ぼくは音楽がないと心が死んでしまうと思っているからさ。フィッシュマンズって、そんな時に絶対に必要な音楽だと思っている。
ー ゲストボーカルを選ぶ基準ってあるんですか?
茂木:ライブが決まったら、みんなでアイデアを出し合うっていう流れかな。ベーシックな案をぼくから提案して、ZAKと譲からもアイデアをもらってといった感じで。清志郎さんはZAKからで、最初は「え! 清志郎さんなんてお願いできるの!?」って感じだったんだけど、ZAKが「いまレコーディングを一緒にしるから聞いてみるよ」って。で、「オッケー出たで」ってなって「本当にー!」みたいな(笑)
ー すごい流れですね。miuちゃん的に、いまフィッシュマンズとやったら面白そうだなっていうボーカルはいますか?
miu:難しいです…。コソッとなら言えるんですけど、茂木さんの前でそんなこと言えないです……。(小声で)折坂(悠太)さんとか?
茂木:名前は聞いたことあるけど、曲は聴いたことないかも。ちょっと、いま聴いてみたい!
miu:ライブを観たこともあるんですが、聞き入っちゃう感じなんですよ。折坂さんの音楽もスッと入ってくる感じがあって、音だけでも楽しめて、言葉が音として入ってくる同じような感覚があって。フィッシュマンズが持っているポップさとはまた違うんですけど、声が好きなのもあり、勝手に想像させてもらいました。恐れ多いのですが……。
茂木:いいね! オレがすでにハマりそう。
ー 確かに折坂さん良さそうですよね。見てみたいです。新たに“誰かを捜そう”っていうのは難しいですよね。個人的にはUAさんのパフォーマンスが印象的過ぎて……。あそこまでフィッシュマンズの世界観を体現できる人もそうそういないかと。「SWEET LOVE SHOWER」も最高でした。
茂木:2009年だよね。「SWEET LOVE SHOWER」でUAとやりたいと言ったのはぼくなんですけど、UAがフィッシュマンズの曲を歌う時に放たれる生命力が尋常じゃないなって思っていて、お互いの曲をやるという意見も出しましたね。で、その後の2011年の野音はZAKが中心でボーカリスト選びをしたんです。
ー フィッシュマンズ+名義で演奏した「A Piece Of Future」の時ですね。七尾旅人さんとか、たくさん出られましたよね。
茂木:あの時はZAKがすごく頑張ってくれて、フィッシュマンズ+でレコーディングしながら、リハーサルも止めなかったんですよね。世間的に東日本大震災が起きて「音楽を鳴らしてる場合なのか」という意見もあったんだけど、ぼくはスカパラで中南米最大のフェスに出演した時にすごくパワーをもらってたから、その問いに対する答えはイエス。音楽が必要な時期で、音を鳴らすべきっていうことを強く思ったんだ。フィッシュマンズって、そういう時はまとまるのが早いんですよ。
ー そういう時こそ、音楽が力をくれたりしますよね。
茂木:音楽がなくても心臓は動くけど、ぼくは音楽がないと心が死んでしまうと思っているからさ。フィッシュマンズってそんな時に絶対に必要な音楽だと思っているから、やっぱり鳴らされ続けなきゃいけないよね。