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今日はただフィッシュマンズにありがとうを伝えたくて、miuちゃんと一緒に欣ちゃんに会いに行ってみた。
We Love Fishmans

今日はただフィッシュマンズにありがとうを伝えたくて、miuちゃんと一緒に欣ちゃんに会いに行ってみた。

健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、どんなときもぼくらの心に寄り添い、真心を尽くしてきてくれたバンド・フィッシュマンズがデビュー30周年を迎えました。そこで今回は、感謝の気持ちを直接本人に届けるべく、フィッシュマンズのファンであるmiuちゃんと一緒に、バンドリーダーの欣ちゃん(茂木欣一)に会いに行ってきました。7月に公開されるバンド史上初となる映画『映画:フィッシュマンズ』の話題を軸に当時を振り返りながら、結成当初の思い出話や、好きな音楽、いまなおバンドを続ける理由、そしてボーカル佐藤伸治についてなど、ファン目線で気になるアレコレを伺いつつ、心を込めて「ありがとう」を伝えたくて。フィッシュマンズの欣ちゃんと、そのファンによる2時間ちょっとのフリートーク。すばらしくてNICE CHOICEな瞬間を、ほぼノーカットでお届けします。

  • Photo_Yuki Aizawa
  • Hair & Make-up:Chiaki Tsuda(Kinichi Motegi)
  • Text_Shuhei Wakiyama
  • Edit_Yousuke Ishii

映画:フィッシュマンズ

90年代の東京に、ただ純粋に音楽を追い求めた青年たちがいた。彼らの名前は、フィッシュマンズ。プライベートスタジオで制作された世田谷三部作、ライブ盤『98.12.28 男達の別れ』をはじめ、その作品はいまも国内外で高く評価されている。だが、その道のりは平坦ではなかった。セールスの不調。レコード会社移籍。相次ぐメンバー脱退。1999年、ボーカリスト佐藤伸治の突然の死……。ひとり残された茂木欣一は、バンドを解散せずに佐藤の楽曲を鳴らし続ける道を選ぶ。その想いに仲間たちが共鳴し、活動再開。そして2019年、佐藤が世を去ってから20年目の春、フィッシュマンズはある特別な覚悟を持ってステージへと向かう——。過去の映像と現在のライブ映像、佐藤が遺した言葉とメンバー・関係者の証言をつなぎ、デビュー30周年を迎えたフィッシュマンズの軌跡をたどる。

PROFILE

茂木欣一

1967年生まれ。東京都出身のミュージシャン、ドラマー。1991年に、明治学院大学在学中に結成したバンド・フィッシュマンズでメジャーデビュー。現在は、東京スカパラダイスオーケストラ、So many tearsでも活動中。愛称は欣ちゃん。

PROFILE

miu

1996年生まれ。滋賀県出身のモデル・女優。女性ファッション誌『ViVi』の専属モデルとして活躍する一方、音楽やカルチャーにも造詣が深く、メンズ・ウィメンズ問わずさまざまな媒体や広告でも活躍している。無類のラーメン好き。
Instagram:@_miugram_

PROFILE

フィッシュマンズ

明治学院大学のサークル「ソングライツ」に在籍した佐藤伸治、小嶋謙介、茂木欣一の3名で、1987年に結成されたロックバンド。1991年に「ポニーキャニオン」からシングル『ひこうき』でメジャーデビュー。数枚のシングルとアルバムをリリースした後、ボーカル・佐藤伸治の急死により1999年に活動停止。2005年にゲストボーカルを入れて7年ぶりのライブを行い、以後ゲストボーカルを迎えて不定期で活動中。デビュー30周年となる今年は、クラウンドファンディングによる資金調達を行ったドキュメンタリー映画『映画:フィッシュマンズ』を7月9日(金)に公開を控えている。

今日はね、もう「サトちゃーん!」って叫びたい(笑)。それぐらい嬉しい!

