PROFILE
現代美術作家。ドローイングや彫刻などの作品をリリースし、国内外問わず多数の美術展に出展。自身が運営する代官山の「ストレンジストア」では、自作のTシャツなどグッズ類を展開している。
Instagram:@kenkagami
ファッションの中心地にボールを投げ込むつもりで。
梶:今日はおしゃれ対談でしょ? 健くん、どうする?
加賀美:この前、フイナムで〈サンセサンセ〉の対談みたいなことしてなかった?
梶:それはガールフイナムだね。女の子に着てほしい服ってことで、若いクリエーターの男の子と3人で対談したんだよ。
加賀美:そうなんだ。じゃあ今回はメンズ媒体でのおしゃれ対談ってことね。
梶:そうそう。ファッションに対して正面切ってね。中心地にボールを投げ込む感じで(笑)。
加賀美:毒吐きまくっちゃって、全部ピーって入ってたらどうしよう(笑)。
一同:笑
ー おふたりは知り合ってから長いんですよね?
加賀美:二十歳くらいからお互い知ってたよね。同じ時期にアシスタントしてて、道ですれ違ったりしていて。師匠と一緒にいるときは立ち話なんてできないから。
梶:大雑把にいうと同期って感じ。でも、厳密にいうと健くんのほうがちょっと先輩かな。
加賀美:年齢は俺のほうが一個上。でもお互いアシスタントになった時期はほとんど一緒だから同期みたいなもんだよね。
ー 仲良くなったのはどうしてなんですか? お互い辛いアシスタント時代をくぐり抜けてきたからですか?
加賀美:そんなんじゃないよ(笑)。全然そんな話はしたことがない。
梶:より仲良くなったのは健くんがサンフランシスコから帰ってきてからだよね。健くんがシスコ行って、不思議だなと思ったんだよ。アシスタント界のドラフト1位みたいな存在だったから。
一同:笑
加賀美:そんなことないでしょ(笑)。
梶:俺らの時代はすごいよ、三田(真一)くんとか伊賀(大介)くんとか、やる気に溢れる精鋭たちがいっぱいいたから。その中でも俺は健くんが1位だと思ってた。
加賀美:5位くらいだよ。
梶:それなのに健くんはシスコに行っちゃった。それってすごいニュースだったんだよ。その頃俺は独立したてで、これから仕事くるのかなっていう時期でもあったのに。健くんは1位だから、絶対に仕事がたくさんあったはずだよ。
加賀美:ベンツのゲレンデ乗れてたかな? 失敗したな~(笑)。
梶:余裕で乗ってたでしょ。でも、そこに行かなかったのがすごいなと思って。それでシスコから帰ってきて話すようになったんだよね。
加賀美:アシスタントのときはお互い忙しいから、あんまり話せなかったんだよね。サンフランシスコから帰ってきたのが26歳のときだから、もう21年くらいか。梶くん夏に裸で歩いていたりしたよね、「暑いから」って(笑)。あと覚えているのは、あるときいきなり「いまどこいんの?」って電話がかかってきて。渋谷にいるよって答えたら、「いまから行く」って言っててさ。木製のバット持って現れたよね(笑)。それもすごいなと思って。
一同:笑
梶:野球やってたというのもあるかもしれない(笑)。俺が記憶しているのは、健くんがシスコから帰ってきて、当時の俺の仕事を褒めてくれたんだよね。自分がいいと思ってやった仕事を、誰にも褒められたことはなかったんだけど、健くんだけはちゃんと見ていてくれた。それから話すようになったんだよね。俺自身も健くんがやっていることをようやく分かってきた時期で、ミルクマンとか描いてた頃かな。お互いを理解して、仲良くなれるタイミングだったのかもしれない。