活動の地続きでこれからもやりたいですよね。

題府: 「自粛期間中に撮った写真を見せてください」って、とある雑誌から企画のオファーがあったんですけど、ぼくも結局なにも変わってなかったですね。

加賀美: それでいいと思うよ。それで変わっちゃう人のほうがすごいよ。俺らの周りの人はみんな変わってない。

題府: ただのフックというか、きっかけでしかないように思います。長期的に見たら、その作品って大したものにならない気がする。でも、そっちに合わせていく人も少なからずいますよね。

加賀美: この状況をアートにするって、もう既に答えが出てしまってるじゃん。そういう作品もあっていいと思うんだけど、自分はもっとワケのわからないことをやりたいなぁ。単純にそういうものに惹かれるんだよね。

平山: コロナを題材にするって、結局のところ、小学校の美術で出されるお題みたいなもんですよね。「信号無視しちゃダメ」とか、そういうのあったじゃないですか。

題府: いまって、現実がアートよりも奇妙でおもしろくなってると思うんですよ。たとえばマスクしながらご飯食べたりとか。逆転しちゃってますよね。

平山: たしかにそうかもしれない。

題府: アーティストがおもしろいと思って映しだしてきたものが現実になってきてるんですよ。

加賀美: でも、それをおもしろがってイジったりできない風潮があるよね。だから同調圧力がとんでもない力を持ってしまったんだよ。テレビでもアクリル板が出演者のあいだに立ってるじゃん? あれとか本来ならギャグじゃん。むかしなら「なんだコレ!」ってツッコミがあったわけでしょ。でも、いまはそんなの言えないじゃん。

ー 漫才を見ていてもアクリル板がありますしね。

平山: 冷静に考えると、それがもうすでにギャグだよね。

加賀美: 出待ちして、芸人が外へ出てきたときもアクリル板あったらおもしろいのにね(笑)。

ー 本当に世の中矛盾だらけになってますね。

加賀美: 当たり前だけど、「コロナになって良かった! 」なんて人いないよね。

中村: ポジティブに考えるなら、日常のありがたみを感じたよね。たまに友達と会うだけでうれしかったりするし。

平山: たしかに以前は当たり前のように会ってましたからね。

題府: ぼくは誰もいない繁華街とか好きでした。

平山: 海外からの観光客も居なくなっちゃいましたしね。

加賀美: ある意味では色んな物事がフラットになったのかもしれないね。

ー 地球の自然環境には好影響だったみたいですね。

中村: 空気がよくなったっていうよね。

加賀美: でも、今後もずっとこういう状況が続いて、自粛や規制が強まらないか心配だよ。だってこの状況になったのつい最近だよ? すごいスピードで世の中が変わってきてるよね。

またマスクの話になるけど、女の子の顔もよくわからないじゃん。女の子を見て「かわいい!」って思ったり、その逆もそうだけど、そうゆう感覚って人間の本能でしょ。だけどそれがマスクによって阻害されてる状況って、生物として危険だと思うんだよね。

平山: 若い子たちも恋愛しずらくなってるんですかね。『笑うせぇるすまん』にそんな話ありましたよ。マスクしてる女の子がいて、それを取ったら口裂け女みたいに実はひどい顔してたっていう。

中村: オチがわかりやすいけど、ヒマくんが話すとおもしろく聞こえるのはどうしてなんだろうね(笑)。

一同:

平山: まぁそれは本当に極端な話ですけどね。

中村: でも、若い子たちはそれなりに楽しんでるような気もするけどね。制限はあるけど、それぞれの楽しみ方でエンジョイしてそう。

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