ー 暖かいですし、せっかくなのでお散歩しながらお話しでもしましょうか。まずはフィッシュマンズデビュー30周年おめでとうございます! 今日はただフィッシュマンズにありがとうを伝えたくて、同じくファンのmiuちゃんを連れて、茂木さんに会いに来ました。

茂木:miuちゃん世代の子が聴いたらどんな風に感じるんだろう? どうやってフィッシュマンズの音楽に出会うんだろう?っていうのが気になっていたから楽しみです。

ー miuちゃんはいま何歳でしたっけ? 好きな音楽とかも教えていただけたら。

miu:25歳です。ジャンルは幅広く聴いているんですが、ロックの中でもサンプリングのルーツはブルースだったり、レゲエだったり、もとを辿ると別のジャンルにたどり着くみたいのが好きです。昔の音楽とかを掘って聴くのも好きですね。

ー miuちゃんがフィッシュマンズに出会ったのはいつ頃でしたか?

miu:18歳で東京に来てからですね。それまではお父さんから教えてもらったものとか同じ音楽ばかり聞いていました。東京に来てからは年上の先輩とか、音楽に詳しい人に出会うようになって、その人たちが聴いていた青春の音楽をもっと知りたいって興味が芽生えてきたんです。そこで音楽を掘る楽しさを知りました。いろんな人に「カッコいい音楽を教えて下さい!」って聞いて、教えてもらったものを更に自分で調べていく流れでフィッシュマンズに出会いました。

茂木:やっぱり自分より年上の人に教えてもらうというのが多いのかな。

ー フィッシュマンズって脈々と受け継がれていく音楽というイメージがあります。忘れ去られてしまう音楽ではなくて。

茂木:ぼくもメンバーですけど、そういう想いでライブをしてきました。消費されるような音楽ではないと思っているし、どんなタイミングで出会っても、きっと新鮮な想いで聴いてもらえると思っているから。いま、miuちゃんの話を聞いて、時代を超えてそういう音楽になっているのが嬉しいですね。

ー フィッシュマンズはその時々で聴く印象が変わる気もするんですが、miuちゃんの好きな曲はありますか?

miu:たくさんあリます。たとえば、カラオケに行くと『チャンス』と『エヴリデイ・エヴリナイト』を歌ったり。見せれないんですけど、『エヴリデイ・エヴリナイト』を歌いながら寝ている動画があります(笑)。自分で酔いしれて寝ちゃってるっていう(笑)

茂木:えー、聴いてみたいー!

miu:すごく音痴ですよ(笑)。フィッシュマンズは言葉が耳に入ってくる時と、風とか鳥の音のような自然の音みたいに入ってくるような時があって。自分の日常を糧にして、ようやく歌詞が入ってくる感覚があるんです。特にフィッシュマンズはそれが強くて、言葉一つひとつに深みがあって、すごく懐深いなって。

ー フィッシュマンズは救われる音楽だよねって、先ほどもスタッフ陣で話していたんです。寄り添ってくれる音楽だなと。

茂木:応援とかじゃなくてね。佐藤くんもそういう曲づくりを気にしていたと思うんだよね。「人にガンバレを言う気は一切ない」って、当時から言っていましたから。「気持ちを押し付ける感じになるからね」って。ただ、そばにいる感じというか。ぼくもmiuちゃんみたいに言葉を気にしないで聴く時もあるな。

miu:本当に自然の音として入ってきて、音楽とはまた別のジャンルに聴こえるような気がしていて。

茂木:ぼくもそういう音楽が好きなんだ。ビル・エバンスとかを、風や鳥のようにぼやんっと聴いてる時もあれば、鍵盤へのタッチを気にしながら1対1で向かい合う時もあって、そのどちらも正解というか。でも、ひとつあるとすれば、音は絶対に気持ちよくあって欲しいんですよね。

ー それこそ『LONG SEASON』とか裏の拍で踊れるように聴いてもいいし、どっぷり世界に入り込むように聴いても最高なんですよね。

茂木:それが正解だと思う。フィッシュマンズを論理的に語るのも楽しいんだけど、そうやって本当に自由に受け止めてくれる感じ、すごく好きですね!

