センスよりも引き出しの多さのほうが重要。
撮影終了後も、遠藤さんの仕事は続きます。急いで撤収したあとは、都内のインテリアショップでリサーチの予定。目的地まで再び「カングー」を走らせます。



「アシスタントの頃から移動はほぼクルマでした。ドライブって頭の切り替えになるんですよ。仮に家で作業していても、屋内でジッとしているよりもクルマに乗って何かを考えたほうがアイデアが湧きやすいので、気分転換に運転することもあるくらいです」
「クルマを運転していると景色が移り変わり、そうした変化を追いかけたりすることで、脳の別の場所が働くのかもしれない」と遠藤さんは続けます。

「パッと見える街の景色から、なんとなくインスピレーションを得ているのかもしれませんね。歩いている人を見て、『次の撮影はああいう感じの人が住む部屋にしてみよう』とか、想像を膨らますことができますから」


そんな話をしていると「カングー」は目的地である富ヶ谷のインテリアショップ「アーケストラ(ARKESTRA)」に到着。ここは遠藤さんがよくリサーチをしたり、アイテムをリースしたりするお店です。
「このお店はヴィンテージ色が強いんですけど、セレクトがすごく素敵なんです。ただ単純にヴィンテージを推すだけじゃなくて、モダンなアイテムと組み合わせたりしていて、その提案がすごく上手なんですよ。あと、その中で国内外の作家さんのポップアップなんかもやったりして、なおかつそれがこの空間にマッチしているところも魅力的ですね」



リサーチ中、一つひとつのアイテムを真剣な表情で眺める遠藤さん。時折スタッフの方と情報交換をしながら、スタイリングのアイデアを探ります。
「ぼくの仕事は、たくさんのモノを知って、たくさんの引き出しをつくることが武器になるんです。インテリアスタイリストと名乗ると、『センスいいんですね』とか言われるんですけど、センスよりも引き出しの多さのほうが重要だとぼくは思っています。だからリサーチってすごく大事な仕事なんです。あのお店になにがあるっていうのを知っておけば、急に仕事の依頼がきたときも対応できますから」

