いい意味でのチープさやユーモアをクールに昇華する感じ。
ー 松尾さんが関わるようになったのはどうしてなんですか?
馬場:ぼくが福岡にいた頃、とある服屋で働いてたんですけど、敬くん(松尾さん)はその常連さんだったんです。その後、「manucoffee」で働きはじめたというのを知って、そこから一緒にマグカップをつくったり、お店でイベントを一緒にやったりとかするようになって。
敬くんはコーヒーを淹れられるし、イベントもできるし、福岡の人脈で俊太郎くんとかアーティストと一緒にグッズもつくれるので、彼が「独立する」って言ったときに、一緒にやろうって声をかけたんです。

松尾敬介 1985年生まれ。福岡の「manucoffee」にて経験を積んだ後に独立し、旧知の仲であった馬場さんに誘われて「HIROPPA」にてコーヒーショップを開業。この公園の運営やディレクションも松尾さんのお仕事。
松尾:もともと独立して自分のお店を持ちたいとは思ってて。それで一昨年の1月くらいに独立したタイミングで、匡平が声をかけてくれたんです。人生で公園をつくれる経験って、なかなかないじゃないですか。自分の希望であったコーヒー屋さんもつくっていいってことだったので、すぐに「やる」と伝えたんです。
ー なかなかできない経験だとは思うんですけど、プレッシャーは感じなかったですか?
松尾:匡平と一緒に取り組む気持ちでいたので、そこまで感じなかったですね。この建物や全体的なイメージに関しても、彼の好きそうなテイストはだいたい掴めていましたし。
ー 馬場さんの好きそうなテイストというのは、具体的にどんな雰囲気なんでしょう?

松尾:ぼく個人の解釈だと、美しさを求めるよりも、ストリート要素があったりとか、いい意味でのチープさやユーモアな要素をクールに昇華する感じですね。それが「マルヒロ」っぽいなと思ってたんです。この公園の設計デザインも、何人か候補を出すんじゃなくて、ピンポイントで「この人がいいんじゃない?」って提案して。
もともとぼくは独立する気持ちがあったから、「自分のお店をつくるならこうしたい」っていう妄想をむかしからずっとしていて。そこから建築やデザインに興味を持ちはじめて、いつのまにか詳しくなってたんですよ(笑)。
ー どんな設計事務所を提案したんですか?
松尾:世界的に有名なブランドとお仕事をされている元木大輔さんの「DDAA」という事務所です。

馬場:いっぱい提案されても、こっちはわからないですから(笑)。はじめに提案された人がその人のおすすめってことじゃないですか。それで元木さんを提案されて、いいなって思ったんですよ。なにかの写真でマルセル・ブロイヤーの椅子を使ってたのも決め手になりました。マジで欲しかった椅子だから(笑)。
松尾:元木さんは81年生まれで、ぼくらと生まれた年代が近いのもポイントでした。年齢が近い人のほうがコミュニケーションも取りやすいですし。
馬場:巨匠と呼ばれる人たちだと、対等にものづくりがしにくくなっちゃいますよね。同年代の人たちならそんなことないし、ぼくらが歳を取ったときに、また一緒になにかやりやすいじゃないですか。