ランニングシューズのプレートはカーボンだけじゃない。
ランニングシューズのイノベーションで、近年何かと話題になっているのがプレートですね。反発を利用してより速く走れるシューズを、トップアスリートから市民ランナーまでが求めています。
ところが、シューズにプレートを入れるというのは、とくに新しいことではありません。ランニングシューズが登場する前の革靴の時代から「シャンク」と呼ばれるプレートが内蔵されていました。もちろん素材はカーボンではありませんでしたが。
そう、現在のパフォーマンスシューズとは目的が違っていたのです。シューズのカカトを高くすると、必然的に土踏まず部分が落ち込んでしまうので、補強のために「シャンク」を入れていたわけです。
ランニングシューズのプレートといえば、1997年以来のロングセラーである〈ミズノ〉の「ウエーブライダー」が先駆けというのは、誰もが認めるところですね。他社がミッドソールのクッション材の開発に重きを置いている頃から(もちろん今もそれは重要なのですが)、プレートによって柔と剛の相反する機能を高めることに成功したのです。
現在、エリートランナーがプレートに求めるのは反発。とにかく速く走るという一点突破的な機能です。ですが、もちろん安定性があった方がいいに決まっています。また、フルマラソンで完走が目標のランナーには、反発よりも安定感や疲労軽減が大切であることは間違いありません。でも、走りを助ける自然な反発はあった方がいいに決まっていますよね。
そこで登場するのが「ミズノウエーブ」です。「ミズノウエーブ」とはその名の通り3D構造の波状プレートで、硬さ、屈曲、ねじれ、反発をコントロールできます。
ミッドソールのクッション材の中に埋め込むことで、柔らかいミッドソールが底を打って不安定にならないように剛性を与えたうえで、足の屈曲に合わせたシューズの柔軟性は確保しながらも、横方向へのねじれに対しては強く、走行中のブレを抑制してくれるという万能ぶりを発揮するのです。
プレートの形状やミッドソールとの組み合わせを変えることで、サブ3からサブ5まで対応できるシューズに搭載されています。さらに、ランニングシューズ以外にももちろん有効で、現在はランニング以外のシューズに採用され、ウェーブの形状も多様化しています。「ミズノウエーブ」は、〈ミズノ〉シューズの核心部なのです。