いい実感こそが気づきを生み出す。
ー それはもともと楽しんでいたひとが姿を消してしまうということでしょうか?
小林:うーん、これからやってみようという新規のひとにとってよくない体験になりそうだなと。いま、アウトドアが一過性のものではなくライフスタイルになりつつあるのは、強烈な“体験”だからだと思うんです。正しく楽しめば、その気持ちよさが強く記憶に残って次に次にとつながります。でもちょっと合わない道具や、あまり楽しめないやり方で体験すると、むしろ負の方向に向かってしまうんじゃないかなと感じています。“なんだ、キャンプってこんなもんか”って思われちゃったら、きっと離脱してしまいますよね。
ー どんな風に体験するかが重要なんですね。
小林:いまってアウトドアサウナが流行ってて、なんでだろう、って考えてたんですけど…。川に飛び込む爽快感や、外気浴の清々しさ、それらが普通のサウナとは違う圧倒的な体験を生み出しているんだと思います。いま北欧のサウナ文化を伝えているのが、きちんと本場でよい体験をしてきた知識のあるひとたちだから、こんなに流行ったんじゃないでしょうか。
ぼくも銭湯のサウナにはもともとあまりよい印象がなかったです。汗臭いし、水風呂ぬるいし! みたいな。でもアウトドアでサウナを正しく体験してみて、やっと自律神経が整う感覚が分かりました。“あ、これのことを言ってたのか”って。