ランニングシーンはいま、カルチャーとしてすごく純度が高い状態。
ー ダイエットや健康のためにランニングする人もいらっしゃると思うんですが、それはそれで素晴らしいことだと思うんですが、AQZAWAさんの場合はそうじゃないですよね。走っていて楽しいというのは大きなモチベーションだと思うんですが、それ以外の魅力を挙げるとしたらどんなことがありますか?
AQZAWA:友達とか仲間ができること。しかも年齢が20歳年上とか、逆に20歳年下まで幅広い。職業もみんなバラバラですし、そうやっていろんな人と楽しめるのがおもしろいです。

ー 大会やグループランなどで仲良くなるんですか?
AQZAWA:大会はそこまでですけど、練習会やグループランですね。普段生活している上では知り合えない人たちが参加しているので、そうした人たちとすぐ仲良くなれるんです。
ー AQZAWAさんはご自身でも練習会を開催されていますよね。
AQZAWA:基本的にはひとりで走るんですけど、たまには誰かと走りたいと思ってはじめました。ひとりで飲むのもいいけど、たまに誰かと飲みたくなると一緒です(笑)。それでいろんな人が集まって、知らない人同士が仲良くなってるのもなんだか気持ちがいいんです。
ー グループランと練習会のちがいはどんなところにあるんですか?
AQZAWA:グループランは楽しくみんなで走るようなイメージ。練習会はもっとストイックで、コーチがいて、練習メニューがあって、もっと早く走るための部活みたいな感じ。緊張感があって、みんな追い込みまくるんです。すると、知らない人たちがハァハァと息を吐きながら頑張ったり、励ましあったりしていて、そういう青春っぽい感じがなんだかいいんですよ(笑)。だからこそ余計に仲良くなっちゃうんです。


ー 香港でもグループランに参加されていましたよね。
AQZAWA:SD Runnersというチームがあって、彼らのグループランに参加しました。ぼくは香港に会社があるんですけど、コロナの前は2ヶ月に1回くらい行っていたんです。それで現地のスタッフにローカルのランニングコミュニティについて調べてもらったら、SD Runnersのことを紹介してもらって、参加することになったんですよ。
結構ストイックに走り込んでいるチームで、ぼくがヒーヒー言いながら走っていると広東語で応援してくれて。何言ってるか全然わからないけど、なんだか元気になるんです。その後の飲み会もそんな調子で、それを2年間くらい続けてますね。はやく行きたいんですよ、香港。
ー ランニングでグローバルな繋がりができるのはおもしろいですね。
AQZAWA:言葉は通じないけど、仲良くなれる。2年前くらいに岡山マラソンに40人くらいで参加してくれたこともあって、そのときもすごく楽しかった。別のときはオーストラリアのゴールドコーストの大会でもたまたま彼らに会いました。第三の土地でそうやって会えるのって、ランニングという共通の趣味があるからじゃないですか。お互い言葉は通じないけど、気持ちは通じ合えてるんです。


ー カルチャーとしてのランニングが、ひとつ大きくなっているような気がします。
AQZAWA:そう思います。みんな真面目なんですよ。めんどくさいし、きついし、ヒーヒー言いながら走って、中には山に行って何十キロも走ったりする人もいるんです。真面目じゃないとできないですよ。みんなよくやってるなぁと思いますね。だけど、そういうのを見て刺激をうけるんです。だからSNSの存在はすごく大きい。あいつ練習してるなっていうのがわかるから。それがなかったら、もしかしたらここまで大きくなってなかったかもしれないですね。



ー 走ることのデメリットって感じますか?
AQZAWA:ないですね。走ることによって健康になっていると思うし、仲間や友達ができるし、なんだか仕事もはかどるんですよ。早く仕事を終えて走りたいから、作業量は変わらないのに、無意識のうちに頭や手を動かしているんです。だからメリットしかないですね。強いて言うならば、体のメンテナンスのために月に3回くらいマッサージに行くんですけど、そのお金がかかるくらい(笑)。
ー AQZAWAさんのこれからの目標を教えてください。
AQZAWA:いまはフルマラソンでサブ3を目指してがんばっています。自己記録が3時間11分なので、あと11分縮めたい。あとは記録会とか大会を主催してみたいですね。

ー 今後ランニングカルチャーはどうなっていくと思いますか?
AQZAWA:わからないですね、あまり考えたことがないです。いまこうやって盛り上がっているのは、勝手にみんな走ってるからだと思うんですよ。勝手にみんなで仲良くなって、その人たちで勝手に練習会やグループランをはじめて。それってカルチャーとしてすごく純度が高い状態ですよね。だから、これからもみんな勝手にやるのがいいと思います。