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E5eyevanによる美的造形性を排除したデザインのロジック。
Design of the Tool

E5eyevanによる美的造形性を排除したデザインのロジック。

「デザイン」という言葉を聞いたとき、どんなイメージが頭のなかに浮かぶでしょうか? 辞書を引くとこんな意味がヒットします。「製品の材質や機能、そして美的造形性などの要素と、技術、生産、消費面からの各種の要求を検討し調整する総合的造形の計画」。

「着る眼鏡」をコンセプトに生まれた〈アイヴァン(EYEVAN)〉。そこから派生した5つ目のアイウェアブランド〈E5 eyevan〉は、そうしたデザインの「美的造形性」を排除し、道具としての本質を追求することから始まりました。しかしながら誕生したプロダクトは美しく、まさしく“着る”にふさわしい逸品。

この新しいブランドが生まれた背景、そしてそのプロセスは、デザイナーである中川浩孝さんの“デザイン”に対する疑問と挑戦の道のりでもあるのです。今回は、旧知の仲であり、ひとりの〈アイヴァン〉ファンでもある「ムロフィス」の中室太輔さんと共に、その道のりを辿ります。

  • Photo_Shinji Serizawa
  • Text_Yuichiro Tsuji
  • Edit_Ryo Komuta

自然界のもののように、成るべくしてなったデザイン。

中室: ぼくも最近デザイナーさんと話をしていて、コロナでものづくりの考え方が変わったという話をよく聞くんですよ。とあるブランドの展示会に呼ばれたときに、それまでのものづくりとはまったく違ったコレクションになっていて。ミリタリー由来の形はそのままで、デザインはほとんどいじっていないんですけど、染め方や生地のギミックで従来とは異なるものをつくり上げていたんです。

どうしてそうしたのか聞くと、「こうした状況になって本当に必要なものだけしか欲しくなくなった」と仰っていて。デザインでモディファイされたものよりも、ミリタリーウェアそのものを着たくなったそうなんです。そこに唯一、こうだったらいいなという自分の好みを反映させた、と。

それを聞いたときに、中川さんの話を思い出して。ものづくりやデザインに携わっている人は、コロナとか世の中の状況が変わると、考え方も変わってしまうのかな、と思いました。あるいは、別の起点をつくれるのかなと。

中川: ぼくの周りでものづくりをしている人も結構変わりましたね。なんなんでしょう、ナイーブなんですかね。

中室: 敏感なんですよ、きっと。ぼくは鈍感なタイプで、全然変化がないんです。だけど敏感な人は、いろんなところに変化がでてきそうですよね。

ー 世の中の状況を吸収して、それを形にしやすい職業ですもんね。

中川: たしかに全部アウトプットしたいという気持ちはありますね。自然とそうなっちゃうんです。見たもの、食べたもの、経験したことが全部外にでてしまう。

中室: インプットがすごい大事なんでしょうね。ぼくの場合、トルクスネジを見てもインプットできず、すぐ流れていっちゃうんで。中川さんはコロナのこの状況をストレートに吸収して、その影響が大いにあったということですよね。

中川: 生活が変わるじゃないですか。電車に乗って、事務所に行って、作業するという日常がなくなって、その代わりに散歩して緑をよく見るようになって。そうした生活の変化もデザインにやっぱりデザインに反映されちゃうんですよ。

ー 今回のアイテムが完成したとき、どんな感情が生まれたんですか?

中川: 機能の積み重ねによって生まれたものなので、ある意味では自分のデザインの範疇ではないんです。自然界のものがそうであるように、成るべくしてなったデザインなので。だからこれでいいのか、ちょっとふわふわした気持ちでいましたね。

だから代表に見せるのがちょっと不安だったんですよ。だけど、すごくいい反応を得ることができました。営業のメンバーも「いいじゃん」って言ってくれて。それでようやく楽しくなってきたというか、他のブランドと真逆の発想でできたものだから、いろんなことが明確になっていったんですよね。

中室: めちゃくちゃいいメガネですもんね。〈アイヴォル〉のメガネを「ラクだから」という理由で家でかける人が周りに何人かいて、あれって軽さやかけ心地がいいという機能性と装飾的なデザインのバランスが近しいところにあるじゃないですか。だけど〈E5 eyevan〉はその要素が一体化してますよね。そこが優れたポイントで、家にいるときはラクだし、外へでかけるときもかけられる。だから究極なんですよ。〈アイヴォル〉を家で使っている人は、外に出るときに〈アイヴァン 7285〉をかけるそうなんです。

中川: たしかに〈アイヴォル〉がいちばん近しいのかもしれません。あれはアクティブシーンに向けてつくっているブランドなんですけど、それが結果的に家でもハマっているというだけで。

ー スポーツウェアを部屋着にするような感覚ですか。

中川: まさにそうですね。だけど〈E5 eyevan〉の場合、シーンを限定してないんです。生活を送るうえでの必要な道具なので。その違いが出ているのかもしれませんね。

中室: 本当に究極すぎて、ファンとして他のブランドのことが心配になっちゃうくらい素敵なメガネですよ。だけど、並べてみるとやっぱりそれぞれに魅力はあって。〈アイヴァン 7285〉は装飾的だし、〈10 アイヴァン〉はシンプルだけど重みがあって、〈アイヴォル〉は中川さんが仰ったようにアクティブな場面で使いやすい。本当に違いが明確にありますね。

中川: 〈E5 eyevan〉ができたことで、他のブランドのデザインがしやすくなりました。それと「〈アイヴァン 7285〉って、どうしてこういうデザインなの? 」って聞かれたときに、「かっこいいから」とシンプルに言い易くなって。そうやって言い切れるのがラクだし、ぼくとしてはうれしいんです。

INFORMATION

EYEVAN PR

電話:03-6450-5300
e5eyevan.com

※12月の一般発売に先駆けて、以下の内容で期間限定のポップアップストアを開催いたします。

日程:9月25日(土)〜 10月24日(日)

EYEVAN 7285 TOKYO

住所:東京都港区南青山5-16-2 2F POP-UP スペース
営業:11:00~20:00(火曜定休)
電話:03-3409-7285(予約制)
※9月25日(土)〜9月26日(日)デザイナー中川氏在店
予約サイト:https://reserva.be/e5

THE EYEVAN 京都祇園

住所:京都府京都市東山区祇園町南側570-125
営業:11:00〜19:00(水曜定休)
電話:075-561-2300
※10月9日(土)〜10月10日(日)デザイナー中川氏在店

Continuer

住所:渋谷区恵比寿南2-9-2 カルム恵比寿1F
営業:12:00〜20:00(水曜定休)
電話:03-3792-8978

※先行ポップアップストアでは、期間中購入者に「E5 eyevan Concept Book」を進呈いたします。

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