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アーティスト電力ってなんだ? いとうせいこうが語る、新しい電力とライフスタイル。
Futuristic energy

アーティスト電力ってなんだ? いとうせいこうが語る、新しい電力とライフスタイル。

東日本大地震以降の時代を生きる我々が、電力について考えることはある種の義務と言えるのかもしれません。再生可能エネルギーとして名高い、みんな電力が新しく始めたのが「アーティスト電力」です。ブロックチェーンを活用することで電力のトレーサビリティを確保しつつ、アーティストの発電所で作られた電気を購入できると言います。しかも、アーティストとファンが再生可能エネルギーの電気で繋がり、楽しみながらともに地球環境を守ることができるのだとか。そこでみんな電力の押しかけ課長でもあり、本プロジェクトにも大きく関わっている、いとうせいこうさんに取材を敢行。いとうせいこう is the poetとして出演したみんな電力特別協賛の「アースデイ東京2021」の舞台裏にお邪魔し、この取り組みについて語っていただきました。

  • Photo_Shota Kikuchi
  • Text_Shinri Kobayashi
  • Edit_Yosuke Ishii

ヒップホップを知った時と同じくらいの衝撃。

ー 福島にパネルを置いたのは?

どこに置くかというのは話をしていたんだけど、みんでんから、福島はどうですかと話があって、そこはもう二つ返事だよね。その前から、ああいうことが起きた福島に再生可能エネルギーの拠点を持てたら最高だよねと言っていたけど、パネル用の土地を空けてもらえるとはまさか思ってなかった。交渉してくれたみんでんのおかげだね。これは、ストーリーとして筋が通っていると思う。実際に、福島にパネルを立ててくれてありがとう、とかやっぱり福島だよねと声も耳に入ってきていて、ちゃんとみんなにストーリーが伝わっていてよかったなと。

ー どこかの遠い未来の話ではなく、いまの日本の現実としてちゃんと起きている話というのが、希望を持てる話ですね。

個人で発電をして、そこから電力を買いますという言える時代が、2021年のもうすぐ先まで来ている。この衝撃は、ターンテーブルで音楽をやっちゃうの!? というヒップホップを知った時と一緒だよね。引っ掻いて音がすんの!? すごいな!! っていう時と同じ。でも、システムが変わる時ってこういうものなんだよね。人のレコードを使って、音楽をやっちゃうのとパネルを持っちゃうのとは同じだと思うんだ。

ー 先ほどのように、農業に例えて話しているのがすごいわかりやすかったです。

電力はシステムだと思っている人がいるけど、太陽光発電の場合、パネルを一枚一枚ふいて手入れもするし、ビス締めで板の角度を変えることで電力量が変わったりするりするし、その辺りは農産物と何も変わらないんだよね。その日採れたばかりのピチピチの電気をみんなで使いませんかとか、採れなきゃ代わりに、水力発電にしましょうかとか。それと一緒だね。

ー つくっている人の顔がちゃんと見えるのはいいですよね。顔が見えると、電気も腐らせないようにするでしょうし。

普段、明日の天気はどうかなと調べて、洗濯機をいつ回すか決めるよね。ぼくも、雨なら浴室乾燥機の電力のことを考えなきゃいけないし、まったく同じ。服を干すのに天気予報を確認するけど、電気を使う、使わないを意識するのも、それと同じ。電気になるとめんどくさいという人もいるけど、みんな普段からやっていること。

ー 自然の営みに合わせて電気を使うってことですね。

自然の営みに合わせて生きるのは大事なんじゃないのかな。蛇口をひねれば水が出るといい加減に使っちゃうもの。ちゃんと生活者として、生活に敏感でいれば、自然にも敏感でいられる。生活者目線で電気を考えてみると、生活者が自然や天気を考えるのと何も変わらない。

INFORMATION

みんな電力

https://minden.co.jp/

いとうせいこう発電所 / アーティスト電力

https://minden.co.jp/personal/shareland/seikoito/

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