フルレングスの「ミズノエナジー」と大型化した「ミズノウエーブ」。
それでは、〈ミズノ〉の2021年の最新モデルから、フラッグシップモデルの「ウエーブライダー25」(レベル=サブ5.0-完走)を、前作の「ウエーブライダー24」との比較を交えながら見ていきましょう。

「ウエーブライダー25」は補強が少なくシンプルな作り。
アッパーはエンジニアードメッシュの2レイヤー。正面から風を受ける部分、つまりフォアフットの上面とシュータン部分は目が荒くなっており、通気性を考慮した作りとなっています。前作と比べるとサイド部の補強が少なくなっている分、甲に巻きつくようなフィット感があります。また、足が屈曲した時にアッパーから感じるストレスがなく自然なフィーリングです。

トウの比較。「ウエーブライダー25」は通気性に重点を置いている。
タングはソールと接続されて甲全体にフィットするガセットタング。厚みは前作と同様で中厚程度です。シューレースは平紐の割に伸縮性があるので、しっかり目に締めても圧迫感は感じにくいでしょう。

ソールと接続されたガセットタング。その奥に見える白い部分はアッパーの補強。
履き口のパッドは厚みも十分。ヒールにはしっかりしたカウンターが内蔵されており、カカトをしっかりとホールドします。
また、「ウエーブライダー25」ではサスティナブルへの取り組みとして、シューレースと履き口部分にリサイクルペット素材を使用しています。
ソール部分もフルリニューアルされています。ミッドソールの基本的な構造は前作と同じで、フルレングスの上層のミッドソール、その下にミズノウエーブ、そしてミッドフットからヒールにかけて最下層のミッドソール、アウトソールはフォアからミッドフット部とヒール部でセパレートしてあります。
最も大きなトピックスは前作の最下層で採用されていた高反発ソール素材「ミズノエナジー」が上層にも採用され、ミッドソール全体が「ミズノエナジー」仕様となったことです。「ミズノエナジー」とは〈ミズノ〉の従来素材に対して柔軟性が約17%(当社比:製品性能は材料性能と異なります。また、生産上のバラツキや設計などにより効果や感じ方が異なります)、エナジーリターンが約15%(エナジーリターン=反発性/当社比:ミッドソール材料を鉛直方向に圧縮した際の反発力)向上した素材です。ミッドソールの変更はそれだけではありません。サイドのグルーブ(溝)の刻み方も変わっています。フォアフットのインサイドにはグルーブがなくなり、アウトサイドは前作では2本あったグルーブが1本に集約されているのがわかります。

両サイドから見た新旧「ミズノウエーブ」の比較。
さらによく見ると、「ミズノウエーブ」の形状と大きさも変更されています。「ウエーブライダー25」ではプレートの長さがながくなりよりフォアフット寄りからヒールエンドの付近までプレートがカバー。さらに、インサイドの土踏まず付近は極端に巻き上がっていて、オーバープロネーション対策を強化したように見えます。

グルーブを少なくして、アウトソールをつなげ、剛性を高める方向にアップデート。
ラグパターンも一新している他、3ピースに分かれていたインサイドのピースを一つにつないでいます。さらにアウトソールは踵の外側部分に耐摩擦性が高いX10を採用。ミッドソールがむき出しになっている部分のグルーブも少なくなっていて、剛性とダイレクト感の向上を狙っているようです。
また、アウトソールでこだわりを感じたのはエッジ部分です。最初に接地するアウトサイドのエッジは角がラウンドした形状になっており、よりスムーズな着地を実現します。

アウトサイドのエッジ部分がラウンドしているため、滑らかに接地できる。