THE FREE SPIRITS 侮るなかれ。中国メイドの高クオリティテントの正体。

PROFILE
1983年、湘南生まれ。大学でクルマのサークルに入ったことをきっかけにチューニングの面白さを知り、大学卒業後、クルマメーカーに勤務。その後も機器の開発に携わり、現在も代理店業のほか、一流企業のエンジニアという二足のわらじで活動する。
2011年、中国でスタートした〈フリースピリッツ(THE FREE SPIRITS)〉。「中国製か…」なんてネガティブな意見が聞こえてきそうだけど、このブランドは格が違うんです。25年以上もテント作りを続けるデザイナーの王吉剛(ワン ジガン)さんが「世界一のテントを作る」という目標のもとスタートし、まさにいま、アジアを中心にその品質の高さが玄人たちを虜にしています。
そんな王さんと、杉目さんが出会ったのが2019年。すぐに意気投合して、日本での販売を杉目さんが担当することになったといいます。
「王さんはもともと、帆布会社で働いていたんです。そのなかでテントをつくる仕事に就いて、テントに興味を持っていって、世界一のテントを作るために独立したんです。いまでは自社工場も大きくなって、誰もが知る有名ブランドのOEMも手がけていたりします」(杉目)

具体的に〈フリースピリッツ〉のテントは何が優れているかというと、まずは佇まいの美しさ。
「〈フリースピリッツ〉のテントはシワができにくいんです。素人が張ったとしても、ピンと張ることができる。なぜかというと、生地のことを知り尽くした王が部位ごとに生地の向きを揃えて組み合わせているから。歩留まりが悪くなりがちですが、テントの美しさと強度に直結します。そして生地も厳選したナイロンを使っています。ナイロンは価格は高いですが普及しているポリエステルよりも比強度で勝ります。つまり同じ重量ならより強いテントができる。あるいは同じ強度を出そうと思ったとき、より軽量につくることができるとも言えますかね。ナイロンは中国製の物を使うこともありますが王のお眼鏡は厳しいので、私がコストダウンで提案する生地のほとんどは採用してもらえません(笑)」(杉目)
次の優れた点は、圧倒的なクオリティと価格です。〈フリースピリッツ〉のテントは安くない。結構高級。なのだけど、品質やクオリティを他ブランドと比べると、そのコストパフォーマンスは圧倒的に優れています。

ベテランの縫い子さんたち。みな、勤続年数が長く、家族のような存在。

「生地もポールも、最上級のものを使っているのは間違いないです。工場に務める縫い子さんもベテランばかりで、百戦錬磨みたいな人たち。そこに王の知識が加わることで、最高のテントが生まれるんです。正直、儲けは本当に少ないです(笑)」(杉目)
素人目にそのクオリティを推し量るのは難しいかもしれないけど、展示会を開くたびに関係者たちから「このクオリティでこの値段で、本当にいいのか」という声が多く出る。なかでも、〈フリースピリッツ〉のフラッグシップ大型ドーム型テント「ロボテック(ROBOTECH)」は、40万円オーバーなのにも関わらず、発売しては完売を繰り返します。
割高な感じはするけど、DACポールが10本も入っていて、生地は70デニールでシリコンコーティングを施したナイロンを使っています。DACポールといえば、〈ヘリノックス〉のチェアで知られるあの高級ポール。シリコンコーティングはポリウレタンコーティングよりも防水性が高く、生地自体の強度も高くなる。その分加工賃もかかります。たぶん、このクオリティで他ブランドが販売するとなると、2割以上値があがる。
「最初は正直、こんな高いテントが売れるのかと思ってたんです。でも、反響は予想以上で、いまもずっと欠品状態」と杉目さん。
この頃はクオリティの高いアウトドアブランドがかなり増えてきている中国。そのなかでも〈フリースピリッツ〉のテント、ちょっと頭ひとつ抜けています。店頭で見られる場所が少ないけど、その品質は圧倒的です。
PopularI Product
名作ROBOTECHの全貌を見よ。
〈フリースピリッツ〉の最高傑作でありシグネチャーである「ロボテック」。10人用の大型ドームは、厳選された素材と堅牢なフレームワークで、その大きさからは想像できない軽量さと強度を誇る。
ROBOTECH
サイズ:550×500×235cm(外寸)
重量:15kg
人数:10人
価格:¥499,950