ー ぼくたちは音楽理論は語れないんで、今日は本当にただ好きですって気持ちを伝えに来ました(笑)。個人的には深夜26時に聴くフィッシュマンズが心地良くて好きです! いまだに半分夢の中(笑)

miu:でも、朝もいいですよ?(笑)。音楽をかけたまま眠るんですけど、朝起きてフィッシュマンズがシャッフルで流れていると気分がすーっとして、「今日も一日頑張ろう!」ってなりますから(笑)。懐の深い音楽にいつも救われてます。

ー わかります! ぼくもこれまでフィッシュマンズに何度となく救われてきました……(笑)

茂木:まだ始まったばかりだけど、今日はね、もう「サトちゃーん!」って叫びたい(笑)。それぐらい嬉しい! 何も言わずに、ただ寄り添ってくれるような感じがいいんだよね。

miu:人間くささみたいなのが、歌詞にもあると思っていて。『Just Thing』の歌詞の「くたばる前にそっと消えようね」とか、俯瞰していて望みすぎないところがいいですよね。仕事で悩む時がたまにあるんですけど、別にみんな人間だものって解決している部分もあって(笑)。そういう時にすごく歌詞が入ってきます。

ー 『Just Thing』は映画でも、すごく名前が出てきたフィッシュマンズの中でも重要な1曲ですよね。

茂木:あの曲はフィッシュマンズにとって間違いなく分岐点です。メジャーデビューすると、こういう曲をつくってくださいっていうのがあるんです。とはいえ、これは自分たちらしい曲なのかなってせめぎ合いも、もちろんあって。本当に自分たちが聴きたい音楽をつくっていこうよっていう、きっかけになったのが『Just Thing』じゃないかな。

ー 『Just Thing』は編集部の連中でカラオケに行くと、誰かしら必ず歌いますよ(笑)。それこそ『いかれた Baby』や『MELODY』なんかも。

miu:すごい気持ちよさそうですね(笑)

茂木:それ観に行きたい!(笑)。カラオケでフィッシュマンズなんて、そんな話聞けると思わなかったよ!(笑)

ー しかも、結構盛り上がるんです!

miu:盛り上がりますよね。

茂木:え、盛り上がんの!? カラオケでフィッシュマンズは盛り上がらないと思ってた。

一同:(笑)

ー それで、調子に乗って『WALKING IN THE RHYTHM』とか『ゆらめき IN THE AIR』とか歌うとダメで。歌いこなせないっていう……。

miu:そうそう(笑)

茂木:えー! 『ゆらめき IN THE AIR』ってカラオケにあるの!? 長くない?(笑)。さっき言ってたmiuちゃんの『エヴリデイ・エヴリナイト』も見てみたいなあ(笑)

miu:ダメです! 本当に見せられないです(笑)

茂木:その映像をフィッシュマンズのオフィシャルMVにしちゃったりね(笑)

INFORMATION

映画:フィッシュマンズ

出演:佐藤伸治、茂木欣一、小嶋謙介、柏原譲、HAKASE-SUN、HONZI、関口“dARTs”道生、木暮晋也、小宮山聖、ZAK、原田郁子、ハナレグミ、UA、YO-KING、川崎大助、西川一三、川村ケンスケ、こだま和文、佐野敏也、植田亜希子
監督:手嶋悠貴
制作:SETAGAYA FISHERIES COOPERATIVE
配給:ACTV JAPAN / イハフィルムズ
公開:7月9日(金)より新宿バルト9、渋谷シネクイントほか全国公開

公式Instagram:@fishmansmovie
公式Twitter:@FishmansMovie
fishmans-movie.com

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