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ノンネイティブとノーマティーディー。アメカジの伝統柄に、新しさと華を。

ノンネイティブとノーマティーディー。
アメカジの伝統柄に、新しさと華を。

41回目のコレクション「WEST」を展開中の〈ノンネイティブ(nonnative)〉。過去にもアメリカ西海岸とアメカジをモチーフに選んだことはありましたが、デザイナーの藤井隆行さんは今回、新たなチャレンジに取り組んでいます。それはテキスタイルデザインです。〈ノンネイティブ〉の柄ものといえば、春夏のアイテムに1875年から続くイギリスの「リバティ」社によるトラッドで華やかなテキスタイルを選んできました。ところが、今季はこれまでのルーティンを変更。新たなパートナーとして、野口真彩子さんと佐々木拓真さんによる〈ノーマティーディー(NOMA t.d.)〉を迎え、象徴的なアメカジ柄のアップデートに取り組んでいます〈ノンネイティブ〉と〈ノーマティーディー〉、意外な組み合わせかもしれませんが、実は藤井さんと野口さんは古くからの旧友なのです。美大エピソードからテキスタイルデザインまで、広く、深く、大いに語り合うファッション談話。

  • Photo_Masayuki Nakaya
  • Text_Shota Kato
  • Edit_Ryo Komuta

花をモチーフにした既視感のないバンダナ柄。

ー 2003年から約20年ぶりに〈ノンネイティブ〉が〈ノーマ〉にテキスタイルデザインを依頼したわけですけど、「WEST」というコレクションテーマを踏まえた上で、藤井さんはお二人にどんなことを伝えたんですか?

藤井:今季は西海岸のアメカジがイメージソースになっていて。それでバンダナ柄をつくりたかったんだけど、これまでにやったことがなくて。それで何かないかなと考えたときに、〈ノーマ〉が思い浮かんだんです。

DWELLER BANDANA COTTON BROAD NOMA t.d. PRINT:¥3,080

WORKER SHIRT JACKET COTTON BROAD NOMA t.d. PRINT:¥43,780

WORKER S/S SHIRT COTTON BROAD NOMA t.d. PRINT:¥36,080

ー ここしばらく、〈ノンネイティブ〉の柄ものや、裏地の一部のテキスタイルはイギリスの〈リバティ〉でした。

藤井:必ずそういうルーティンでしたね。〈ノーマ〉には〈リバティ〉の生地を選ぶような感覚でお願いをしていて。オファーしたときに断られる覚悟はあったんですよ。「藤井くん、うちらっぽくないよ」と断るための余白も残して。ましてや最近、〈ニードルズ〉や〈ステューシー〉とのコラボレーションで見かけるから、軽くお願いするという感覚ではなくて。しかもお互いのことをわかっているだけになおさら。

野口:25年以上の付き合いはあるけど、藤井くんはとにかく服の知識が高いよね。だから信用がすごくある。わたしたちは今年でブランド17年目だけど、最初の10年間はどこともコラボレーションしないと決めていたんです。コラボレーションに取り組みはじめたのは13年目くらいで。それでも限られたブランドでした。

佐々木:共通認識や信用できる何かがないと、コラボレーションはうまくいかなくて。

野口:そうなんだよね。その点、藤井くんは私が興味を持つもの、私たちの良さの活かし方、〈ノーマ〉と〈ノンネイティブ〉の違いもわかっているから。

藤井:〈ノンネイティブ〉の服はあまり喋らない服というか。ぼくからすると、今回のバンダナ柄はすごく頑張ったデザインになったと思う。いわゆる赤と白のバンダナ柄は〈ノンネイティブ〉ではないから。

ー バンダナのモチーフに花が使われているのはユニークですね。

野口:これは「ドローユアガーデン」というドローイングをベースにつくった柄なんです。何年もかけて完成させたデザインなんですけど、よくあるペイズリー柄をやりたくなくて。とにかく世の中が想像するバンダナ柄の印象が強すぎるんですよね。

藤井:実はぼくも一度チャレンジしたことがあって。でも、2、3か月かけたくらいでは既視感のあるものができてしまって。けど、みんなのなかにあるようなイメージを理解しておくことは必要なんです。

野口:そう、それを知識として知っておくのは重要だよね。

DWELLER B.D. L/S SHIRT COTTON BROAD NOMA t.d. PRINT:¥37,180

TRUCKER L/S SHIRT COTTON BROAD NOMA t.d. PRINT:¥43,780

野口:「ドローユアガーデン」は前に描いたデザインだから新作ではないんだけど、藤井くんが「これがいいんだよね」と言ってくれたのが嬉しかったし、わたしは昔から藤井くんのテイストが好きなんだと思う。ストリート、ワークウェア、モードも好きじゃない? それは私にも通ずるものがあって。ただ単にカジュアル、男っぽいのではなく、インテリジェンスや色気の要素を私が意識してつくっていることに藤井くんは反応してくれるし、すごくリスペクトがある。柄のレイアウトもバランスを考え抜いた上での構成なんだけど、それを生地の取り都合の問題から生産の過程で変える話はよくあることで。でも、藤井くんは「真彩子がつくったものがベストだから通そう」と推してくれて。

藤井:おもしろいのは、〈ノンネイティブ〉はシャツのボタンホールが縦型なんだけど、柄がズレちゃうんだよ。でも一箇所だけを横型にすると、ボタンを留めたときに柄がきれいに揃うんだよね。とにかく柄をひとつの絵として成立させたかったから。

佐々木:ボタンホールを横にするこだわりは藤井くんらしいなと。〈ノーマ〉でそれをやると、うるさすぎるかなと僕らは思ってしまうだけど。

野口:わたしたちは新しいコレクションに新しい柄をつくっているけど、テキスタイルデザイナーの考えとしては柄はワンシーズンでは終わるものではなくて、本来はファッションよりも長く続けるべきだと思っていて。あえて色やテクニックを変えたりして、同じ柄を使うこともあるんです。でも、それに対して藤井くんは何の疑問もなく「あの柄を使いたい」って言ってくれて。

佐々木:コラボレーションの相手によっては使い回しを嫌がるからね。昔の柄をアレンジすることも含めて。ちょっと時間が経って理解してくれることもあるんですけど。

藤井:なるほどね。ぼくの場合は単純にこれが好きだから。それは〈リバティ〉のテキスタイルデザインを選ぶのと同じなんだよ。〈リバティ〉の柄は60年代くらいからデータ化されていて選べるんだけど、最新の柄からプレゼンされるとどうも先入観ができてしまって。

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