この公園が変化していくのを楽しみたい。
ー 2年前の取材のときから感じていたんですが、馬場さんはいつも楽しそうにしていて、仕事と遊びに境界がなさそうに見えるんです。だからこそ、いろんな人たちが集まって、こうして魅力的な公園ができているのかなと。

馬場:ん~、どうなんでしょうね? だけど、仕事をしたくないって思ったことはないですね。結局、あんまり考えてないんですよ(笑)。
松尾:狙ってやってないよね(笑)。
馬場:仲のいい人たちと一緒にやっているから、普段の自分のままで仕事ができるんです。それにぼくもみんなのことを信頼してますから、知らない人よりも仕事を任せやすいじゃないですか。疑ってたらそもそも仲良くもなれないですし。
だけど、好き嫌いはちゃんと伝えます。それを繰り返すことで、仲間もぼくの好きなことを理解してくれるでしょう。そうやってどんどん信頼関係を築いていっていますね。
ー この場所までタクシーで来たんですが、運転手さんも「HIROPPA」の存在を知っていました。町内の人たちも期待しているそうですよ。
馬場:それはうれしいですね。波佐見ケーブルテレビっていうのが地元にあって、そこに広告をだしてるんですよ。POPPY OILさんが音楽をつくってくれた映像なんですけど、1日に4回流れるんです。それをおっちゃんたちがよく見てるんですよね。
馬場:お世話になっている職人のおっちゃんたちも、ここに来たときに「いいね」って言って帰っていって。それもものすごくうれしかったですね。ここからまた植物が育ってくると、またちがったおもしろさがでてくると思います。町内の人たちの憩いの場所にしたいので。この辺りには幼稚園や保育園がたくさんあるんですけど、遠足でここに遊びに来て欲しいと思っています。
松尾:オープンが楽しみですね。おもしろい公園ができあがったと思いますし、コロナが落ち着いたらデルタさんとかを呼んでイベントをしようっていう計画もあるので。今年はイベントができなかったから、来年以降はすこしづつやりたいと思っているんです。焼き物イベントじゃなくてもいいし、そういう意味で枠を広げていけたらなと。
ー もう十分枠が広がってるように思いますよ。普通は公園をつくろうなんて思わないじゃないですか。

馬場:それはよく言われますね(笑)。だけど、当初の想定よりもだいぶ自由度は低かったですね。ぼくはもっともっと怪我するような感じでもよかったんですよ。だって、自分たちが公園で遊んでたとき、しょっちゅう怪我してたじゃないですか。だけど、ここはぼくらの私有地だから、なにかあったときの責任の所在はぼくらにあるみたいなんです。それを知ったときはもう、縮みあがりましたよ(笑)。だから当初の予定よりもかなりマイルドにはなってますけど、それでも子供たちが遊ぶだけじゃなくて学ぶ場所でもあって欲しいと思っていて。「HIROPPA」のロゴに「A FUN PLACE BUT ALSO DANGEROUS」というメッセージを添えているんです。
松尾:こういう場所をつくる以上、「あれをしたら危ない」とか、ネガティブな意見ってたくさんあったんですよ。もちろんそれを加味して、いろいろアイデアを練ってつくったんですけど、それでも不安要素がゼロになることって難しいと思うんです。だから園内にも看板を立てて、注意喚起を施す予定です。
馬場:デルタの作品も、バリバリ角ありますからね(笑)。そういうところで無茶して遊んじゃいけないって、子供たちもわかってくれたらいいですよね。あとはいろいろ時間が経つにつれて、この公園が変化していくのを楽しみたいです。これで完成とは思っていないので。それで10周年になったら、でっかいパーティをしたいですね。
ー では最後に、これからの「マルヒロ」の展望や目標について教えてください。
馬場:細く、長く、楽しく暮らしていきたいです。
ー 太くなくていいんですか?

馬場:太い幹がボキッと折れたら大変じゃないですか(笑)。それよりもしなやかでありたいし、知り合った人たちと一緒に豊かになれればいいと思ってて。ぼくだけが太くなるんじゃなくて、みんなで集まって太くなれればいいかなと。それが下の世代、その下の世代へと循環していくようにしたいですね。具体的に「こういうことをしたい」って言うのは最近控えてるんですよ。「公園をつくりたい」って記事に書かれたら、本当にやらなきゃいけなくなるから(笑)。だけどこの「HIROPPA」を機に、世代や男女関係なく、より多くの人と接点を持てたらこの上ないですね。