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今日はただフィッシュマンズにありがとうを伝えたくて、miuちゃんと一緒に欣ちゃんに会いに行ってみた。
We Love Fishmans

今日はただフィッシュマンズにありがとうを伝えたくて、miuちゃんと一緒に欣ちゃんに会いに行ってみた。

健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、どんなときもぼくらの心に寄り添い、真心を尽くしてきてくれたバンド・フィッシュマンズがデビュー30周年を迎えました。そこで今回は、感謝の気持ちを直接本人に届けるべく、フィッシュマンズのファンであるmiuちゃんと一緒に、バンドリーダーの欣ちゃん(茂木欣一)に会いに行ってきました。7月に公開されるバンド史上初となる映画『映画:フィッシュマンズ』の話題を軸に当時を振り返りながら、結成当初の思い出話や、好きな音楽、いまなおバンドを続ける理由、そしてボーカル佐藤伸治についてなど、ファン目線で気になるアレコレを伺いつつ、心を込めて「ありがとう」を伝えたくて。フィッシュマンズの欣ちゃんと、そのファンによる2時間ちょっとのフリートーク。すばらしくてNICE CHOICEな瞬間を、ほぼノーカットでお届けします。

  • Photo_Yuki Aizawa
  • Hair & Make-up:Chiaki Tsuda(Kinichi Motegi)
  • Text_Shuhei Wakiyama
  • Edit_Yousuke Ishii

演奏を止めないでよかった。やり続けて、伝えて、枯らさないようにしなきゃって思いますね。

茂木:『空中キャンプ』以降の曲を好きな人は後期一辺倒で聴いているのかなって思っていたけど、『チャンス』を歌ってくれるということは、リリース時期は関係なく初期も聴いてくれるんですよね。あの曲がいつ出たみたいなのは知っているのかな?

miu:あとからちゃんと学びます。知った当初は先に音楽が入ってくるんですけど、フィッシュマンズのことをちゃんと知りたいと思って、自分で調べました。

茂木:やっぱりサブスクで聴いてるの?

miu:レコードも持ってますよ。好きなものはちゃんとモノとして残したいタイプなので、アナログで買っています。でも、1枚だけなんですけど。こだまさんとつくった……。

ー 『Chappie, Don’t Cry』ですかね?

miu:それです! こだまさんが好きなのもあって買ったんです。データってずっと残っているわけないじゃないですか。形が変われば失くなると思っているので、モノで残して、子供、孫みたいに未来へ届けたいという想いもあって。これからもちゃんとお手入れします(笑)

ー そういえば、こだまさんが『Chappie, Don’t Cry』のレコーディング前に渡したカセットの中身がずっと気になっているんですが……。

茂木:あれは「Studio One」の名曲たちですよ。最初はこだまさんのメッセージから始まるんです。こだまさんはちょうどミュートビートを解散して、最初のプロデュース作でもあったから「みんなこのテープを聴いて勉強するんだ」みたいに気合が入っていて。「ダイヤモンドのような輝きのロックステディーを聴いてください」ってメッセージから始まるんです。

miu:すごい、カッコいい!

茂木:1曲目がアルトン・エリスの『Sunday Coming』というアルバムの中の『Alton’s Groove』で、次がジャッキー・ミットゥかな。ぼくらはそれを聴いて、「Studio One」っていうレーベルが気になる!って、ジャッキー・ミットゥの『Macka Fat』っていう超名盤とか、アナログを集めに行ったんだ。ホーテンス・エリスがスタイリスティックスの『People Make The World Go Round』をカバーしてる曲とかも入ってて、すごくいいんだよ。あと、意外とインストゥルメンタルも多く入っていたんだよね。

ー 『Chappie, Don’t Cry』のさらに前の時期は、とても清志郎さんに影響を受けている感じがしているんですが。

茂木:佐藤くんはRCサクセションが大好きなんだよ。

miu:私も大好きです!

茂木:RCサクセションも聴いてるんだね! どのへんの曲聴いてるの? 初期のフォーク時代とかも知ってる? 『僕の好きな先生』とか、『スローバラード』は?

miu:はい、知っています。DVDも持ってます! 「ゼップ」でやっていたライブの上映会も行きましたもん、ひとりでですけど……。

茂木:RCサクセションの『Baby a Go Go』という最後のアルバムが出た時に、日比谷野音のライブをフィッシュマンズのみんなで見に行ったことがあったなぁ。『I Like You』とかも分かる?

miu:もちろん分かります。好きなので聴いちゃいますし、調べちゃいますよ。当時のインタビュー記事が載っている雑誌を、古本屋さんで買ったりして。本を読んで出会った音楽とかは、記憶に残りやすい気がするんです。身体に心がついてくるというか、行動から頭が反応する感覚が好きなんです。

茂木:ヒストリーまでさかのぼっていくのが好きなんだね。フィッシュマンズもmiuちゃんの心に残るバンドになれてよかった。

ー miuちゃんの同世代でフィッシュマンズを聴いてる人は多いですか?

miu:同年代の同性ではほとんどいなくて……。だから仲のいい女友達とカラオケに行った時も反応してもらえないんです(笑)。男の子の方がカルチャーを掘るのが好きな人が多いのでいるんですけど……。

ー 一方で、海外のレビューサイト「レートユアミュージック(Rate Your Music)」での評価がすごいですよね。オールタイムベストでは日本のミュージシャンで唯一、トップ50にランクインしていたり。ライブ盤の評価も高いですし、いまの時代に、フィッシュマンズの音楽が世界中に響いているっていう。

茂木:そうなんですよ、びっくりしています。本当に幸せだなって思いつつ、やっときたなって思いもあって。「分かるよね!」って言いたくなっちゃう(笑)。miuちゃん世代にも、海外の人にも伝わるんだってことがここ数年で分かってきたし、改めてライフワークとして届け続けていかなきゃいけないなと。

ー 戦争を語り続けるおばあちゃんみたいに、語り部として茂木さんが伝え続けて、解散させずに活動を続けていたというのも大きいですよ。

茂木:特に歌に関してはどうやって続けようか悩んだので、本当に演奏止めないでよかったと思う。もう一度始動するって時に、UAとかハナレグミだとかクラムボンの郁子ちゃんだとか、それこそ清志郎さんに手伝ってもらったところから始まっているから。そうやってやり続けて、伝えて、枯らさないようにしなきゃって思いますね。

INFORMATION

映画:フィッシュマンズ

出演:佐藤伸治、茂木欣一、小嶋謙介、柏原譲、HAKASE-SUN、HONZI、関口“dARTs”道生、木暮晋也、小宮山聖、ZAK、原田郁子、ハナレグミ、UA、YO-KING、川崎大助、西川一三、川村ケンスケ、こだま和文、佐野敏也、植田亜希子
監督:手嶋悠貴
制作:SETAGAYA FISHERIES COOPERATIVE
配給:ACTV JAPAN / イハフィルムズ
公開:7月9日(金)より新宿バルト9、渋谷シネクイントほか全国公開

公式Instagram:@fishmansmovie
公式Twitter:@FishmansMovie
fishmans-movie.com

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