PROFILE

1994年生まれ、奈良県出身。VANTANデザイン研究所ファッションデザイン科卒業。2016年「Asia Fashion Collection」グランプリを受賞。2017年2月、ニューヨークで2017‐18年秋冬で〈ダイリク(DAIRIKU)〉のコレクションを発表。ルーツやストーリーの感じられる服が若者を中心に人気を集めている。
Instagram:@dairiku.pdf
アクセサリーとしてのG-SHOCKの面白さ。

〈G-SHOCK〉ブランドのアイデンティティを象徴するファーストモデル「DW-5000C」は、四角いベゼルに囲まれたシンプルな文字板と、丈夫なタイヤを思わせるデザインが特徴のモデル。「MY G-SHOCK」ではその系譜を受け継ぐ定番モデル「DWE-5610」をベースに、文字板、ベゼル、ベルト、ベルトループ、そしてバックルの配色を自分好みの色にカスタマイズできます。

「実はこれまで時計をつけてこなかったので、初めてのG-SHOCKづくりを楽しみにしていました」。そう話すのは、〈ダイリク〉のデザイナー・岡本大陸さん。
「時間の確認という点に限れば、作業中はPCを開いているし、いつだってiPhoneが手元にあるので、僕自身は道具としての時計に必要性は感じていないんです。でも〈G-SHOCK〉のデザイン性って唯一無二で、特別ですよね。学生時代、友達が付けていた鮮やかなブルーの〈G-SHOCK〉や〈メゾン マルジェラ〉がコラボしたシルバーの〈G-SHOCK〉、いまだに覚えているくらいどれも印象的でした。今日はファッションアイテムとしてのチャレンジにわくわくしてます」
映画からヒントを得た絶妙なカラーリング。
色とりどりのパーツをじっくりと眺める大陸さん。「MY G-SHOCK」を体験するにあたり、どういったところにポイントを置いて臨むのでしょうか?

「これだけカラバリがあると、悩みつつも気分が上がりますね。今日は〈ダイリク〉のデザインをするという目線ではなく、自分が実際に身につけることを想定してつくりたい。どんなスタイリングにも合わせやすく、かつオリジナリティもあるものを目指して頑張ります(笑)」

デザイナーならではの視点を駆使して、合わせやすさとオリジナリティの中間地点を探る作業が始まります。
「汎用性を重視したらやっぱりブラックが安心できるけど、オールブラックはインラインにありますもんね。今日は黒は封印して、少しだけ攻めながら考えます」

「〈ダイリク〉のコレクションはとにかくカラーが多いです。最近は、コロナ禍を乗り越えようとする時代感も後押しして、僕自身これまで以上に明るい服を着たい気分。次のシーズンはもっとカラフルになりそうです。そのなかで、どのコレクションにも必ず使っているのが紫。紫って意外とスタイリングしやすい色なんです。薄くしたり濃くしたり、赤みの調整をすれば、SSにもAWにも馴染む色。一見、難しい色のようで、寒色にも暖色にも合うので、勝手に万能色だと思っています」

「このカーキも好きですね。ミリタリー感があって男前。これも良くて悩みますが、自分が付けるならもうちょっとニュートラルな方がいいのかな……」



色を選び、パーツを組み合わせていく。その作業は、幼少期を思い起こすと大陸さんは語ります。
「子供の頃、おじいちゃんが買ってくれたレゴでいつも遊んでいたんですが、あの楽しみを思い出しますね。いつも映画の世界をレゴで表現してたんですが、『あの映画のキャラが〈G-SHOCK〉を付けるなら……』とか考え出したら無限に出来そうです(笑)」



映画の世界観を、ファッションとして落とし込むのが〈ダイリク〉というブランド。今回の「MY G-SHOCK」でも、“時間”を感じる作品として一本の映画をセレクトしていただきました。しかし、今回は作品本体ではなく、DVDにまつわるエピソードに親和性を感じたようです。
「今日は、父が一番好きな映画『冒険者たち』を持って来ました。僕自身で購入したのが白いパッケージの方(左側)で、右の方は父が最近送ってきてくれたDVDです。同じ作品なんですが、父の私物だったDVDはパッケージの色が褪せていて時間の経過を感じました」
大陸さんにとってモノづくりの水脈ともいえる“映画”。それは何を隠そう、父親からの影響だったそう。
「昔、父とよくレンタルビデオ屋さんに行っていて。5本レンタルする内の一本をぼくに選ばしてくれてたんですけど、結局父が借りた4本も一緒に観てたんです。その影響で映画が好きになって、学生の時から映画を着想源にして、コレクションや撮影のビジュアルイメージを組み立てています。最近では『ブレックファスト・クラブ』やウォン・カーウァイの作品を観ながら、次のコレクションのヴィジュアルについてフォトグラファーさんと話し合いました」
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