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アウトドアサウナを通して、トレイルヘッズが提案する未来。
シームレスに繋がる都市と自然。

アウトドアサウナを通して、トレイルヘッズが提案する未来。

東京都心から西へ車で1時間半ほど。東京都檜原村に会員制キャンプ場「HINOKO TOKYO(ヒノコ トウキョウ)」はある。この施設の目玉として、真っ黒な箱型のサウナが設置されたのはつい先日のこと。ここを運営する「トレイルヘッズ」は、働く場をプロデュースする会社だ。では、なぜそんな会社がキャンプ場を手がけるのか。キャンプ場のことやサウナを切り口に、代表の山口さんと焚き火を囲みながら話した内容は、働き方であり、生き方の話だった。

黒一色のモダンな「HINOKO SAUNA」に根付く思想。

「HINOKO TOKYO」内に、東京観光財団が実施する「Nature Tokyo Experience*(ネイチャー トウキョウ エクスペリエンス)」の支援を受け、真っ黒な外観の「HINOKO SAUNA(ヒノコ サウナ)」が新しく設置された。真っ先に、そのシックな外観が目を引く。

山口さん曰く「当初は複雑でインパクトのあるデザインを計画していた」とのことだが、最終的に着地したのが、このシンプルでモダンな真っ黒な箱だ。

「建物には檜原村の特産である杉やヒノキの木を使い、外観は杉板を真っ黒に焼く『焼杉』を施しました。これにより、水を弾き、耐年数も長くなります。その焼杉は、キャンプ場の会員さんにも参加してもらいワークショップ形式で行ったんです」

*:Nature Tokyo Experienceとは

多摩・島しょエリアに広がる“東京の自然”を活かし、体験と交流による新たなツーリズムの価値の創出を目指す事業を応援するプロジェクト。

キャンプ場会員とのワークショップ。これには山口さんなりの考えがあった。

「会員自らが制作過程に携わり、サウナに対して思い入れを持ってもらうことで、末長く、大切に愛用してもらえるんじゃないかなと。この考え方は、『HINOKO TOKYO』がお膳立てされたキャンプ場ではなく、会員と一緒に楽しみ、つくり上げていく場所であるという、“共創”という思想を反映しているからです」

この“共創”という理念は、まさしく「トレイルヘッズ」という会社を表している。そもそも会社名の元となった「TRAIL HEAD」とは、トレイルの入り口(登山口)のこと。未知の景色に出会うためにスタートするときの高揚感や、まだ見ぬ可能性への期待、仲間とともに歩んでいく楽しみを大切にする姿勢を会社名に込めているそうだ。

外観から一転、ヒノキの木肌を生かしたサウナ室内。人気の上段座面は奥行きが広くあぐらもかける。

おそらくサウナの「焼杉」の作業も、専門家に一任してしまえば、早いし手間もかからない。でもそれでは「トレイルヘッズ 」の考える、仲間とともに歩む未来=人とコミュニケーションを取り、よりよい社会をつくっていくことはできない。

だからこそ、この技法の経験者はゼロという逆境のなかでも、手探りでやり方を試し、何度も失敗するなかで、ようやく完成までこぎつけたのだろう。「最後の方は、スムーズにできるようになった」と語る山口さんが、最初に成功した試作品の「焼杉」を残しているところにも、格闘の日々を想像させる。

サウナストーブは、フィンランドの〈HARVIA(ハルビア)〉社のものを採用。

外壁に「焼杉」を貼ったサウナの室内は、檜原村のヒノキをふんだんに使い、心地よい香りが空間を充たす。サウナストーブに薪をくべて、温度を管理するのは使い手の役割だ。サウナの入り口と地続きになっているデッキには、今後オリジナルの焚き火台が設置され、火を囲んで団欒などもできるようになるという。

このサウナの原風景となっているのは、社員と訪れたフィンランドのサウナとそのコミュニティだ。

「フィンランドへは社員と一緒に建築、インテリア、国立公園、サウナを視察するために2019年に行きました。道中、『Löyly(ロウリュ)』というサウナに寄ったんですが、サウナがいいのはもちろんのこと、建物内のラウンジでビールを飲む人がいたり、焚き火を囲んで談笑する人がいたり、サウナ後は服を着て隣接したレストランでパーティーを楽しむ人がいたり。サウナにがっつり入って“ととのう”だけじゃなくて、ゆるく楽しんでいるそのさまがすごくいいなと。その他にも、宿泊した施設に設置されたサウナでは、自分たちで薪をくべて温める仕様でした。そこから水風呂代わりに海に飛び込むんですが、それが最高に気持ちよくて!」

水風呂代わりに、サウナ小屋すぐ側の南秋川へドボン。山から流れる冷たい清流は最高に気持ち良さそうだ。

その最高の思い出のサウナと同じく、 「HINOKO SAUNA」でも、ユーザー自ら薪を割り、火をくべてサウナの室内温度を調整する。最初は不慣れでもやるうちに必ず上達していく。その過程を楽しむのは、「HINOKO TOKYO」で「トレイルヘッズ」が提唱するアウトドアの楽しみ方とまさしく一緒だ。

INFORMATION

トレイルヘッズ

trailheads.jp

Nature Tokyo Experience

www.naturetokyoexperience.com/

協力/東京観光財団

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