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アーティストたちが振り返る今年の出来事。
2020年忘年会。

アーティストたちが振り返る今年の出来事。

新型コロナウィルスが世界的に猛威をふるった2020年。フイナムでもおなじみのあのアーティストたちは、この1年をどう過ごし、なにを感じたのでしょうか? 加賀美健さん、中村穣二さん、平山昌尚さん、題府基之さんにお集まりいただき、コロナビールを片手に今年1年を振り返ってもらいました。

  • Photo_Motoyuki Daifu
  • Text_Yuichiro Tsuji
  • Edit_Hiroshi Yamamoto

メインストリームと呼ばれるものがどんどんなくなっていく。(中村)

ー DJなどのイベントシーンでは、あまり大々的なPRはせず、人数を制限した野外パーティなども増えてるようです。検温など、コロナウィルスの対策は万全にした上で。

題府: もっとアンダーグラウンドに潜ってるってことですよね。

中村: むかしのパーティシーンに戻ってるってことだね。

題府: SNSとかメディアにあげないっていうのは、ちょっとおもしろいかも。周りがうるさいなら、あげなければいいだけですもんね。

加賀美: そうするとインスタとかツイッターが衰退していくね。

中村: そうなったらおもしろいかもね。

加賀美: そういうのがなかった時代に戻るわけでしょ? となると、情報をどう拡散するかっていうことをみんな考えるよね。

中村: 大昔のレイブみたいに、口コミだけでやっていったらおもしろいかもね。ざっくりと、この辺の山でやってるらしい! みたいな。それでも好きな人はちゃんと探して行くからね。

加賀美: 誰も来なかったら、それはそれでおもしろい(笑)。告知しないで、誰も来なくて、ひとりでパフォーマンスするってなんかカッコよくない?

一同:

加賀美: これからもっと細分化されていくのかもね。いままでは大きなフェスがもてはやされてたけど、もっと小さいものがどんどん増えたりして。

中村: そうなったらおもしろいよね。

加賀美: 気になる人は全部調べて行くしかないしね。

題府: 若い子たちは検索力に長けてますしね。その情報、どうやって手に入れたの? っていうようなネタを持ってる子とかいますから。入手ルートが全然ちがうんですよ。

ー コミュニティがあって、その中でのやりとりが活発かつ濃密なんだと思います。

中村: 共有できる人とだけする、みたいなね。むかしのパーティってそうだったもん。必要以上に人を呼ぶつもりなんてなかったから、バズる必要がなかった。

題府: バズるのがダサいってなったらおもしろそう。

加賀美: 簡単に情報を得られる時代だからこそ、簡単に得させないってことか。

題府: 現代美術の中でも“アーティスト・ラン・スペース”っていう若い作家の子たちが自分たちで運営するようなスペースが増えているじゃないですか。そこにいる子たちはみんな楽しそうなんですよ。その子たちにこの先のヴィジョンを聞いてみたら「本当に好きな作家やカッコいいと思う人たちと、一緒になにかできればいい」って話してて、それで完結してるんです。大きなギャラリーにしていきたいっていう野望みたいなのはなくて。

加賀美: いい意味で欲がないんだね。

題府: アートシーンの二分化がさらに進んで、また別の形になったら、それはそれでおもしろそうですよね。

中村: それはおもしろそうな流れだね。メインストリームと呼ばれるものがどんどんなくなっていくというか。

ー よりピュアな表現が増えてくるということですか?

中村: そういうことだと思うよ。

加賀美: いまとは真逆だよね。それはすごくいい流れだと思う。

ー ファッションにおいても、そうした二分化の流れが進んでるように感じます。コロナウィルスによってかなり打撃を受けたショップやブランドも多いですが。

加賀美: 川久保玲さんがこの前テレビに出てたよね。いままでメディアに出てこなかった人なのに、出なきゃいけない時代になったんだなと思ったよ。

ー その番組では「こういうときだからこそ、なにか新しいことに向かって進まなければいけない」と話していました。

加賀美: デザイナーであり、経営者でもあるってことだよね。だって世界中にお店があって、社員もたくさんいるわけでしょ。あれを見たときにすごく衝撃を受けたよ。だから本当に時代が変わったというか、この一年で色んなことに変化が起きてるよね。

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